[math]2021年東京医科歯科大学医学科数学問題3

問題

\(a, b\)を正の実数とし、曲線\(\displaystyle C: y = b\sqrt{1+\frac{x^2}{a^2}}\)を考える。このとき以下の各問に答えよ。
\((1)\) \(u\)を実数とし、\(C\)上の点\(\displaystyle \left(u, b\sqrt{1+\frac{u^2}{a^2}}\right)\)における接線の方程式を、\(a, b, u\)を用いて表わせ。
\((2)\) \(C\)上の異なる\(2\)点における接線の交点の全体からなる領域を図示せよ。
\((3)\) \((2)\)の領域にある点\((p, q)\)について、点\((p, q)\)を通る\(C\)の接線の接点をすべて通る直線の方程式を\(a, b, p, q\)を用いて表わせ。

方針

\((1)\)は単純に解いてもいいし、双曲線の接線の公式を利用しても良い。
\((2)\)は普通に数式で解く意義に乏しいと思われる。
\((3)\) よくある考え方が利用できる。

解答

\((1)\) \(\displaystyle y^{\prime} = b\frac{\frac{x}{a^2}}{\sqrt{1+\frac{x^2}{a^2}}}\)だから、求める接線の方程式は、$$\begin{eqnarray} y & = & \frac{b}{a^2}\frac{u}{\sqrt{1+\frac{u^2}{a^2}}}(x-u)+b\sqrt{1+\frac{u^2}{a^2}} \\ & = & \frac{bu}{a\sqrt{a^2+u^2}}x-\frac{bu^2}{a\sqrt{a^2+u^2}}+\frac{b}{a}\sqrt{a^2+u^2}\\ & = & \frac{bu}{a\sqrt{a^2+u^2}}x+\frac{b(a^2+u^2)-bu^2}{a\sqrt{a^2+u^2}} \\ & = & \frac{bu}{a\sqrt{a^2+u^2}}x+\frac{a^2b}{a\sqrt{a^2+u^2}} \end{eqnarray}$$となる。よって、答えは\(\displaystyle \underline{y = \frac{b}{a\sqrt{a^2+u^2}}(ux+a^2)}\)となる。

\((1)\)の別解: \(C\)の方程式を変形すると、$$\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2} = -1$$である。この方程式の接線は$$\frac{ux}{a^2}-\frac{b\sqrt{1+\frac{u^2}{a^2}}y}{b^2}=-1$$となり、変形すると上の答えと同一になる。

\((2)\) 曲線\(C\)の漸近線は\(\displaystyle \frac{x}{a}\pm \frac{y}{b} = 0\)である。曲線\(C\)は次の図の双曲線の上の部分で、異なる\(2\)点における接線の交点は\(\displaystyle y = b\sqrt{1+\frac{x^2}{a^2}}\)の下の部分を動く。すなわち、\(\displaystyle y < b\sqrt{1+\frac{x^2}{a^2}}\)である。ただし、接線は漸近線と一致することはないので、交点が動くのは\(\displaystyle y > \frac{b}{a}x \)かつ\(\displaystyle y > -\frac{b}{a}x\)の部分となる。図示すると以下のようである。

図示。

\((3)\) 接点の座標を\((x_0, y_0)\)として、\((1)\)から\(C\)の接線は$$\displaystyle \frac{x_0x}{a^2}-\frac{y_0y}{b^2} = -1$$となる。これが点\((p, q)\)を通るので、$$\displaystyle \frac{px_0}{a^2}-\frac{qy_0}{b^2} = -1$$である。\((x_0, y_0)\)は曲線\(C\)上を動くので、\(\displaystyle \underline{\frac{px}{a^2}-\frac{qy}{b^2}=-1}\)が求める曲線そのものである。

解説

誘導の流れがいまひとつすっきりしない。\((2)\)を数式で押すのは制限時間を考えると難しそうである。\((3)\)の結論に至っては当たり前であるが、計算で示そうとして撃沈した受験生も多かったかもしれない。

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