[math]2011年東京医科歯科大学前期数学問題2

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問題

座標平面において、原点を\(O\)とし、次のような\(3\)点\(P, Q, R\)を考える。
\((a)\) 点\(P\)は\(x\)軸上にあり、その\(x\)座標は正である。
\((b)\) 点\(Q\)は第\(1\)象限にあって、\(OQ = QP = 1\)を満たす。
\((c)\) 点\(R\)は第\(1\)象限にあって、\(OR+PR = 2\)を満たし、かつ線分\(RP\)が\(x\)軸に垂直となる。
ただし、座標軸は第\(1\)象限に含めないものとする。このとき以下の各問に答えよ。
\((1)\) 上の条件を満たす\(2\)点\(Q, R\)が存在するような、点\(P\)の\(x\)座標が取りうる値の範囲を求めよ。
\((2)\) \((1)\)の範囲を点\(P\)が動くとき、線分\(QR\)が通過する領域を図示し、その面積を求めよ。
\((3)\) 線分\(OP\)の中点を\(M\)とする。\((1)\)の範囲を点\(P\)が動くとき、四角形\(MPRQ\)の面積を最大にする点\(P\)の\(x\)座標を求めよ。

方針

座標を置いて考えてみる。

解答

条件\((a)\)から点\(P\)の\(x\)座標を\(p (>0)\)として、点\(P(p, 0)\))とする。条件\((b)\)から点\(Q\)の座標を\((q_1, q_2 )\ (q_1 > 0, q_2 > 0)\)とすると、$${q_1}^2+{q_2}^2 = (q_1-p)^2+{q_2}^2 = 1$$となる。整理すると、$$\begin{cases}{q_1}^2+{q_1}^2=1\\ -2q_1p+p^2=0\end{cases} \tag{a}$$となる。下の式から、\(p(-2q_1+p) = 0\)となり、\(p > 0\)だから\(\displaystyle q_1 = \frac{p}{2}\)となる。上の式に代入して、\(\displaystyle q_2 = \sqrt{1-\frac{p^2}{4}}\)である。また、条件\((c)\)から点\(R\)の座標を\(R(p, r)\)とすると、$$\sqrt{{p}^2+{r}^2}+r = 2$$である。\(\sqrt{p^2+r^2}=2-r\)として両辺を二乗すると、$$p^2+r^2=4-4r+r^2$$となる。整理すると、\(\displaystyle r = \frac{4-p^2}{4}\)となる。このような\(q_1, q_2, r (q_1 > 0, q_2 > 0, r > 0)\)が存在するための必要十分条件は\(\underline{0 < p < 2}\)である。

\(P, Q, R\)の位置。

\((2)\) 点\(\displaystyle Q \left(\frac{p}{2}, \sqrt{1-\frac{p^2}{4}}\right)\)となり、点\(\displaystyle R\left(p, \frac{4-p^2}{4}\right)\)となる。したがって、点\(Q\)は半径\(1\)の円の一部を動き、点\(R\)は放物線の一部を動く。図示すると以下のようになる。この領域を線分\(QR\)は動くから、求める面積を\(S\)とすると、$$\begin{eqnarray}S & = & \int_{0}^{2}{\frac{4-x^2}{4}dx}-\frac{\pi}{4}\\ & = & 2-\left[\frac{x^3}{12}\right]_{0}^{2}-\frac{\pi}{4} \\ & = & \frac{4}{3}-\frac{\pi}{4} \end{eqnarray}$$となる。よって、求める面積は\(\displaystyle \underline{\frac{4}{3}-\frac{\pi}{4}}\)である。

\(Q\)は\(\sqrt{1-x^2}\)の一部を、\(R\)は\(1-\frac{x^2}{4}\)の一部を動く。

\((3)\) \(M\)の座標は\(\displaystyle \left(\frac{p}{2}, 0\right)\)だから、点\(Q\)と同じ\(x\)座標で、四角形\(MPRQ\)は台形になる。その面積を\(T\)とすると、下の図から$$\begin{eqnarray}T & = & (MQ+PR)\times MP \times \frac{1}{2} \\ & = & \left(\sqrt{1-\frac{p^2}{4}}+\frac{4-p^2}{4}\right)\cdot \frac{p}{2}\cdot \frac{1}{2}\\ & = & \frac{p}{4}\left(\frac{\sqrt{4-p^2}}{2}+\frac{4-p^2}{4}\right)\end{eqnarray}$$である。\(p=2x\)と置くと、\(0<x<1\)である。\(T\)を\(f(x)\)と置くと、$$\begin{eqnarray}f(x) & = & \frac{x}{2}\left(\sqrt{1-x^2}+1-x^2\right)\end{eqnarray}$$となる。\(\sqrt{1-x^2}=t\)と置くと、\(0<t<1\)であり、$$f(t) = \frac{\sqrt{1-t^2}}{2}(t+t^2)$$となる。$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(t) & = & \frac{-2t}{4\sqrt{1-t^2}}(t+t^2)+\frac{\sqrt{1-t^2}}{2}(1+2t)\\ & = & \frac{-t(t+t^2)+(1-t^2)(1+2t)}{2\sqrt{1-t^2}}\\ & = & \frac{-t^2-t^3+1+2t-t^2-2t^3}{2\sqrt{1-t^2}}\\ & = & \frac{-(3t^3+2t^2-2t-1)}{2\sqrt{1-t^2}}\\ & = & \frac{-(t+1)(3t^2-t-1)}{2\sqrt{1-t^2}}\end{eqnarray}$$となるから、\(f^{\prime}(t)\)は\(\displaystyle t = \frac{1+\sqrt{13}}{6} (0<t<1)\)の時に\(0\)となる。この前後で\(f^{\prime}(t)\)は符号を正から負に変えるから、\(\displaystyle t = \frac{1+\sqrt{13}}{6}\)、つまり\(\displaystyle p = 2x=2\sqrt{1-t^2} =\underline{ \frac{\sqrt{22-2\sqrt{13}}}{3}}\)の時に最大値を取る。

\(MPRQ\)は台形になる。

解説

\((1)\) 与えられた条件を式に落としていく。先を見通して\(P\)の\(x\)座標を\(2p\)などと置いても良いが、巧妙である。

\((2)\) \(0<x<2\)で\(x\)軸とこの両者に囲まれた領域のすべてを動くことは明らかであり、断る必要はないだろう。線分\(QR\)の方程式を求めて\(x, y\)についての存在条件を考えるという方針もあるが、やや大げさな気もする。

\((3)\) \(MPRQ\)が台形であることはすぐに分かる。面積も簡単に求まるが、その後の計算が面倒である。解答のようにどんどん置き換えていくと良い。

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