[math]2020年前期東京工業大学数学問題1

問題

次の問に答えよ。
\((1)\) \(\mid x^2-x-23\mid\)の値が、\(3\)を法として\(2\)に合同である正の整数\(x\)をすべて求めよ。
\((2)\) \(k\)個の連続した正の整数\(x_1, \cdots, x_k\)に対して、$$\mid {x_j}^2-x_j-23 \mid\ (1\leq j\leq k)$$の値がすべて素数になる\(k\)の最大値と、その\(k\)に対する連続した正の整数\(x_1, \cdots, x_k\)をすべて求めよ。ここで\(k\)個の連続した整数とは、$$x_1, x_1+1, x_1+2,\cdots, x_1+k-1$$となる列のことである。

方針

\((1)\) 絶対値の合同なので、慎重に考えなくてはいけない。

\((2)\) \(x_j\)が\(23\)の倍数の時、\({x_j}^2-x_j-23 = x_j(x_j-1)-23\)なので、これは\(23\)で割り切れる。したがって、\(k < 23\)であることはわかる。

解答

\((1)\) \((i)\) \(x \equiv 0 \pmod{3}\)の時、\(x\)は正の整数なので、\(x = 3, 6, 9, \cdots\)である。\(x = 3\)の時、\(\mid x^2-x-23 \mid = 17 \equiv 2 \pmod{3}\)である。\(x\geq 6\)の時は\(x^2-x-23 > 0\)なので、\(\mid x^2-x-23 \mid = x^2-x-23\)である。すると、\(x^2-x-23 \equiv -23 \equiv 1 \pmod{3}\)である。

\((ii)\) \(x \equiv 1 \pmod{3}\)の時、\(x\)は正の整数なので、\(x = 1, 4, 7, \cdots\)である。\(x = 1\)の時、\(\mid x^2-x-23\mid = 23 \equiv 2 \pmod{3}\)である。\(x = 4\)の時、\(\mid x^2-x-23\mid = 11 \equiv 2 \pmod{4}\)である。\(x\geq 7\)の時は\(x^2-x-23 > 0\)なので、\(\mid x^2-x-23 \mid = x^2-x-23\)である。すると、\(x^2-x-23 \equiv -23 \equiv 1 \pmod{3}\)である。

\((iii)\) \(x\equiv 2 \pmod{3}\)の時、\(x\)は正の整数なので、\(x = 2, 5, 8, \cdots\)である。\(x = 2\)の時、\(\mid x^2-x-23 \mid = 0 \pmod{3}\)である。\(x = 5\)の時、\(\mid x^2-x-23 \mid = 0 \pmod{3}\)である。\(x\geq 8\)の時、\( x^2-x-23 > 0\)なので、\(\mid x^2-x-23 \mid = x^2-x-23\)である。すると、\(x^2-x-23 \equiv 0 \pmod{3}\)である。

以上から、求める正の整数は\(\underline{1, 3, 4}\)である。

\((2)\) \(f(x) = \mid x^2-x-23\mid\)と置く。$$\begin{eqnarray}f(1) & = & 23 \\ f(2) & = & 21 \\ f(3) & = & 17 \\ f(4) & = & 11 \\ f(5) & = & 3 \\ f(6) & = & 7 \\ f(7) & = & 19 \\ f(8) & = & 33\end{eqnarray}$$である。\(x\geq 6\)の時、\(x^2-x-23 > 0\)だから、\(\mid x^2-x-23\mid = x^2-x-23\)である。これは\(x\geq 6\)で増加関数である。\((1)\)から\(x\equiv 2 \pmod{3}\)の時、\(\mid x^2-x-23 \mid \equiv 0 \pmod{3}\)である。つまり、\(x\)を\(3\)で割って\(2\)余る時、\(\mid x^2-x-23\mid\)は\(3\)で割り切れる。\(k\geq 6\)で\(f(x)\)は\(3\)より大きい増加関数なので、\(x\geq 6\)かつ\(x \equiv 2 \pmod{3}\)の時\(f(x)\)は素数にはならない。

これをまとめると、\(x\geq 6\)の時は高々\(k = 2\)である。\(f(3), f(4), f(5), f(6), f(7)\)は素数であるから、求める\(k\)の最大値は\(\underline{5}\)で、\(\underline{(x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) = (3, 4, 5, 6, 7)}\)である。

解説

オイラーの素数生成多項式というものが知られている。これは$$f(n) = n^2-n+41$$が\(n = 1, 2, \cdots, 40\)ですべて素数になるというものである。残念ながら、$$\begin{eqnarray}f(41) & = & 41^2-41+41\end{eqnarray}$$は\(41\)で割り切れるので、素数にはならない。東京工業大学の問題はこれを題材にしたものであるが、絶対値がついているのでやや慎重に取り組む必要がある。

この問題では、\((1)\)に取り組む過程で\(x \equiv 2 \pmod{3}\)であれば\(f(x) \equiv 0 \pmod{3}\)がわかる。それでも、\(f(x) = 3\)ならばこれは素数なので、そこら辺も含めて議論しなくてはいけない。\((2)\)だけ出題されたらとても難しいが、\((1)\)は良質なヒントである。

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