[math]1990年東京大学理系前期数学問題1

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問題

\(\displaystyle{a_n = \sum_{k=1}^{n}{\frac{1}{\sqrt{k}}}, b_n = \sum_{k=1}^{n}{\frac{1}{\sqrt{2k+1}}}}\)とするとき、\(\displaystyle{\lim_{n\to\infty}{a_n}, \lim_{n\to\infty}{\frac{b_n}{a_n}}}\)を求めよ。

方針

直接\(\displaystyle{\frac{b_n}{a_n}}\)は求められないので、はさみうちの原理を用いる。

解答

$$\begin{eqnarray}\frac{a_n}{\sqrt{n}} & =& \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}{\frac{1}{\sqrt{\frac{k}{n}}}} \\ & \to & \int_{0}^{1}{\frac{dx}{\sqrt{x}}} \\ & = & 2[\sqrt{x}]_{0}^{1} \\ & = & 2\end{eqnarray}$$となるから、\(\displaystyle{\lim_{n\to\infty}{a_n} = \infty}\)となる。また、$$\frac{1}{\sqrt{2(k+1)}} < \frac{1}{\sqrt{2k+1}}< \frac{1}{\sqrt{2k}}$$であるから、\(k = 1, 2, \cdots, n\)としたものを辺ごとに足して、$$\frac{1}{\sqrt{2}}\left(a_n + \frac{1}{\sqrt{n+1}}-1\right) < b_n < \frac{a_n}{\sqrt{2}}$$となる。これから、$$\frac{1}{\sqrt{2}}\left(1 + \frac{1}{a_n\sqrt{n+1}}-\frac{1}{a_n}\right) < \frac{b_n}{a_n} < \frac{1}{\sqrt{2}}$$となる。\(n\to\infty\)で\(a_n\to\infty\)だから、はさみうちの原理より\(\displaystyle{\lim_{n\to\infty}{\frac{b_n}{a_n}} = \frac{1}{\sqrt{2}}}\)となる。

解説

\(a_n\)の極限は\(\frac{1}{k} < \frac{1}{\sqrt{k}}\)として、\(\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}{\frac{1}{k}}}\)が\(n\to\infty\)で発散することを用いても良い。\(\displaystyle{\frac{b_n}{a_n}}\)に関しては、\(\displaystyle{\sqrt{2k}<\sqrt{2k+1}<\sqrt{2k+2}}\)を変形した大雑把な評価でも事足りる。答えの予測は簡単につくが、自分で不等式を持ち出さなくてはいけないところが誘導付きの出題に慣れた人には難しかったのではないかと思う。極限の問題の最も面白い部分が自分で評価を考えることであるから、受験大学の傾向に合わせてある程度練習しておくと良い。

コメント

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