[math]2009年東京医科歯科大学前期数学問題1

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問題

座標平面または座標空間において、座標成分がすべて整数である点を格子点という。以下の各問に答えよ。
\((1)\) \(C_1\)を座標平面上の半径\(0.5\)の円とする。\(C_1\)が内部に格子点を含まないとき、\(C_1\)の中心\((x, y)\)が存在しうる領域を\(0\leq x\leq 2, 0\leq y\leq 2\)の範囲で図示せよ。
\((2)\) \(C_2\)を座標平面上の半径\(0.75\)の円とする。\(C_2\)は中心をのどような位置に移動させても必ず内部に格子点を含むことを証明せよ。
\((3)\) \(S\)を座標空間内の半径\(r\)の球とする。\(S\)は半径を変化させずに中心をどのような位置に移動させても、必ず内部に格子点を含むとする。このとき\(r\)のとりうる値の範囲を求めよ。ここで\(S\)の内部とは、\(S\)の中心からの距離が\(r\)よりも小さい点全体からなる集合のことである。

方針

格子点の問題であるが、それほど難しくはない。円を動かして考えるよりも、格子点を中心に円を作ると考える方がわかりやすい。

解答

\((1)\) \(C_1\)の中心が格子点を中心とした半径\(0.5\)の円よりも外側にあればよい。下図の斜線部が答えになる。

\((1)\)の解答図。

\((2)\) 格子点を中心として、半径\(\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}}\)の円を描くと、下の図のようになる。格子点を中心とする円の半径が\(\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}}\)よりも大きいとき、そのような円は座標平面上を埋め尽くす。\(\displaystyle 0.75 > \frac{1}{\sqrt{2}}\)であるから、\(C_2\)の中心がどのような位置にあっても、\(C_2\)は内部に格子点を含むことがわかる。

\((2)\)補助図。

\((3)\) \(1\)辺の長さが\(1\)の立方体を考える。\(6\)つの頂点が格子点であるとすると、格子点間の最大距離は、対角の位置にある\(2\)点間の距離で、\(\sqrt{3}\)である。したがって、格子点を中心とする球を無数に描いたとき、球の半径が\(\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}\)よりも大きければそのような球は座標空間を埋め尽くす。逆に、球の半径が\(\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}\)よりも小さいときを考える。球の半径を\(k\)とすると、座標空間には格子点を中心とする半径\(k\)の球が無数にあるが、球の内部に含まれない領域が存在し、その領域に中心がある半径\(k\)の球は格子点を内部に含まない。以上の議論から、\(\displaystyle \underline{r\geq \frac{\sqrt{3}}{2}}\)であれば、どのような位置に中心があっても、\(S\)は内部に格子点を含む。

解説

結論はすぐに分かるが説明に時間を使う。

\((1)\) 問題全体を通じて、\(C_1, C_2, S\)といった円や球を動かすよりも、格子点を中心とする円や球を設定したほうが考えやすい。

\((2)\) 答えがわかっていても説明に気を使った受験生が多かっただろう。

\((3)\) 予備校の解答でも図だけ載せているものや丁重に説明しているものなど色々見られる。解答程度の最低限の記述は必要だろう。

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国立大学法人 東京医科歯科大学

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