[math]1995年東京工業大学前期東京工業大学数学問題1

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問題

\(n = 1, 2, 3, \cdots\)に対して数列\(\displaystyle a(n) = \frac{(n+2)(n+3)(n+4)}{n!}\)を考える。
\((1)\) \(\displaystyle \lim_{n\to\infty}{a(n)}\)を求めよ。
\((2)\) \(a(n)\)が整数となる\(n\)をすべて求めよ。
\((3)\) 積\(a(1)a(2)\cdots a(n)\)が整数となる\(n\)をすべて求めよ。

方針

具体的にいくつかを求めて様子を確認する。

解答

\((1)\) \(a(n)>0\)は常に成り立ち、\(n > 4\)のとき$$a(n) = \frac{n+2}{n}\cdot \frac{n+3}{n-1}\cdot \frac{n+4}{n-2}\cdot \frac{1}{(n-3)!}$$で、\(\displaystyle \lim_{n\to\infty}{\frac{1}{(n-3)!}}\to 0\ (n\to\infty)\)であるから、\(\displaystyle \lim_{n\to\infty}{a_n} = \underline{0}\)である。

\((2)\) $$\begin{eqnarray}a_(1) & = & \frac{3\cdot 4\cdot 5}{1!}\\ & = & 60\\ & = & 2^2\cdot 3\cdot 5 \\ a(2) & = & \frac{4\cdot 5\cdot 6}{2!} \\ & = & 60 \\ & = & 2^2\cdot 3\cdot 5 \\ a(3) & = & \frac{4\cdot 5\cdot 6}{3!}\\ & = & 35 \\ & = & 5\cdot 7 \\ a(4) & = & \frac{5\cdot 6\cdot 7}{4!}\\ & = & 14 \\ & = & 2\cdot 7 \\ a(5) & = & \frac{6\cdot 7\cdot 8}{5!}\\ & = & \frac{21}{5}\\ & = & \frac{3\cdot 7}{5}\\ a(6) & = & \frac{7\cdot 8\cdot 9}{6!}\\ & = & 1\end{eqnarray}$$となる。また、\(n\geq 2\)のとき$$\begin{eqnarray}\frac{a(n+1)}{a(n)} & = & \frac{(n+3)(n+4)(n+5)}{(n+1)!}\cdot \frac{n!}{(n+2)(n+3)(n+4)}\\ & = & \frac{n+5}{(n+1)(n+2)} < 1\end{eqnarray}$$である。これは、\(\displaystyle \frac{n+5}{(n+1)(n+2)}<1\)を整理すると\(n(n+2)-3 > 0\)となり、\(n\geq 2\)でこれが成り立つことによる。したがって、\(1 = a(6) > a(7) > a(8) > \cdots \)となるから、\(a(n)\)が整数になる\(n\)は\(\underline{n = 1, 2, 3, 4, 6}\)である。

\((3)\) \(b(n) = a(1)a(2)\cdots a(n)\)とすると、\((2)\)の計算から$$\begin{eqnarray}b(1) & = & 2^2\cdot 3\cdot 5\\ b(2) & = & 2^4\cdot 3^2\cdot 5^2\\ b(3) & = & 2^4\cdot 3^2\cdot 5^3\cdot 7\\ b(4) & = & 2^5\cdot 3^2\cdot 5^3\cdot 7^2 \\ b(5) & = & 2^5\cdot 3^3\cdot 5^2\cdot 7^3 \\ b(6) & = & 2^5\cdot 3^3\cdot 5^2\cdot 7^3 \end{eqnarray}$$となる。さらに、$$\begin{eqnarray}a(7) & = & \frac{10\cdot 11\cdot 12}{7!} \\ & =& \frac{11}{2^3\cdot 7}\\ a(8) & = & \frac{10\cdot 11\cdot 12}{8!}\\ & = & \frac{11}{2^4\cdot 3\cdot 7}\\ a(9) & = & \frac{11\cdot 12\cdot 13}{9!} \\ & = & \frac{11\cdot 13}{2^5\cdot 3^3\cdot 5\cdot 7}\\ a(10) & = & \frac{12\cdot 13\cdot 14}{10!}\\ & = & \frac{13}{2^5\cdot 3^3\cdot 5^2}\end{eqnarray}$$から、$$\begin{eqnarray}b(7) & = & 2^2\cdot 3^3\cdot 5^2\cdot 7^2\cdot 11\\ b(8) & = & \frac{3^2\cdot 5^2\cdot 7\cdot 11^2}{2^2}\\ b(9) & = & \frac{5\cdot 11^3\cdot 13}{2^7\cdot 3}\\ b(10) & = & \frac{11^3\cdot 13^2}{2^{12}\cdot 3^{4}\cdot 5}\\ & = & \frac{224939}{1658880} < 1\end{eqnarray}$$となる。\(n\geq 10\)のとき\(a(n)<1\)だから、これ以降\(b(n)\)が整数になることはない。よって、積\(a(1)a(2)\cdots a(n)\)が整数になる\(n\)は\(\underline{n = 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7}\)である。

解説

\((1)\)は\((2)\)以降の問題の重要なヒントで、極限が\(0\)になるのであるから\(n\)が大きければ\(a(n)\)はいずれ\(1\)よりも小さくなることがわかる。つまり、\((1)\)の結果と\(\displaystyle \frac{a(n+1)}{a(n)}\)の計算から、\(a(0)\)は\(0\)に向かって減少していく。すると、ある番号\(m\)があって、\(n\geq m\)となる\(n\)では\(a(n) < 1\)となる。この\(m\)を見つけるのが本問題の趣旨である。\((3)\)も同様の感覚があれば、計算は大変だがいずれ答えは見つかる。簡単にするために最初から\(a(n)\)を因数分解するのもテクニックのひとつである。発想を見るという点でもそうだが、問題の数(この年は\(4\)題で\(150\)分)、計算量などどれを見ても東工大の数学の問題は、とても質が高い。やや特殊な傾向(理系の大学なので微積分の出題が多い)とも言えるので、受験を考えるものはやはり東工大に特化した勉強が必要となってくると思われる。

関連問題

1978年京都大学文理共通数学問題1 相加平均、相乗平均の不等式
2015年東京工業大学前期数学問題1 数列、分数漸化式

関連リンク

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