[math]2008年京都大学前期理系乙数学問題3

問題

空間の\(1\)点\(O\)と通る\(4\)直線で、どの\(3\)直線も同一平面上にないようなものを考える。このとき、\(4\)直線のいずれとも\(O\)以外の点で交わる平面で、\(4\)つの交点が平行四辺形の頂点になるようなものが存在することを示せ。

方針

図形的に、感覚的に示すのではなく、ベクトルを用いるのが良い。

解答

\(4\)直線に平行な単位ベクトルを順に\(\vec{x}, \vec{y}, \vec{z}, \vec{w}\)とすると、どの\(3\)直線も同一平面上にないから、定数\(a, b, c (abc\ne 0)\)を用いて$$\vec{w} = a\vec{x}+b\vec{y}+c\vec{z} \tag{a}$$と表すことができる。今、$$p\vec{x}-q\vec{y} = r\vec{z}-s\vec{w} \tag{b}$$となる実数\(p, q, r, s (pqrs \ne 0)\)が存在すれば、\(\overrightarrow{OP} = p\vec{x}, \overrightarrow{OQ} = q\vec{y}, \overrightarrow{OR}=r\vec{z}, \overrightarrow{OS} = s\vec{w}\)は平行四辺形の頂点であり、いずれも\(O\)とは異なる。そこで、\((b)\)式を\((a)\)に代入すると、$$p\vec{x}-q\vec{y} = r\vec{z}-s(a\vec{x}+b\vec{y}+c\vec{z})$$となる。整理すると、$$(p+sa)\vec{x}+(-q+sb)\vec{y}+(-r+sc)\vec{z} = \vec{0}$$となる。これより、$$\begin{cases}p+sa = 0 \\ -q+sb = 0 \\ -r+sc = 0\end{cases}$$となるが、これを満たす\(p, q, r, s (pqrs \ne 0)\)として\(\displaystyle p = 1, q = -\frac{b}{a}, r = -\frac{c}{a}, s = -\frac{1}{a}\)が取れるので、題意が証明される。

解説

いかにも京大っぽい問題で、\(4\)本の直線があってどの\(3\)本も同一平面上にはないのだから、\(4\)つ目のベクトルは他の\(3\)つを使って表すことができる。解答では単位ベクトルとしていますが別に意味はなく、単位ベクトルでなくても問題はない。こう設定したときにもしも上の解答の\(a, b, c\)のうち一つでも\(0\)であるとすると、\(4\)直線のうちどの\(3\)本も同一平面上にないという部分に反するので、\(abc\ne 0\)である。そのように設定すると、上の解答の\((b)\)のように作ることができれば、題意の成立がわかる。\(\overrightarrow{QP} = \overrightarrow{SR} (\overrightarrow{QS} = \overrightarrow{PR})\)となるからである。

その後は、\(p, q, r, s\)は自分で適当に設定して問題ない。存在証明の問題なので例を一つ挙げることができればおしまいである。実際に相似なものを含めると、題意を満たすような平行四辺形は無数に存在する筈である。なお、\(p, q, r, s\)を出すと、式\((b)\)の両辺が\(\vec{0}\)にはならないことはすぐに分かる。もしも\(\vec{0}\) だとすると、\(\displaystyle \vec{x}+\frac{b}{a}\vec{y} = \vec{0} (ab\ne -)\)となるが、これだと\(\vec{x}\)と\(\vec{y}\)が平行になってしまう。

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コメント

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