[math][東京医科歯科大学][座標平面]1988々東京医科歯科大学数学問題1

問題

\((1)\) 次の式で表される曲線\(C\)を書け。$$C: \mid y+1\mid \mid y-1\mid + \mid x\mid = 1\ (y\geq 0) $$
\((2)\) 直線\(x = a\ (a > 0)\)が曲線\(C\)と\(2\)点\(P, Q\)で交わっているとする。\(PQ\)を\(1\)辺とし、\(4\)頂点が曲線\(C\)上にある長方形\(PQRS\)の面積が最大になるときの\(a\)の値を求めよ。

方針

\((1)\) 絶対値つきの関数、しかも通常と\(x, y\)の関係が逆になっており戸惑うが、冷静に場合分けをする。\(x, y\)の関係が逆になった グラフは無理に\(y = \)の形にしないで、頭を\(90^\circ\) 傾けて図を描くと良い。

解答

\((1)\) $$\begin{eqnarray}\mid x \mid & = & 1-\mid y^2-1\mid \\ & = & \begin{cases}1 + (y^2-1)\ (0\leq y\leq 1)\\ 1-(y^2-1)\ (y\geq 1)\end{cases} \\ & = &\begin{cases}y^2\ (0\leq y\leq 1)\\-y^2+2\ (y\geq 1) \end{cases}\end{eqnarray}$$であるから、\(x\geq 0\)の領域についてグラフを書くと次の図の様になる。

\(x\geq 0\)の部分。

求めるグラフはこれを\(y\)軸に関して折り返したもので、曲線\(C\)の概形は以下の図の実線部の様になる。

曲線\(C\)の概形。

\((2)\) 上で求めた方程式を\(y\)について解き、点\(P\)の座標は\((a, \sqrt{2-a})\)であり、点\(Q\)の座標は\((a, \sqrt{a})\)であることがわかる。

\(P, Q\)の配置。

題意の長方形の面積を\(S\)とすると、\(S = 2a(\sqrt{2-a}-\sqrt{a})\ (0<a<1)\)である。これから、$$\begin{eqnarray}\frac{1}{2}\cdot\frac{dS}{da} & = & \sqrt{2-a}-\sqrt{a}-a\left(\frac{1}{2\sqrt{2-a}}+\frac{1}{2\sqrt{a}}\right)\\ & = & \frac{2(2-a)-a}{2\sqrt{2-a}}-\frac{3}{2}\sqrt{a}\\ & = & \frac{4-3a}{2\sqrt{2-a}}-\frac{3}{2}\sqrt{a} \tag{a}\\ & = & \frac{3(2-a)-2}{2\sqrt{2-a}}-\frac{3}{2}\sqrt{a} \\ & = & \frac{3}{2}\sqrt{2-a}-\frac{1}{\sqrt{2-a}}-\frac{3}{2}\sqrt{a} \end{eqnarray}$$となる。今、\(0<a<1\)の時\(\displaystyle \frac{3}{2}\sqrt{2-a}, -\frac{1}{\sqrt{2-a}}, -\frac{3}{2}\sqrt{a}\)はいずれも\(a\)についての減少関数である。したがって、\(\displaystyle \frac{dS}{da}\)は\(a\)についての減少関数である。\(a = 0\)の時\(\displaystyle \frac{dS}{da} = 2\sqrt{2} > 0\)であり、\(a=1\)の時\(\displaystyle \frac{dS}{da} = -1 < 0\)であるから、\(0<a<1\)に\(\displaystyle \frac{dS}{da} = 0\)となるような\(a\)がただ一つだけ存在する。そのような\(a\)の前後で\(\displaystyle \frac{dS}{da}\)は符号を正から負に変えるので、求める\(a\)はこれである。上の式中の\((a)\)式から、\(\displaystyle \frac{4-3a}{2\sqrt{2-a}}-\frac{3}{2}\sqrt{a} = 0\)である。整理すると、\(4-3a = 3\sqrt{a}\sqrt{2-a}\)である。両辺を二乗して\(16-24a+9a^2 = 9a(2-a)\)であり、整理すると\(9a^2-21a+8=0\)となる。\(0<a<1\)に注意してこの二次方程式を解くと、\(\displaystyle \underline{a=\frac{7-\sqrt{17}}{6}}\)となり、これが求める答えである。

解説

\((1)\) ここでミスをすると後半の得点が全部なくなってしまうので、 慎重に。

\((2)\) 今度は座標を出す必要があるので、\((1)\)で求めたグラフの式を\(y = \)の形にする。面積を\(S\)とすると式は簡単に出るが、微分してもすぐにはどうしたらいいのかが分からない。微分をくり返しても式は複雑になるばかり。よくよく整理してみると、\(\displaystyle \frac{dS}{da}\) が\(a\)についての減少関数であることが分かるが\(\cdots\)。教科書レベルの演習がしっかり出来ている受験生には何とかなるレベルであるが、なかなか難しいのかもしれない。二次方程式なので\(2\)つの\(a\)が出てくるが、範囲には注意を。

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