[math]1998年東京大学前期理系数学問題4

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問題

実数\(a\)に対して\(k \leq a \leq k+1\)を満たす整数\(k\)を\([a]\)で表す。\(n\)を正の整数として、$$f(x)= \frac{x^2 (2\cdot 3^3 \cdot n-x)}{2^5\cdot 3^3 \cdot n^2}$$とおく。\(36n+1\)個の整数$$[f(0)], [f(1)], [f(2)], \cdots, [f(36n)]$$のうち相異なるものの個数を\(n\)を用いて表わせ。

方針

\(f(n+1)-f(n)\)が\(1\)よりも大きければ、\([f(n)]\)と\([f(n+1)]\)は異なる値になり、\(1\)よりも小さければ、整数として同じ値になる。

解答

$$f^{\prime}(x) = \frac{x(2^2\cdot 3^2 \cdot n -x)}{2^5\cdot 3^2 \cdot n^2}$$となる。\(f(x)\)の増減は以下のようになる。

\(x\)\(0\)\(36n\)
\(f^{\prime}(x)\)\(-\)\(0\)\(+\)\(0\)\(-\)
\(f(x)\)\(\searrow\)\(0\)\(\nearrow\)\(27n\)\(\searrow\)
\(f(x)\)の増減表

平均値の定理から、$$f(n+1)-f(n) = f^{\prime}(c)$$を満たす実数\(c (n\leq c\leq n+1)\)が存在する。\(f^{\prime}(x)\)は\(x\)の\(2\)次関数で、\(x = 12n, 24n\)の時に\(f^{\prime}(x) = 1\)となる。つまり、

  • \(0\leq x\leq 12n\)の時は、\(f^{\prime}(x) < 1\)なので、$$[f(0)] = 0, [f(1)], \cdots, [f(12n)] = 7n$$の中には重複しているものがあり、\(0, 1, \cdots, 7n\)の\(7n+1\)個の値を取る。
  • \(12n< x < 24n\)の時は、\(f^{\prime}(x) > 1\)なので、$$f(12n+1), f(12n+2), \cdots, f(24n-1)$$はすべて異なる値を取る。したがって、異なる値の個数は\(24n-1-(12n+1)+1 = 12n-1\)個である。
  • \(24n \leq x \leq 36n\)の時は、\(f^{\prime}(x) < 1\)なので、$$f(24n) = 20n, f(24n+1), \cdots, f(36n) = 27n$$の中には重複しているものがあり、\(20n, 20n+1, \cdots, 27n\)の\(7n+1\)個の値を取る。

以上から、求める答えは\(2(7n+1)+12n-1 = \)

\(26n+1\)個

となる。

解説

\(0 \leq x \leq 36n\)で\(f(x)\)は単調増加になる。\(f(0) = 0, f(36n) = 27n\)であるが、重複した値を取ることがあるので、増減を細かく調べないといけない。

関連問題

1982年東京大学数学文系問題3 4次関数と解の誤差、偶関数、解と係数の関係
1989年京都大学理系後期数学理学部専用問題 二次方程式と整数、解と係数の関係

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