[math]2015年東京工業大学前期数学問題1

low angle photography of grey and black tunnel overlooking white cloudy and blue sky math
Photo by Pixabay on Pexels.com

問題

数列\(\{a_n\}\)を$$a_1 = 5, a_{n+1}=\frac{4a_n-9}{a_n-2}\ (n=1, 2, 3, \cdots)$$で定める。また数列\(\{b_n\}\)を$$b_n = \frac{a_1+2a_2+\cdots + na_n}{1+2+\cdots + n}\ (n=1, 2, 3, \cdots)$$で定める。
\((1)\) 数列\(\{a_n\}\)の一般項を求めよ。
\((2)\) すべての\(n\)に対して、不等式\(\displaystyle b_n \leq 3 + \frac{4}{n+1}\)が成り立つことを示せ。
\((3)\) 極限値\(\displaystyle \lim_{n\to\infty}{b_n}\)を求めよ。

方針

分数漸化式でも特性方程式を考えることが役に立つ。

解答

\((1)\) \(\displaystyle t = \frac{4t-9}{t-2}\)を解くと、\(t = 3\)となる。したがって、$$a_{n+1}-3 = \frac{a_n-3}{a_n-2} \tag{a}$$となる。今、\(a_k = 3\)となる\(k\)が存在すると仮定すると、\(a_{k-1} = a_{k-2} = \cdots = a_1 = 3\)となり、\(a_1 = 5\)に反する。したがって\(a_n \ne 3\)である。式\((a)\)の両辺の逆数を考え、$$\frac{1}{a_{n+1}-3} = \frac{a_n-2}{a_n-3} = \frac{1}{a_n-3}+1$$である。\(\displaystyle c_n = \frac{1}{a_n-3}\)とすると、\(\displaystyle c_1 = \frac{1}{2}\)であり、$$c_{n} = (n-1)+c_1 = n-\frac{1}{2}$$となる。よって、\(\displaystyle a_n = \frac{1}{c_n}+3 = \underline{\frac{6n-1}{2n-1}}\)となる。これは\(n=1\)のときも成り立つ。

\((2)\) \((1)\)から\(\displaystyle a_n = \frac{1}{c_n}+3\)であるから、$$\begin{eqnarray}b_n & = & \frac{2}{n(n+1)}\sum_{k=1}^{n}{ka_k} \\ & = & \frac{2}{n(n+1)}\sum_{k=1}^{n}{k\left(\frac{1}{c_k}+3\right)}\\ & = & \frac{2}{n(n+1)}\left(\sum_{k=1}^{n}{\frac{k}{c_k}}+\frac{3n(n+1)}{2}\right)\\ & = & 3+\frac{2}{n(n+1)}\sum_{k=1}^{n}{\frac{k}{c_k}} \tag{b}\end{eqnarray}$$である。したがって、$$b_n\leq 3+\frac{4}{n+1}$$を示すには、$$\sum_{k=1}^{n}{\frac{k}{c_k}}\leq 2n \tag{c}$$を示せば良い。\((1)\)から\(\displaystyle c_n = \frac{2n-1}{2}\)であるから、$$\begin{eqnarray}\sum_{k=1}^{n}{\frac{k}{c_k}} & = & \sum_{k=1}^{n}{\frac{2k}{2k-1}} \\ & = & \sum_{k=1}^{n}{\frac{2k-1+1}{2k-1}}\\ & = & \sum_{k=1}^{n}{\left(1+\frac{1}{2k-1}\right)}\\ & = & n+\left(1+\frac{1}{3}+\frac{1}{5}+\cdots + \frac{1}{2n-1}\right) \\ & \leq & n + (1+1+1+\cdots + 1)\\ & = & 2n\end{eqnarray}$$となるから、式\((c)\)が成り立つ。よって、すべての自然数\(n\)に対して\(\displaystyle b_n \leq 3+\frac{4}{n+1}\)が成り立つ。

\((3)\) 式\((b)\)から、\(\displaystyle b_n-3 =\frac{2}{n(n+1)}\sum_{k=1}^{n}{\frac{k}{c_k}}\)であるが、\(\displaystyle c_n = n-\frac{1}{2}\)だから、\(b_n-3\geq 0\)である。これと\((2)\)から、\(\displaystyle \underline{\lim_{n\to\infty}{b_n} = 3}\)となる。

解説

分数漸化式については以下の記事を参考にすると良い。

分数漸化式についての過去問題。

\((2)\)は\((1)\)の結果を用いて直接計算したり、数学的帰納法を用いてもよいだろう。いずれにせよ手間はそれほど変わらないと思われる。

\((3)\)も\((2)\)の途中経過の式が使える。

関連問題

1975年京都大学文系数学問題6 分数漸化式
2021年京都大学理系数学問題2 分数関数の微分

関連リンク

東京工業大学
東京工業大学の教育、研究、社会連携、国際交流などの活動、東京工業大学に関する概要や最新情報をご覧頂けます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました