[math]1982年東京大学数学文系問題3

問題

\(a, b\)を整数として、\(x\)の\(4\)次方程式\(x^4 + ax^2+b=0\)の\(4\)つの解を考える。いま、\(4\)つの解の近似値\(-3.45, -0.61, 0.54, 3.42\)がわかっていて、これらの近似値のご差の絶対値は\(0.05\)以下であるという。真の解を少数第二位まで正しく求めよ。

方針

計算だけといえば計算だけだが、その計算が非常に厳しい。先ず最初に与えられた\(4\)次方程式の左辺が偶関数であるので、ある\(\alpha\)が解なら\(-\alpha\)も解になる。これと、与えられている数値近似と誤差を使うと、解答での解の範囲が分かる。

解答

\(f(x) = x^4+ax^2+b\)とする。\(f(x)\)は偶関数なので、\(f(x) = 0\)の解は\(-\beta, -\alpha, \alpha, \beta\ (0 < \alpha < \beta)\)とおける。条件から、$$\begin{cases}-3.45-0.05\leq -\beta\leq -3.45 + 0.05 \\ -0.61-0.05\leq -\alpha \leq -0.61+0.05 \\ 0.54-0.05\leq \alpha\leq 0.54+0.05\\ 3.42-0.05\leq \beta \leq 3.42+0.05 \end{cases}$$である。これを整理すると、\(0.56\leq \alpha\leq 0.59, 3.4\leq \beta\leq 3.47\)を得る。解と係数の関係から、\(b = {(\alpha\beta)}^2\)だから、$$(0.56)^2(3.4)^2\leq b\leq (0.59)^2(3.47)^2$$となる。計算すると、\(3.625216\leq b\leq 4.19143729\)となる。\(b\)は整数だから、\(b = 4\)である。

続いて、\(f(x)\)は\(4\)次関数で、\(x\to \pm\infty\)で\(\infty\)となるから、\(f(3.4) < f(\beta) < f(3.47)\)が言える。数値を代入して、$$133.6336+11.56a + 4 < 0 < 144.9832728 + 12.0409a + 4$$である。整理して、\(-12.37310108 < a < -11.90602076\)となる。\(a\)は整数だから、\(a= -12\)である。

以上から、\(f(x) = x^4 -12x^2 + 4 = (x^2+2)^2 -16x^2 = (x^2+2+4x)(x^2+2-4x) \)となるので、\(f(x) = 0\)の解は\(x = -2-\sqrt{2}, -2+\sqrt{2}, 2-\sqrt{2}, 2+\sqrt{2}\)の\(4\)つである。\(1.414 < \sqrt{2} < 1.415\)に注意すると、$$\begin{cases}0.585 < 2-\sqrt{2} < 0.586 \\ 3.414 < 2+\sqrt{2} < 3.415\end{cases}$$となるから、真の解を少数第二位まで書くと、順に\(\underline{-3.41, -0.58, 0.58, 3.41}\)となる。

解説

\(\alpha, \beta\)の範囲がわかってからも頭の使いどころが必要で、解答では解と係数の関係から、\(b = {(\alpha\beta)}^2\)を計算して、\(b\)が整数という条件から求めている。ここからもさらにステップが必要で、\(a\)を求めるハードな数値計算が待ち受けている。解答では全桁計算しているが実際の答案ではここまでする必要はない。\(a, b\)が求まれば無事解の値は分かる。実際に解を求めることができる割には問題の表現はやや勿体ぶった印象である。実際に解を求めずとも答えを出す方法があるのかも知れない。ただし、一般に数値近似の問題では、実際の数値そのものが求まるならばそれを求めてしまう方が方法としては楽になる。

関連問題

1989年京都大学理系後期数学理学部専用問題 二次方程式と整数、解と係数の関係
1991年京都大学前期文系数学問題4 数と式、解と係数の関係

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