[math]1978年京都大学文理共通数学問題1

問題

\(a, b, c\)を正の数とするとき、不等式$$2\left(\frac{a+b}{2}-\sqrt{ab}\right)\leq 3\left(\frac{a+b+c}{3}-\sqrt[3]{abc}\right)$$を証明せよ。また、等号が成立するのはどんな場合か。

方針

素直に計算するが、背景のある問題である。

解答

(右辺)\(-\)(左辺)を考えると、\(c-3\sqrt[3]{abc}+2\sqrt{ab}\)であるから、\(\sqrt[3]{c} = t(\geq 0)\)とおく。これは\(t^3-\sqrt[3]{ab}t+2\sqrt{ab}\)となり、\(f(t)\)とする。$$f^{\prime}(t) = 3t^2-\sqrt[3]{ab}$$となり、\(f(t)\)は\(t = \sqrt[6]{ab}\)のときに最小になる。$$f(\sqrt[6]{ab}) = \sqrt{ab}-3\sqrt[3]{ab}\sqrt[6]{ab} + 2\sqrt{ab} = 0$$となり、与えられた不等式が成立する。また、等号は\(\sqrt[3]{c} = \sqrt[6]{ab}\)、つまり\(c^2 = ab\)のときに成立する。

解説

実は$$2\left(\frac{a+b}{2}-\sqrt{ab}\right)\leq 3\left(\frac{a+b+c}{3}-\sqrt[3]{abc}\right)\leq 4\left(\frac{a+b+c+d}{4}-\sqrt[4]{abcd}\right)\leq \cdots$$が成立する。\(2\left(\frac{a+b}{2}-\sqrt{ab}\right)\)は正なので、各括弧の中身、相加平均引く相乗平均が正であることがわかる。このことを示すには$$n\left(\frac{a_1+a_2+\cdots + a_n}{n}-\sqrt[n]{a_1a_2\cdots a_n}\right)\leq (n+1)\left(\frac{a_1+a_2+\cdots + a_{n+1}}{n+1}-\sqrt[n+1]{a_1a_2\cdots a_{n+1}}\right)$$を示すことになるが、微分法で簡単に解くことが出来る。

コメント

  1. […] 1978年京都大学文理共通数学問題1 相加平均、相乗平均の不等式 […]

タイトルとURLをコピーしました