[math]1997年京都大学理系前期問題6

問題

曲線\(y = \cos{x}\)の\(x = t \left(0 < t < \frac{\pi}{2}\right)\)における接線と\(x\)軸、\(y\)軸の囲む三角形の面積を\(S(t)\)とする。
\((1)\) \(t\)の関数として\(S(t) \left(0 < t < \frac{\pi}{2}\right)\)を求めよ。
\((2)\) \(S(t)\)はある一点\(t = t_0\)で最小値をとることを示せ。また、\(\frac{\pi}{4} < t_0 < 1\)を示せ。
\((3)\) \(S(t_0) = 2t_0\cos{t_0}\)を示せ。また、\(S(t_0) > \frac{\sqrt{2}}{4}\pi\)を示せ。

方針

要領よく計算しないとなかなか厳しい。

解答

\((1)\) \(x = t\)における\(y = \cos{x}\)の接線は\(y -\cos{t} = -\sin{t}(x-t)\)であるから、\(x = 0, y = 0\)としてこの接線と\(x\)軸、\(y\)軸との交点を求めると、\(x = t + \frac{\cos{t}}{\sin{t}}, y = t\sin{t} + \cos{t}\)となる。したがって、$$2S(t) = \left(t+\frac{\cos{t}}{\sin{t}}\right)\left(t\sin{t}+\cos{t}\right)$$ $$ = \frac{(t\sin{t}+\cos{t})^2}{\sin{t}}$$となる。よって、

\(S(t) = \frac{(t\sin{t}+\cos{t})^2}{2\sin{t}}\)

である。

\((2)\) \((1)\)から、$$S^{\prime}(t) = \frac{f(t)}{2\sin^2{t}}$$となる。ただし、$$f(t) = 2(\sin{t}+t\cos{t}-\sin{t})(t\sin{t}+\cos{t})\sin{t}-\cos{t}(t\sin{t}+\cos{t})^2$$である。整理すると、$$f(t) = \cos{t}(t\sin{t}+\cos{t})(2t\sin{t}-(t\sin{t}+\cos{t}))$$ $$ = \cos{t}(t\sin{t}+\cos{t})(t\sin{t}-\cos{t})$$である。このうち、\(\cos{t}, t\sin{t}+\cos{t}\)は\(0<t < \frac{\pi}{2}\)において正である。\(g(t) = t\sin{t}-\cos{t}\)とすると、$$g^{\prime}(t) = 2\sin{t}+t\cos{t}$$となり、\(0 < t < \frac{\pi}{2}\)で\(g^{\prime}(t) > 0\)となる。\(g\left(\frac{\pi}{4}\right) = \frac{\sqrt{2}}{2}\cdot \frac{\pi}{4}-\frac{\sqrt{2}}{2} < 0, g\left(1\right) = \sin{1}-\cos{1} > 0\)だから、\(\frac{\pi}{4} < t < 1\)に\(g(t_0) = 0\)となる\(t_0\)が存在し、その前後で\(g(t)\)は符号を負から正に変える。すなわち、\(t = t_0\)で\(f(x)\)も符号を負から正に変える。したがって、\(S(t)\)は\(t = t_0\)で最小値をとり、\(\frac{\pi}{4} < t_0 < 1\)である。

\((3)\) \((2)\)から\(g(t_0) = t_0\sin{t_0}-\cos{t_0} = 0\)である。したがって、$$S(t_0) = \frac{(t_0\sin{t_0} + \cos{t_0})^2}{2\sin{t_0}}$$ $$ = 2t_0^2\sin{t_0}$$ $$ = 2t_0\cos{t_0}$$となる。また、\(h(t) = t\cos{t}\)と置くと、$$h^{\prime}(t) = \cos{t}-t\sin{t}$$となるが、これは\(-g(t)\)である。\(-g(t)\)は\(t = t_0\)で符号を正から負に変えるから、\(S(t_0) > 2h\left(\frac{\pi}{4}\right) = \frac{\sqrt{2}}{4}\pi\)が分かる。

解説

扱う題材は単純だが、計算問題としてはそれなりに難しい。見通しよく進めないと、試験会場では混乱をきたしそうである。

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