問題
\(p\)を正の整数とする。\(\alpha,\ \beta\)は\(x\)に関する方程式\(x^2-2px-1=0\)の\(2\)つの解で、\(|\alpha| > 1\)であるとする。
\((1)\)すべての正の整数\(n\)に対し、\({\alpha}^{n}+{\beta}^{n}\)は整数であり、さらに偶数であることを証明せよ。
\((2)\)極限\(\lim_{n\to \infty}{(-\alpha)^n\sin{({\alpha}^n)\pi}}\)を求めよ。
(\(30\)点)
方針
\((1)\)を利用するが、\(\alpha\beta = -1\)を利用してうまく変形して答えを導く。\(|\alpha| > 1\)よりも\(|\beta| < 1\)を利用した方が極限は求めやすい。$$\lim_{x\to0}{\frac{\sin{x}}{x}} = 1$$を使う。
解答
\((1)\)解と係数の関係から、$$\alpha + \beta = 2p$$ $$\alpha\beta = -1$$である。これを使って、$${\alpha}^{n+2} + {\beta}^{n+2} = (\alpha + \beta)({\alpha}^{n+1} + {\beta}^{n+1}) – \alpha\beta({\alpha}^n + {\beta}^n)$$ $$ = 2p({\alpha}^{n+1} + {\beta}^{n+1}) + ({\alpha}^n + {\beta}^n)$$である。これより\({\alpha}^n + {\beta}^n,\ {\alpha}^{n+1} + {\beta}^{n+1}\)が偶数であれば、\({\alpha}^{n+2} + {\beta}^{n+2}\)も偶数である。しかるに$$\alpha + \beta = 2p$$ $${\alpha}^2 + {\beta}^2 = (\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta$$ $$ = 4p^2 + 2$$はともに偶数であるから、数学的帰納法より\({\alpha}^n + {\beta}^n\)は偶数である。
\((2)\)\((1)\)から\({\alpha}^n + {\beta}^n = 2\gamma_n\)と置ける。ただし\(\gamma_n\)は整数である。すると、$$(-\alpha)^n\sin{{\alpha}^n\pi} = (-\alpha)^n\sin{(2\gamma_n-{\beta}^n)\pi}$$ $$ = (-\alpha)^n(\sin{2\gamma_n\pi}\cos{{\beta}^n\pi} – \cos{2\gamma_n\pi}\sin{{\beta}^n\pi})$$ $$ = -(-\alpha)^n\sin{{\beta}^n\pi} \ (\sin{2\gamma_n\pi} = 0,\ \cos{2\gamma_n\pi} = 1)$$ $$ = -\frac{\sin{{\beta}^n\pi}}{{\beta}^n}\ (\alpha\beta = -1)$$である。\(|\alpha| > 1\)で\(\alpha\beta = -1\)だから、\(|\beta| < 1\)である。したがって、\(n\to\infty\)の時\(|\beta|^n\to0\)である。これから、$$(-\alpha)^n\sin{{\alpha}^n\pi} = -\frac{\sin{{\beta}^n\pi}}{{\beta}^n\pi}\cdot \pi$$ $$\to -1\cdot \pi$$ $$ = -\pi$$だから、求める極限は
\(-\pi\)
である。
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