[math]1987年東京医科歯科大学数学問題2

問題

\(1\)から\(m\)までの番号が\(1\)つずつ書いてある\(m\)枚のカードが入っている箱 がある。この箱から \(1\) 枚ずつ取り出してはまたもとに戻す操作を\(n\) 回 くり返し、第\(i\)回目に取り出されたカードの番号を\(a_i\)とする。\(a_1\geq a_2\geq \cdots a_n\)となる確率を\(p(m, n)\)で表すとき、次の値を求めよ。
\((1)\) \(p(2, n)\)
\((2)\) \(p(3, n)\)
\((3)\) \(p(4, 7)\)
\((4)\) \(p(4, n)\)

方針

何回も同じことを繰り返すよりも一気に解いてしまう方が良い。

解答

$$a_1\geq a_2 \geq \cdots a_n$$を同値変換すると、$$1\leq a_n< a_{n-1}+1<a_{n-2}+2<\cdots < a_2+(n-2)<a_{1}+(n-1)\leq m+n-1$$となる。つまり、この問題の場合の数は、\(1\)から\(m+n-1\)までの整数の中から\(n\)個を選んで小さい順に\(a_n, a_{n-1}+1, a_{n-2}+2, \cdots, a_1+n-1\)とするような組み合わせの個数である。そのような選び方\(_{m+n-1}\mathbb{C}_n\)通りである。全体のカードの選び方は\(m^n\)通りであるから、求める確率は\(\displaystyle p(m, n) = \frac{_{m+n-1}\mathbb{C}_{n}}{m^n}\)となる。答えは以下のとおりである。
\((1)\) \(\displaystyle p(2, n) = \frac{n+1}{2^n}\)
\((2)\) \(\displaystyle p(3, n) = \frac{(n+2)(n+1)}{2\cdot 3^n}\)
\((3)\) \(\displaystyle p(4, 7) = \frac{15}{2048}\)
\((4)\) \(\displaystyle p(4, n) = \frac{(n+3)(n+2)(n+1)}{6\cdot 4^n}\)

解説

いやな問題で、最初に一般的に解こう、と決めれば高得点をあげるこ とが出来るが、\((1)\)から順番に考えていくと嵌ってしまう。この年の全体的な難易度を考えると、医学科の受験生ならばこの問題は完答しておきたいところである。まず、この問題は確率の問題ではなく、場合の数の問題と認識することが重要である。全体の場合の数は、\(m^n\)通りとすぐに分かるので、$$a_1\geq a_2\geq \cdots a_n$$となるような場合の数を求めればよい。このままだと数えにくいので、同値である$$1\leq a_n<a_{n-1}+1<a_{n-2}+2<\cdots < a_2+(n-2)<a_1+(n-1)\leq m+n-1$$と言い換えてしまう。こうすることで問題を\(1\)から\(m+n-1\)の中から異なる\(n\)個を選ぶ場合の数を求めるというように、簡単にすることが出来る。後はそうして選んだ整数を小さい方から順に、$$a_n, a_{n-1}+1, a_{n-2}+2, \cdots, a_1+n-1$$とすれば\(a_i\)が一意に定まる。巧妙な考え方であるが、医科歯科大ではこの考え方が決め手となる(知っていれば一発で解決できてしまう)という問題 が過去数回出題されている。

関連問題

2006年度前期東京医科歯科大学数学問題1 数列、場合の数、置き換え

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