[math]2002年度前期京都大学文系数学問題1

問題

数列\(\{a_n\}\)の初項\(a_1\)から第\(n\)項までの和を\(S_n\)と表す。この数列が、$$a_1 = 0, a_2 = 1, (n-1)^2a_n = S_n\ (n\geq 1)$$を満たすとき、一般項\(a_n\)を求めよ。

方針

数列の和を考えるとき、最も基本的な事実は、\(S_n-S_{n-1}= a_n\)が成り立つことである。

解答

$$(n-1)^2a_n = S_n\ (n\geq 1) \tag{a}$$より、$$n^2a_{n+1} = S_{n+1}\ (n\geq 1) \tag{b}$$である。式\((b)-(a)\)を作り、\(S_{n+1}-S_n = a_{n+1}\)に注意すると、$$n^2a_{n+1}-(n-1)^2a_n = a_{n+1}\ (n\geq 1)$$となる。整理して、$$(n-1)(n+1)a_{n+1} = (n-1)^2a_n$$である。\(n > 1\)のとき両辺を\(n-1\)で割って、さらに\(n\)を掛けると、$$(n+1)na_{n+1} = n(n-1)a_n$$となる。よって、数列\(\{n(n-1)a_n\}\)は定数列で、$$n(n-1)a_n = 2\cdot (2-1)\cdot a_2 = 2$$である。よって、\(\displaystyle \underline{a_n = \frac{2}{n(n-1)}\ (n\geq 2) }\)となる。また、\(a_1 = 0\)である。

解説

\(S_n-S_{n-1} = a_n\)は\(S_0 = 0\)とすれば、\(n = 1\)の時にも成立する。一般に、数列の問題を解く時は、添字が\(0\)になるときは十分に注意する必要がある。

この問題は京大としては穏やかな方である。解答のように定数列の形を作るのが簡単だと思うが、予想して帰納法という流れでも良い。\(a_1\)だけは別に記述しなくてはいけない。

同じ年に理系では下のような問題が出題された。多少難しいが、やることはほとんど同じである。理系の人は自分で解答を作ってみると良い。解答のみを記載する。

理系の問題(問題1)

数列\(\{a_n\}\)の初項\(a_1\)から第\(n\)項までの和を\(S_n\)と表す。この数列が、$$a_1 = 0, \lim_{n\to\infty}{S_n} = 1, n(n-2)a_{n+2} = S_n\ (n\geq 1)$$を満たすとき、一般項\(a_n\)を求めよ。

解答

\(\displaystyle \underline{a_n = \frac{1}{(n-1)(n-2)}\ (n\geq 3), a_1 = 1, a_2 = -1}\)

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