[math]1994年東京大学理系数学問題1

問題

$$f(x) = x^4+x^3+\frac{1}{2}x^2+\frac{1}{6}x + \frac{1}{24}$$$$g(x) = x^5+x^4+\frac{1}{2}x^3+\frac{1}{6}x^2+\frac{1}{24}x+\frac{1}{120}$$とする。このとき、以下のことが成り立つことを示せ。
\((1)\)任意の実数\(x\)に対し、\(f(x)>0\)である。
\((2)\)方程式\(g(x)=0\)はただひとつの実数解\(\alpha\)をもち、\(-1<\alpha < 0\)となる。

方針

とりあえず微分してみたくなるが。\((2)\)は\((1)\)を利用する。

解答

\((1)\)$$f(x) = x^2\left(x+\frac{1}{2}\right)^2+\frac{1}{4}x^2+\frac{1}{6}x+\frac{1}{24}$$

$$=x^2\left(x+\frac{1}{2}\right)^2+\left(x+\frac{1}{3}\right)^2+\frac{1}{72}>0$$

\((2)\)\(x\ne 0\)に対して\(t = \frac{1}{x}\)とすると、$$f(x) = x^4\left(1+t+\frac{1}{2}t^2+\frac{1}{6}t^3+\frac{1}{24}t^4\right)$$である。かっこの中身を\(h(t)=\)と置くと、\((1)\)から\(x\ne 0\)の時\(f(x) >0\)だから、\(h(t)>0\)でもある。

\(g(0) = \frac{1}{120}\ne 0\)だから、$$g(x) = x^5\left(1+t+\frac{1}{2}t^2+\frac{1}{6}t^3+\frac{1}{24}t^4+\frac{1}{120}t^5\right)$$として、かっこの中身を\(G(t)\)とすると、$$G^{\prime}(t) = h(t) > 0$$である。

\(G(t)\)は\(t\)に関しての単調増加関数で、\(\lim_{t\to-\infty}{G(t)} = -\infty\)かつ\(G(-1) = \frac{1}{30}\)だから、\(t < -1\)に\(G(t) = 0\)となる\(t\)が存在する。したがって、\(-1<x<0\)に\(g(x) = 0\)となる\(x\)がただひとつ存在する。

解説

\(e^{x}\)のTaylor展開を題材にした問題である。実際に上記の\(h(t)\)を用いて、\(p(t)=e^{-t}h(t)\)などと置くと、$$p^{\prime}(t) = e^{-t}(h^{\prime}(t)-h(t))$$

$$=-\frac{t^4}{24}e^{-t}$$

となり、\(p(t)\)が単調減少であることが分かる。\(\lim_{t\to\infty}{p(t)}=0\)であるから、\(p(t)>0\)がわかり、\(h(t)>0\)、したがって\(f(x)>0\)が分かる。

\((2)\)は\((1)\)を利用すれば良い。一般に、$$f_n(x)=1+x+\frac{x^2}{2!} + \frac{x^3}{3!}+\cdots + \frac{x^n}{n!}$$と置いた時、\(n\)が奇数であれば\(f_n(x)=0\)はただひとつの実数解を持ち、\(n\)が偶数であれば、\(f_n(x)>0\)である。証明は、\(g_n(x)=e^{-x}f_n(x)\)と置いて微分すれば簡単である。

コメント

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