[math]1971年東京大学文理共通問題文系問題2理系問題2

問題

正数\(x\)を与えて、$$2a_1 = x, 2a_2 = {a_1}^2+1, \cdots, 2a_{n+1} = {a_n}^2+1, \cdots$$のように数列\(\{a_n\}\)を定めるとき、
\((1)\) \(x\ne 2\)ならば\(a_1 < a_2<\cdots < a_n < \cdots\)となることを証明せよ。
\((2)\) \(x<2\)ならば、\(a_n<1\)となることを証明せよ。このとき正数\(\epsilon\)を\(\displaystyle 1-\frac{x}{2}\)より小となるようにとって、\(a_1, a_2, \cdots, a_n\)までが\(1-\epsilon\)以下となったとすれば、個数\(n\)について次の不等式が成り立つことを証明せよ。$$2-x > n{\epsilon}^2$$

方針

\((2)\)が難しい。順序良く示せた受験生は少ないだろう。手を動かしているうちに解決した、というタイプの問題。

解答

\((1)\) 与えられた漸化式から、$$a_{n+1}-a_n = \frac{(a_n-1)^2}{2}\geq 0 \tag{a}$$となるから、\(\displaystyle a_1 = \frac{x}{2}\ne 1\)ならば\(a_1 < a_2 < \cdots < a_n < \cdots\)となる。

\((2)\) 与えられた漸化式から$$1-a_{n+1} = \frac{(1-a_n)(1+a_n)}{2}$$である。\(x\)は正数であることと、与えられた漸化式から\(a_n+1\)は正である。なので\(1-a_n\)の符号は\(\displaystyle 1-a_n = 1-\frac{x}{2}\)の符号に等しく、これは正である。よって、\(x < 2\)ならば\(a_n<1\)となる。次に、式\((a)\)から\((1-a_k)^2 = 2(a_{k+1}-a_k)\)であることに注意すると、与えられた条件から\(\epsilon < 1-a_k\ (1\leq k\leq n)\)だから、$${\epsilon}^2 < (1-a_k)^2 = 2(a_{k+1}-a_k) \tag{b}$$がわかる。式\((b)\)で\(k = 1, 2, \cdots, n\)として辺ごとに足して、$$n{\epsilon}^2 < 2\sum_{k=1}^{n}{(a_{k+1}-a_k)} = 2(a_{n+1}-a_1)$$がわかる。前半で\(a_n < 1\)を示したので、$$2(a_{n+1}-a_1) = {a_n}^2+1-x < 1+1-x = 2-x$$となり、\(n{\epsilon}^2 < 2-x\)が示された。

解説

\((2)\) ごちゃごちゃいじっているうちに自然にできてしまった、あるいは色々やってみたけれどどうにも解けなかった、という受験生が多かったかもしれない。試行錯誤が必要な問題で色々な解き方があると思うのが、解答のように割とあっさり解けてしまう。式変形の良い練習問題になるだろう。

関連問題

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1995年東京大学理系数学1 数と式、不等式
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1976年京都大学理系数学問題4 見かけは数列

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