[math]2000年京都大学文系前期数学問題2

問題

実数\(x_1, x_2, \cdots, x_n\ (n\geq 3)\)が条件\(x_{k-1}-2x_k+x_{k+1} > 0\ (2\leq k\leq n-1)\)をみたすとし、\(x_1, \cdots, x_n\)の最小値を\(m\)とする。このとき、\(x_l = m\)となる\(l\ (1\leq l\leq m)\)の個数は\(1\)または\(2\)であることを示せ。

方針

与えられた不等式を、三項間漸化式を解く時のように変形する。

解答

\(x_{k-1}-2x_k+x_{k+1} > 0\ (2\leq k\leq n-1)\)を変形すると、\(x_{k-1}-x_k > x_{k}-x{k+1}\)となる。これから、$$x_1-x_2 > x_2-x_3 > x_3-x_4 > \cdots > x_{n-1}-x_n \tag{a}$$である。
\((i)\) \(x_1\leq x_2\)の時、式\((a)\)から\(x_1<x_2<x_3<\cdots < x_n\)となるから、最小値を与える\(l\)は\(l=1\)か\(l=1, 2\)の\(1\)個か\(2\)個である。
\((ii)\) \(x_{n-1}\geq x_n\)の時、式\((a)\)から\(x_n\leq x_{n-1}<\cdots < x_2<x_1\)となるから、最小値を与える\(l\)は\(l=n\)か\(l=n-1, n\)の\(1\)個か\(2\)個である。
\((iii)\) 上記以外の時、ある自然数\(j\ (2\leq j\leq n-1)\)で、\(x_{j-1}-x_j\geq 0>x_{j}-x_{j+1}\)を満たすものが存在し、式\((a)\)より$$x_1-x_2>x_2-x_3>\cdots >x_{j-1}-x_j\geq 0$$ $$0 > x_j-x_{j+1} > x_{j+1}-x_{j+2} > \cdots x_{n-1}-x_n$$となる。つまり、\(x_1>x_2>\cdots >x_{j-1}\geq x_j\)かつ\(x_j<x_{j+1}<\cdots < x_n\)となるから、最小値を与える\(l\)は\(l = j\)か\(l = j-1, j\)の\(1\)個か\(2\)個である。

解説

解法の鍵は最初に与えられた漸化式を、三項間漸化式を解くときと同じように変形し、議論の出来る形にまで持っていくことである。それが出来ればあとは式\((a)\)を眺めて何処に\(0\)がくるのかで場合分けすれば良い。しかし、最初の変形が出来なかった受験生も大勢いたことだと思われる。最初の着眼が難しい問題である。

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