問題
\(xy\)平面上の楕円$$E: \frac{x^2}{4} + y^2 = 1$$について、以下の問いに答えよ。
\((1)\) \(a,\ b\)を実数とする。直線\(l:\ y = ax + b\)と楕円\(E\)が異なる\(2\)点を共有するための\(a,\ b\)の条件を求めよ。
\((2)\) 実数\(a,\ b,\ c\)に対して、直線\(l:\ y = ax + b\)と直\(m:\ y =ax + c\)が、それぞれ楕円\(E\)と異なる\(2\)点を共有しているとする。ただし、\(b > c\)とする。直線\(l\)と楕円\(E\)の\(2\)つの共有点のうち\(x\)座標の小さい方を\(P\)、大きい方を\(Q\)とする。また、直線\(m\)と楕円\(E\)の\(2\)つの共有点のうち\(x\)座標の小さい方を\(S\)、大きい方を\(R\)とする。このとき、等式$$\overrightarrow{PQ} = \overrightarrow{SR}$$が成り立つための\(a,\ b,\ c\)の条件を求めよ。
\((3)\) 楕円\(E\)上の\(4\)点の組で、それらを\(4\)頂点とする四角形が正方形であるものをすべて求めよ。
方針
\((1)\) 二次方程式を作り、判別式が正となる条件を求める。
\((2)\)計算は比較的大変なので、文字がゴチャゴチャしないように見通しよくする。
\((3)\) \((2)\)より\(b = -c\)で、\(P,\ Q,\ R,\ S\)が正方形を作る時、\(a = 0\)となる。
解答
\((1)\) \(y= ax + b\)を\(E\)の方程式に代入して、$$\begin{eqnarray} \frac{x^2}{4} + (ax+b)^2 & = & 1 \\ \left(\frac{1}{4} + a^2\right)x^2 + 2abx + b^2-1 & = & 0 \\ (4a^2+1)x^2 + 8abx + 4(b^2-1) & = & 0 \end{eqnarray}$$となる。この二次方程式が異なる\(2\)解を持つ時、\(E\)と\(l\)は異なる\(2\)点で交わる。判別式を\(D^{\prime}\)とすると$$\begin{eqnarray} D^{\prime} & = & 16a^2b^2 -(4a^2+1)\cdot 4(b^2-1) \\ & = & 16a^2b^2-(16a^2b^2-16a^2+4b^2-4) \\ & = & 16a^2-4b^2+4 \\ & = & 4(4a^2-b^2+1) \\ & > & 0 \end{eqnarray}$$であるから、\(\underline{4a^2-b^2+1 > 0}\)が求める条件である。
\((2)\) \(P,\ Q,\ S,\ R\)の\(x\)座標をそれぞれ\(p,\ q,\ s,\ r\ (p < q,\ s < r)\)とする。\(p,\ q\)は二次方程式$$\begin{eqnarray} (4a^2+1)x^2 + 8abx + 4(b^2-1) & = & 0 \end{eqnarray}$$の解であり、\(s,\ r\)は二次方程式$$\begin{eqnarray} (4a^2+1)x^2 + 8acx + 4(c^2-1) & = & 0 \end{eqnarray}$$の解である。$$\begin{eqnarray} \overrightarrow{PQ} = \overrightarrow{SR} \end{eqnarray}$$ の時、 $$\begin{eqnarray} (q-p,\ aq+b-(ap+b)) & = & (r-s,\ ar+c-(as+c)) \\ (q-p,\ a(q-p)) & = & (r-s,\ a(r-s)) \\ (q-p)(1,\ a) & = & (r-s)(1,\ a) \end{eqnarray}$$だから、\(q-p = r-s\)であれば良い。二次方程式の解と係数の関係から、$$\begin{eqnarray} (q-p)^2 & = & (p+q)^2 -4pq \\ & = & \left(\frac{-8ab}{4a^2+1}\right)^2 – 4\cdot\frac{4(b^2-1)}{4a^2+1} \\ & = & \frac{64a^2b^2-16(4a^2+1)(b^2-1)}{(4a^2+1)^2} \\ & = & \frac{64a^2b^2-64a^2b^2+64a^2-16b^2+16}{(4a^2+1)^2} \\ & = & \frac{16(4a^2-b^2+1)}{(4a^2+1)^2} \end{eqnarray}$$である。同様の計算をすれば、$$\begin{eqnarray} (r-s)^2 & = & \frac{16(4a^2-c^2+1)}{(4a^2+1)^2} \end{eqnarray}$$ となるから、\(q-p =r-s\)の時、$$\begin{eqnarray} 4a^2-b^2 + 1 & = & 4a^2-c^2+ 1 \\ (b+c)(b-c) & = & 0 \end{eqnarray}$$である。\(b > c\)だから、\(b + c = 0,\ b > 0\)となる。よって、求める条件は\(\underline{b + c = 0,\ b > 0,\ 4a^2-b^2+1 > 0,\ 4a^2-c^2 + 1 > 0}\)である。
\((3)\) \((2)\)までの誘導を利用する。\(4\)点\(P,\ Q,\ R,\ S\)が正方形となるとき\(\overrightarrow{PQ}\)と\(\overrightarrow{QR}\)は直交する。$$\begin{eqnarray} \overrightarrow{PQ}\cdot \overrightarrow{QR} & = & 0 \\ (q-p)(1,\ a) \cdot (r-q,\ ar+c-(aq + b)) & = & 0 \\ (r-q) + a^2(r-q) + a(c-b) & = & 0 \end{eqnarray}$$である。ここで、\(q\)は二次方程式$$\begin{eqnarray} (4a^2+1)x^2 + 8abx + 4(b^2-1) & = & 0 \end{eqnarray}$$の大きい方の解で、\(r\)は二次方程式$$\begin{eqnarray} (4a^2 + 1)x^2 + 8acx + 4(c^2-1) & = & (4a^2+1)x^2-8abx + 4(b^2-1) \\ & = & 0 \end{eqnarray}$$の大きい方の解なので、$$\begin{eqnarray} q & = & \frac{-4ab + 2\sqrt{4a^2-b^2+1}}{4a^2+1} \\ r & = & \frac{4ab + 2\sqrt{4a^2-b^2+1}}{4a^2+1} \end{eqnarray}$$であるから、$$\begin{eqnarray} r-q & = & \frac{8ab}{4a^2+1} \end{eqnarray}$$である。$$\begin{eqnarray} (r-q)(1+a^2) + a(c-b) & = & 0 \\ (r-q)(1+a^2) -2ab & = & 0 \end{eqnarray}$$に代入して、$$\begin{eqnarray} \frac{8ab}{4a^2+1}\cdot (a^2+1) -2ab & = & 0 \\ 8a^3b + 8ab-2ab(4a^2+1) & = & 0 \\ 6ab & = & 0 \end{eqnarray}$$である。\(b = 0\)とすると、\(b + c = 0\)から\(c = 0\)となり、\(b > c\)を満たさない。これより\(a = 0\)である。この時\((1)\)の条件より\(-b^2+1 > 0\)で、\((2)\)から$$\begin{eqnarray} p & = & -2\sqrt{-b^2+1} \\ q & = & 2\sqrt{-b^2+1} \\ r & = & 2\sqrt{-b^2+1} \\ s & = & -2\sqrt{-b^2+1} \end{eqnarray}$$である。\(PQ = 4\sqrt{-b^2+1},\ QR = 2b\)であるから、\(PQ = QR\)として$$\begin{eqnarray} 4\sqrt{-b^2+1} & = & 2b \ 4(-b^2 +1) & = & b^2 \\ 5b^2 & = & 4 \end{eqnarray}$$となって、\(b = \frac{2}{\sqrt{5}}\)である。以上から、\(a = 0,\ b = \frac{2}{\sqrt{5}},\ c = -\frac{2}{\sqrt{5}}\)であり、\(4\)点\(P,\ Q,\ R,\ S\)の組は\(\underline{\left(-\frac{2}{\sqrt{5}},\ \frac{2}{\sqrt{5}}\right),\ \left(\frac{2}{\sqrt{5}},\ \frac{2}{\sqrt{5}}\right),\ \left(\frac{2}{\sqrt{5}},\ -\frac{2}{\sqrt{5}}\right),\ \left(-\frac{2}{\sqrt{5}},\ -\frac{2}{\sqrt{5}}\right)}\)となる。
解説
楕円をベースにした計算問題である。式で示そうとすると、\((2)\)の過程で出てきた二次方程式を解く必要がある。それでも東京工業大学の問題としては難しい計算ではない。
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