[math]1999年京都大学後期理系数学問題4

問題

三角形\({ABC}\)は鋭角三角形とする。このとき、各面すべてが\(ABC\)と合同な四面体が存在することを示せ。

方針

よく知られた方法として下のように直方体の中に四面体を埋め込む方法がある。ここでは座標空間を用いて題意のような四面体の存在を示す。

等面四面体の構成方法

解答

\(xyz\)座標空間に\(A(0, 0, 0), B(1, 0, 0), C(p, q, 0)\)となるように三角形\(ABC\)を配置する。

座標空間

\(ABC\)が鋭角三角形であることから、$$\begin{cases}p^2+q^2 + (p-1)^2+q^2 > 1 \\ (p-1)^2 + q^2+1 > p^2+q^2 \\ 1+p^2+q^2 > (p-1)^2 + q^2\end{cases}$$である。整理してまとめると、$$0 < p < 1, \left(p-\frac{1}{2}\right)^2+q^2 > \frac{1}{4} \tag{a}$$である。このとき、\(DA = BC, DB = AC, DC = AB\)であるような点\(D\)が存在すれば題意が成り立つ。\(D(x, y, z)\ (z > 0)\)とする。上の条件は$$\begin{cases}x^2+y^2+z^2 = (p-1)^2 + q^2 \\ (x-1)^2 + y^2+z^2 = p^2+q^2 \\ (x-p)^2+(y-q)^2 + z^2 = 1\end{cases}$$である。一番上の式と真ん中の式の差を作り、整理すると\(x = -p+1\)である。これを真ん中の式と一番下の式に代入し、$$\begin{cases}y^2+z^2 = q^2 \\ (y-q)^2+z^2 = -4p^2+4p \end{cases} \tag{b}$$である。式\((b)\)の差を作り、\(2qy-q^2 = q^2+4p^2-4p\)となる。条件\((a)\)から\(q\ne 0\)がわかるので(\(pq\)平面に条件を図示するとすぐに分かる)、\(\displaystyle y = \frac{q^2+2p^2-2p}{q}\)となる。式\((b)\)の上の式に代入して、$$\begin{eqnarray}z^2 & = & q^2-y^2 \\ & = & (q+y)(q-y) \\ & = & \left(q+\frac{q^2+2p^2-2p}{q}\right)\left(q-\frac{q^2+2p^2-2p}{q}\right) \\ & = & \frac{4}{q^2}(q^2+p^2-p)(-p^2+p) \\ & = & \frac{4}{q^2}\left(\left(p-\frac{1}{2}\right)^2+q^2-\frac{1}{4}\right)(-p^2+p)\end{eqnarray}$$となるが、条件\((a)\)からこれは正となるので、\(\displaystyle z = \frac{2}{q}\sqrt{(p^2-p+q^2)(-p^2+p)}\)となるような\(z\)が存在する。よって、面すべてが三角形\(ABC\)と合同であるような四面体が存在する。

解説

このような四面体を等面四面体という。方針の図を書いてその存在を示すことが多いが、天下り的である。座標空間の計算で示すことも覚えておくと良い。高校数学では図形の問題は空間座標に載せることで簡単に解決してしまうことがままある。べクトルが好きだから図形の問題はすべてべクトルで解く、などというように手法に拘泥せずに、色々な手法が使えるような学習を心がけると良い。

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なし。

コメント

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