Lancet掲載論文から。Global Burden of Disease2019。本文はこちら。
Background
致命的な警察による暴力の負荷は米国における緊縛の公衆衛生危機である。警察による暴力が特定の人種や民族の人々に不釣り合いに影響を及ぼしているエビデンスが蓄積しており、米国の警察における体系的な人種差別を示している。警察からの暴力についての報告ではなく、広範囲で公開されたデータの要求がなされたことが最近注目されている。本研究は米国政府が運営する重要な登録データにおける警察の暴力の過少報告の存在と程度を調査し、これらのデータセットの過少報告を修正する方法を提供し、米国の警察の暴力による死亡の修正済みの推定値を提示する。
Methods
米国の人口動態統計システム(NVSS)のデータを、警察の暴力に関する3つの非政府のオープンソースデータベースであるFatal Encounters、Mapping Police Violence、TheCountedと比較した。各データの年齢、性別、米国の死亡登録の状態、死亡年、人種および民族性(非ヒスパニック系白人、非ヒスパニック系黒人、他の人種の非ヒスパニック系、および任意の人種のヒスパニック系)を抽出して標準化した。すべてのデータソースについて、ネットワークメタ回帰を使用して、NVSS内の過少報告の割合を定量化した。これらの率を使用して修正係数を考慮し、米国全体で1980年から2019年までのすべての州、年齢、性別、人種および民族グループの警察の暴力による死亡の調整済み推定値を提供した。
Findings
米国のすべての人種と州で、1980年から2018年の間に警察の暴力により30,800人(\(95 %\)UI:30,300–31,300)が死亡したと推定される。これは、NVSSによって報告されたよりも17,100人多い(16600〜17600人)。この期間中、警察の暴力による年齢標準化された死亡率は、非ヒスパニック系黒人の人々で最も高く(10万人あたり0.69 [\(95%\)UI :0.67-0.71)、次にヒスパニック系の人々が続く。この変動は性別によって影響を受け、州間の大きな不一致を示す。 1980年から2018年の間に、NVSSは警察の暴力によるすべての死亡の\(55.5%\)(54.8–56.2)を報告しなかった。すべての人種を集計すると、警察の暴力による年齢調整死亡率は、1980年代には10万人あたり0.25(0.24-0.26)、10万人あたり0.34(0.34-0.35)であった。 2010年代には、調査期間中に38.4%(32.4-45.1)増加した。
Interpretation
1980年から2018年に米国で推定された警察の暴力による全死亡の半分以上がNVSSで報告されていなかった。米国内の人種および民族グループによる、年齢標準化された死亡率の実質的な違いが観察された。これらの体系的なバイアスに対処するには、実証済みの公衆衛生介入戦略を要する。
感想
死刑のある日本を野蛮と騒ぎ立てるが、死刑になる前に警官が殺してしまっているという話。裁判という過程がなく、どちらが野蛮なのだと。
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