[math]2006年東京大学前期理系問題1

問題

\(O\)を原点とする座標平面上の\(4\)点\(P_1, P_2, P_3, P_4\)で、条件$$\overrightarrow{OP_{n-1}}+\overrightarrow{OP_{n+1}} = \frac{3}{2}\overrightarrow{OP_{n-1}}\ (n=2, 3)$$を満たすものを考える。このとき、以下の問に答えよ。
\((1)\) \(P_1, P_2\)が曲線\(xy=1\)上にあるとき、\(P_3\)はこの曲線上にはないことを示せ。
\((2)\) \(P_1, P_2, P_3\)が円周\(x^2+y^2=1\)上にあるとき、\(P_4\)もこの円周上にあることを示せ。

方針

\((1)\)は座標を置いて解く。\((2)\)も座標でも良いし、ベクトルのまま話を進めても良い。

解答

\((1)\) \(\displaystyle P_1 =\left(p_1, \frac{1}{p_1}\right), P_2=\left(p_2, \frac{1}{p_2}\right)\)とする。与えられた漸化式で\(n=2\)として、$$\begin{eqnarray}P_3 & = & \frac{3}{2}\left(p_2, \frac{1}{p_2}\right)-\left(p_1, \frac{1}{p_1}\right)\\ & = & \left(\frac{3}{2}p_2-p_1, \frac{3}{2p_2}+\frac{1}{p_1}\right)\end{eqnarray}$$である。$$\begin{eqnarray}\left(\frac{3}{2}p_2-p_1\right)\left(\frac{3}{2p_2}-\frac{1}{p_1}\right) & = & \frac{9}{4}-\frac{3}{2}\left(\frac{p_2}{p_1}+\frac{p_1}{p_2}\right) +1\end{eqnarray}$$である。この式が\(1\)と等しい時、$$\frac{p_2}{p_1}+\frac{p_1}{p_2}=\frac{3}{2}$$となる。\(\displaystyle \frac{p_2}{p_1} = t\)とすると、\(t\ne 0\)で、\(\displaystyle t+\frac{1}{t}=\frac{3}{2}\)である。両辺に\(t\)を掛けて、\(\displaystyle t^2-\frac{3}{2}t+1=0\)となる。この二次方程式の判別式は、\(\displaystyle \frac{9}{4}-4<0\)で負となり、この式を満たす実数\(t\)は存在しない。つまり、\(\displaystyle \frac{p_2}{p_1}+\frac{p_1}{p_2}=\frac{3}{2}\)を満たす\(p_1, p_ 2\)の組は存在しない。よって、点\(P_3\)は\(xy=1\)上にはない。

\((2)\) 簡単のため\(\overrightarrow{OP_i} = \overrightarrow{a_i}\ (i=1, 2, 3, 4)\)と書く。与えられた漸化式から、$$\overrightarrow{a_3} = \frac{3}{2}\overrightarrow{a_2}-\overrightarrow{a_1}$$である。\(\mid\overrightarrow{a_i} \mid = 1\ (i=1, 2, 3) \)だから、両辺の絶対値ベクトルを考え、二乗すると、$$1 = \frac{9}{4}-3\overrightarrow{a_1}\cdot\overrightarrow{a_2}+1$$となる。よって、$$\overrightarrow{a_1}\cdot \overrightarrow{a_2} = \frac{3}{4} \tag{a}$$である。また、$$\begin{eqnarray}\overrightarrow{a_4} & = & \frac{3}{2}\overrightarrow{a_3}-a_2 \\ & = & \frac{3}{2}\left(\frac{3}{2}\overrightarrow{a_2}-a_1\right)-\overrightarrow{a_2} \\ & = & \frac{5}{4}\overrightarrow{a_2}-\frac{3}{2}\overrightarrow{a_1} \end{eqnarray}$$となる。したがって、式\((a)\)を用いると、$$\begin{eqnarray}\mid\overrightarrow{a_4} \mid ^2 & = & \frac{25}{16}-2\cdot \frac{5}{4}\cdot \frac{3}{2}\cdot \frac{3}{4}+\frac{9}{4} \\ & = & 1\end{eqnarray}$$となる。よって、\(\mid \overrightarrow{a_4}\mid = 1\)で、\(P_4\)も円\(x^2+y^2=1\)上にある。

解説

一見してベクトルの問題だが余り拘らずにどんどん座標をおいて計算してしまえば良い。\(2006\)年度の東大理系の第一問目であるが特に穴もなく、多くの受験生がよいスタートを切れただろう。\((1)\)で、\(\displaystyle \frac{p_2}{p_1} + \frac{p_1}{p_2}=\frac{3}{2}\)を得た後一瞬手が止まるかも知れないが、\(\displaystyle \frac{p_2}{p_1} = t\)などとおいてこの式を満たす実数\(t\)が存在しないことを示せそうと考えればそれほどのものではない。\((2)\)も条件をどんどん式でおいて最終的な結論を見越しながら無駄なく式変形行う。東大、京大などで出題される問題はすべてものすごい難問なんじゃないか、と考えているものも少なくないが、冷静に眺めてみると、例えば\(6\)題出題されているうち\(3, 4\)問はどこかで見たことのある問題である。そうでないとそもそもいくら一生懸命勉強しても対策のしようがない、ということになってしまう。本番では緊張していたり思わぬ勘違いをしてしまったり概して問題が難しく見えてしまうものであるが、そういう時にものを言うのが日頃の演習の経験となる。

関連問題

1966年東京工業大学数学第5問 複素数
2000年東京大学理系前期第2問 複素数平面の名問題
2000年京都大学前期文理共通問題文系問題1理系問題1 正三角形、余弦定理、円

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