[math]2007年京都大学前期理系甲問題1\((1)\)

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問題

\(A = \begin{pmatrix}2 & 4 \\ -1 & -1\end{pmatrix}, E = \begin{pmatrix}1 & 0 \\ 0 & 1\end{pmatrix}\)とするとき、\(A^6+2A^4+2A^3+2A^2+2A+3E\)を求めよ。

方針

ハミルトン・ケーリーの定理を用いる。

解答

ハミルトン・ケーリーの定理から$$A^2-(2-1)A+(-2+4)E = A^2-A+2E =O$$である。ただし、\(O\)は\(2\)次の零行列である。今、\(f(x) =x^6+2x^4+2x^3+2x^2+2x+3\)とおく。\(f(x)\)を\(x^2-x+2\)で割ると、$$f(x) = (x^4+x^3+x^2+x+1)(x^2-x+2)+x+1$$となるから、$$A^6+2A^4+2A^3+2A^2+2A+3E = (A^4+A^3+A^2+A+1)(A^2-A+2)+A+E$$となる。\(A^2-A+2E=O\)であるから、求める答えは\(A+E = \underline{\begin{pmatrix}3 & 4 \\ -1 & 0\end{pmatrix}}\)となる。

解説

ハミルトン・ケーリーの定理については以下のリンクを参照。

ケイリー・ハミルトンの定理 - Wikipedia

高校数学でのこの定理は簡単で、\(A = \begin{pmatrix}a & b \\ c & d\end{pmatrix}\)に対して、\(A^2-(a+d)A+(ad-bc)E = O \)が成り立つというものになる。\(E\)は単位行列、\(O\)は零行列である。高校の範囲で行列や一次変換の問題を解くときには必ずこの定理が必要になる。証明は簡単で、$$\begin{eqnarray}A(A-(a+d)E) & = & \begin{pmatrix}a & b \\ c & d\end{pmatrix}\begin{pmatrix}-d & b\\ c & -a\end{pmatrix} \\ & = & \begin{pmatrix}-ad+bc & 0 \\ 0 & bc-ad\end{pmatrix}\\ & = & -(ad-bc)E\end{eqnarray}$$となり成立する。行列の問題では先ずはこの定理を用いるものと考えても良い。そのくらい高校の範囲では大切な定理になる。後半では直接代入するものはいないとは思うが、式の割り算については復習しておく。

関連問題

1998年後期京都大学理系数学問題1 行列の基礎、ハミルトン・ケーリーの式の確認
2012年東京医科歯科大学前期数学問題1 行列と数列、行列式と数列同士の関係

関連リンク

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