[math]1992年京都大学後期文理共通問題文系2理系1

問題

\(0\)でない\(x\)の整式\(f(x)\)に対し、\(\displaystyle F(x) = \int_{0}^{x}{f(t)dt}, G(x) = \int_{x}^{1}{f(t)dt}\)とおく。ある定数\(p, q\)が存在して、\(F(G(x)) = -\{F(x)\}^2 + pG(x) + q \)が成立しているとする。
\((1)\) \(\displaystyle a = \int_{0}^{1}{f(t)dt}\)とおくとき、\(F(x)\)を\(a\)を用いて表わせ。
\((2)\) さらに、\(0\leq x\leq 1\)での\(F(x)\)の最大値が\(\displaystyle \frac{1}{2}\)であるとき、\(f(x)\)を求めよ。

方針

整式の問題では\(f(x) = a_xx^n + \cdots\)などと置くことが多いが、これはうまく行かない。

解答

\((1)\) \(\displaystyle a = \int_{0}^{1}{f(t)dt} = F(x) + G(x)\)だから、$$\begin{eqnarray}F(G(x)) & = & -\{F(x)\}^2 + pG(x) + q \\ & = & -\{a-G(x)\}^2 + pG(x) + q \end{eqnarray}$$である。したがって、\(F(x) = -(a-x)^2 + px + q\)である。\(F(0) = 0, F(1) = a\)だから、$$\begin{cases}-a^2 + q = 0 \\ -(1-a)^2 + p + q = 0\end{cases}$$となる。これから、\(p = 1-a. q = a^2\)となる。以上より、\(F(x) = -(a-x)^2 + (1-a)x + a^2 = \underline{-x^2 + (a+1)x}\)となる。

\((2)\) \((1)\)から\(\displaystyle F(x) = -\left(x-\frac{a+1}{2}\right)^2+\frac{(a+1)^2}{4}\)であるから、\(F(x)\)の\(0\leq x\leq 1\)における最大値の候補は\(\displaystyle F(0), F(1), F\left(\frac{a+1}{2}\right)\)である。ただし、\(\displaystyle F\left(\frac{a+1}{2}\right)\)については\(\displaystyle 0\leq \frac{a+1}{2}\leq 1 \iff -1\leq a\leq 1\)のときである。\(\displaystyle F(0), F(1), F\left(\frac{a+1}{2}\right) \)の値は順に\(\displaystyle 0, a, \frac{(a+1)^2}{4}\)である。\(a\)が最大値だとすると、\(\displaystyle a = \frac{1}{2}\)であるが、このとき\(\displaystyle \frac{(a+1)^2}{4} = \frac{9}{16}\)となり、これは\(a\)よりも大きい。したがって、\(\displaystyle \frac{(a+1)^2}{4} = \frac{1}{2}\)であり、\(-1\leq a\leq 1\)を考慮すると、\(a = \sqrt{2}-1\)となる。これから、\(f(x) = F^{\prime}(x) = -2x + (a+1) = \underline{-2x + \sqrt{2}}\)となる。

解説

\((1)\) 大局的な見方が重要で、すべての\(x\)に対して$$F(G(x)) = -(a-G(x))^2 + pG(x) + q$$が成立しているので、当然\(F(x) = -(a-x)^2+px+q\)でなければいけない。これは\(F(x)\)が整式であるから成り立つ。ここまでくれば、後は条件から\(p, q\)を決定するだけである。

\((2)\) 二次関数の場合分けの問題である。\((1)\)が出来たのであれば確実に得点したい。

実は\((1)\)がなくても解く方法はある。

別解

\(F^{\prime}(x) = f(x), G^{\prime}(x) = -f(x)\)に注意すると、\(\displaystyle F(G(x)) = -\{F(x)\}^2 + pG(x)+q\)の両辺を\(x\)で微分して、$$f(G(x))\{-f(x)\} = -2F(x)f(x) -pf(x)$$となる。\(f(x)\)は\(0\)でないから、両辺を\(f(x)\)で割って、$$f(G(x)) = 2F(x) + p$$である。これをもう一回微分して、$$f^{\prime}(G(x))\{-f(x)\} = 2f(x)$$となる。つまり、$$f^{\prime}(G(x)) = -2$$である。すべての実数\(x\)についてこの式が成り立つので、\(f^{\prime}(x) = -2\)である。これより\(f(x) = -2x + c\)となり、\(F(x) = -x^2+cx\)である\(\cdots\)

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