[math]2006年度前期東京医科歯科大学数学問題1

問題

\((1)\) 次の\(3\)条件\((a), (b), (c)\)を満たす整数の組\((a_1, a_2, a_3, a_4, a_5)\)の個数を求めよ。$$(a) a_1 \geq 1$$ $$(b) a_5 \leq 4$$ $$(c) a_i\leq a_{i+1} (i=1, 2, 3, 4)$$
\((2)\) 次の\(3\)条件\((a), (b), (c)\)を満たす整数の組\((a_1, a_2, a_3, a_4, a_5)\)の個数を求めよ。$$(a) a_1 \geq 1$$ $$(b) a_i \geq 0 (i=2, 3, 4, 5)$$ $$(c) a_1 + a_2+a_3 + a_4 + a_5 \leq 4$$
\((3)\) \(n\)桁の自然数で各桁の数字の合計が\(r\)以下となるものの個数を\(n, r\)を用いて表わせ。ただし\(n\geq 1, r\leq 9\)とする。

方針

\((1)\)は典型問題と言って良い。\((2)\)を解けるかどうかで合否が決まる。うまく\((1)\)を利用することを考えたい。

解答

\((1)\) \(1\leq a_1 \leq a_2 \leq a_3 \leq a_4 \leq a_5 \leq 4\)を満たす自然数の組\((a_1, a_2, a_3, a_4, a_5)\)の個数を求めれば良い。上の式を変形すると、$$1\leq a_1 < a_2+1 < a_3+2 < a_4 + 3 < a_5 + 4\leq 8$$となる。したがって、\(1\)から\(8\)までの自然数の中から\(5\)個を選んで、それを小さい順に\(a_1, a_2+1, a_3+2, a_4+3, a_5+4\)とすれば良い。選び方は\(_{8}\mathbb{C}_{5} = 56\)通りである。

\((2)\) $$b_1 = a_1, b_2 = a_1+a_2, b_3 = a_1+a_2+a_3,$$ $$b_4 = a_1+a_2+a_3+a_4, b_5 = a_1+a_2+a_3+a_4+a_5$$とする。すると条件\((a), (b), (c)\)は$$b_1 \geq 1$$ $$b_i \leq b_{i+1}(i=1, 2, 3, 4)$$ $$b_5 \leq 4$$となる。これは問題\((1)\)の条件と同じで、\(a_i\)と\(b_i\)は一対一に対応しているから、答えは\(56\)通りとなる。

\((3)\) \(n\)桁の自然数の左から\(i\)番目の数字を\(a_i\)とする。条件を言い換えると、$$a_1\geq 1$$ $$a_i \geq 0 (i = 2, 3, \cdots, n)$$ $$a_1 + a_2 + \cdots + a_n\leq r$$である。これを満たす\((a_1, a_2, \cdots, a_n)\)の個数を求めるには、\((2)\)と同様に考えれば良い。すなわち、$$b_i =\sum_{j=1}^{i}{a_j}$$とすると、条件は$$b_1 \geq 1$$ $$b_i\leq b_{i+1}(i=1, 2, \cdots, n-1)$$ $$b_n \leq r$$となるので、$$1\leq b_1 < b_2 + 1 < b_3 + 2 < \cdots < b_n + n-1 \leq r+n-1 $$を満たす\((b_1, b_2, \cdots, b_n)\)の組の個数を求めれば良い。これは、\(_{n+r+1}\mathbb{C}_{n}\)通りとなる。

解説

この年は、この問題が解けたかどうかで医科歯科大の合否は大きく左右されたことだろう。\((1)\)は解答のような手法が知られている。典型的と言っても良い。受験数学で有名な\(_{n}\mathbb{H}_{k}\)というものがあるが、あまり気にすることはない。解答のようにその度に不等式を変形し、意味を考えながら\(_{n}\mathbb{C}_{k}\)を使えれば十分である。

\((2)\)がこの問題の山場である。解答のような置き換えを思いつかなくても、数回場合分けをすれば解くことはできるが、上手く置き換えをすれば、典型的な\((1)\)に帰着させることが可能である。

\((3)\)は、\((2)\)と同様の方法で解かないと、難しい。\(r=1,2, \cdots,9\)として一個一個求める方法もなくはないが、試験時間を考えると、現実的ではないだろう。

コメント

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