[math]1979年東京大学文理共通問題文系問題4理系問題3

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問題

\(a\)を正の整数とし、数列\(\{u_n\}\)を次のように定める。$$\begin{cases}u_1 = 2, u_2=a^2+2\\ u_n = au_{n-2}-u_{n-1}, \ n=3, 4, 5, \cdots \end{cases}$$このとき数列\(\{u_n\}\)の項に\(4\)の倍数が現れないために、\(a\)の満たすべき必要十分条件を求めよ。

方針

\(a\)を\(4\)で割った余りで場合分けする。合同式を用いるのが便利である。

解答

以後\(4\)を法とする。

\((i)\) \(a\equiv 0\)のとき
\(u_1 = 2, u_2 \equiv 2\)であり、与えられた漸化式より\(u_n \equiv -u_{n-1}\)となるので、帰納的にすべての自然数\(n\)に対して\(u_n \equiv 2\)となる。

\((ii)\) \(a\equiv 1\)のとき
\(u_1 \equiv 2, u_2 \equiv 3\)であり、与えられた漸化式より\(u_n \equiv u_{n-2}-u_{n-1}\)となる。したがって、\(u_3\equiv -1 \equiv 3, u_4 \equiv 0\)となり、\(4\)の倍数が現れる。

\((iii)\) \(a\equiv 2\)のとき
\(u_1 \equiv 2, u_2 \equiv 2\)であり、与えられた漸化式より\(u_n \equiv 2u_{n-2}-u_{n-1}\)となる。したがって\(u_3 \equiv 2, u_4\equiv 2\)となり、帰納的にすべての自然数\(n\)に対して\(u_n \equiv 2\)となる。

\((iv)\) \(a\equiv 3\)のとき
\(u_1 \equiv 2, u_2 \equiv 3\)であり、与えられた漸化式より\(u_n\equiv 3u_{n-2}-u_{n-1}\)となる。したがって\(u_3 \equiv 3, u_4 \equiv 2, u_5 \equiv 3\)となり、帰納的にすべての自然数\(n\)に対して\(u_n \equiv 2\)あるいは\(u_n \equiv 3\)となる。

よって、求める必要十分条件は\(a\)を\(4\)で割った余りが\(1\)でないこと、となる。

解説

解答に出てきた記号から説明する。整数\(n\)に対して、\(n\)を\(p\)で割った余りが\(a\)であるとき、\(n \equiv a \pmod{p}\)と書く。「\(n\)もど(もっど)\(a\)、もど\(p\)」とか、「\(p\)を法として、\(n\)もど\(a\)である」と読む。例えば、\(13\)を\(4\)で割った余りは\(1\)だから、\(13 \equiv 1 \pmod{4}\)と書く。この当たり前の記号が整数の問題で非常に大きな威力を発揮する。

合同式については、以下の事項が使えれば十分である。

\(a\equiv c \pmod{p}\)かつ\(b\equiv d \pmod{p}\)ならば、\(a+b\equiv c+d \pmod{p}\)
\(a-b \equiv b-c \pmod{p}\)
\(ab \equiv cd \pmod{p}\)
\(p\)と\(q\)が互いに素(共通の約数を持たない)とき、\(qa\equiv qc \pmod{p}\)ならば\(a\equiv c \pmod{p}\)

合同式は簡単に扱える割には、応用が利く。\(10\)分程度もあれば、記号の意味も飲み込めて、使えるようになる。この東大の問題の場合普通に解くのとでは記述の時間が\(10\)分は違うだろう。試験場での\(10\)分は想像以上に大きい。また、よく大学入試で合同式を使ってもいいのかと質問されるが、全く問題ない。なお、\(93\)年度前期にも文理共通で、全く同様の内容でこれよりも易しいものが出題されている。

関連問題

1992年京都大学後期文系問題1 奇数、偶数、必要十分条件
2000年京都大学後期理系数学問題3 \(ax+by=1\)を満たす整数(格子点)の存在
1991年東京医科歯科大学前期数学問題1 整数と因数分解、素因数
1986年東京工業大学数学問題1 整数と漸化式

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