[math]1981年東京工業大学数学問題1

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問題

\(\alpha\)は\(0 < \alpha < 1\)を満たす実数とする。任意の自然数\(n\)に対して、\(2^{n-1}\alpha\)の整数部分を\(a_n\)とし、\(2^{n-1}\alpha = a_n + b_n\)とおくと、
\(n\)が奇数の時\(0\leq b_n<\frac{1}{2}\)
\(n\)が偶数の時\(\frac{1}{2} < b_n <1\)
になるという。\(a_n\)および\(\alpha\)を求めよ。

方針

漸化式を持ち出すことが出来れば決して難しくはないが、漸化式を持ち出すという発想のハードルが高い。誘導が無く、手も足も出なかった受験生も多かったことだろう。

解答

\(0 < \alpha < 1\)だから、\(n=1\)として、\(\alpha=a_1+b_1\)となり、\(a_1 = 0, b_1 = \alpha\)である。また\(k\)を自然数として、$$2^{2k-2}\alpha = a_{2k-1} + b_{2k-1}$$ $$2^{2k-1}\alpha = a_{2k} + b_{2k}$$である。初めの式に\(2\)を掛けて、$$2^{2k-1}\alpha = 2a_{2k-1} + 2b_{2k-1}$$である。今、\(0 \leq b_{2k-1} < \frac{1}{2}\)であるから、\(0\leq 2b_{2k-1}< 1\)となる。よって、\(b_{2k} = 2b_{2k-1}\)である。

同様に、$$2^{2k-1}\alpha = a_{2k} + b_{2k}$$ $$2^{2k}\alpha = a_{2k+1} + b_{2k+1}$$であり、初めの式に\(2\)を掛けて\(2^{2k}\alpha = 2a_{2k} + 2b_{2k}\)である。\(\frac{1}{2} < b_{2k}<1\)であるから、\(0 < 2b_{2k}-1 < 1\)である。したがって、\(b_{2k+1} = 2b_{2k}-1\)となる。

以上から、\(b_{2k+1} = 2b_{2k}-1 = 2\cdot 2b_{2k-1}-1 = 4b_{2k-1}-1 \)となる。変形すると、$$b_{2k+1}-\frac{1}{3} = \left(b_{2k-1}-\frac{1}{3}\right)$$である。これから、$$b_{2k+1}-\frac{1}{3} = 4^{k}\left(b_1-\frac{1}{3}\right) = 4^{k}\left(\alpha-\frac{1}{3}\right)$$となる。よって、\(b_{2k+1} = \frac{1}{3} + 4^{k}\left(\alpha-\frac{1}{3}\right)\)であるが、\(0\leq b_{2k+1} < \frac{1}{2}\)がすべての自然数\(k\)について成り立つためには\(\alpha = \frac{1}{3}\)が必要である。このとき\(2^{n-1}\alpha = \frac{2^{n-1}}{3}\)の小数部分は\(\frac{1}{3}\)と\(\frac{2}{3}\)の繰り返しになり、題意を満たす。以上より、求める答えは\(\alpha = \frac{1}{3}\)であり、
\(n\)が奇数の時\(a_n = \frac{2^{n-1}-1}{3}\)
\(n\)が偶数の時\(a_n = \frac{2^{n-1}-2}{3}\)
となる。

解説

漸化式を持ち出すことさえできれば後はそれほど難しくはない。\(b_1=\alpha\)だから\(n\)が奇数のとき\(b_n\)を求めることが出来る。結局\(\alpha = \frac{1}{3}\)でないと、\(b_n\)が大きくなりすぎるか小さくなりすぎるかして、条件を満たさないことが分かる。

コメント

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