[math]1974年東京大学文理共通文系問題2理系問題2

pink and white flower in tilt shift lens math
Photo by Eva Elijas on Pexels.com

問題

長さ\(l\)の線分が、その両端を放物線\(y=x^2\)の上にのせて動く。この線分の中点\(M\)が\(x\)軸に最も近い場合の\(M\)の座標を求めよ。ただし、\(l\geq 1\)とする。

方針

座標を置いて考える。

解答

線分の両端の座標を\((p, p^2), (q, q^2)\)とする。線分の長さは\(l\)だから、$$(p-q)^2+(p^2-q^2)^2 = l^2$$である。変形して、$$\begin{eqnarray}(p-q)^2(1+(p+q)^2) & = & l^2\\ ((p+q)^2-4pq)(1+(p+q)^2) & = & l^2 \tag{a}\end{eqnarray}$$となる。$$\begin{cases}p+q = a\\ pq = b\end{cases} \tag{b}$$とおく。この置き換えで式\((a)\)は$$(a^2-4b)(a^2+1) = l^2 \tag{c}$$となる。式\((c)\)を\(b\)について解くと、$$b = \frac{1}{4}\left(a^2-\frac{l^2}{a^2+1}\right) \tag{e}$$となる。式\((b)\)を満たす実数\(p, q\)が存在するためには、\(a^2-4b\geq 0\)が必要である。これは、\(p, q\)が\(t\)についての二次方程式\(t^2-at+b = 0\)の実数解であり、判別式が\(0\)以上になることから示される。ところが式\((c)\)から\(\displaystyle a^2-4b = \frac{l^2}{a^2+1}\geq 0\)であるから、以後はこの条件を気にせず進める。

点\(M\)の\(y\)座標を\(m\)とすると、\(M\)は線分の中点なので、式\((b), (e)\)から$$\begin{eqnarray}2m & = & p^2+q^2 \\ & = & (p+q)^2-2pq \\ & = & a^2-2b \\ & = & a^2-\frac{1}{2}\left(a^2-\frac{l^2}{a^2+1}\right)\end{eqnarray}$$となる。したがって、$$4m = a^2+1+\frac{l^2}{a^2+1}-1$$であるが、相加平均と相乗平均の関係式から、$$\begin{eqnarray}4m & \geq & 2\sqrt{(a^2+1)\cdot \frac{l^2}{a^2+1}}-1 \\ & = & 2l-1 \end{eqnarray}$$である。等号が成り立つのは、\(\displaystyle a^2+1 = \frac{l^2}{a^2+1}\)のときで、すなわち\(a=\pm\sqrt{l-1}\)のときに成り立つ。このとき式\((e)\)から\(\displaystyle b = -\frac{1}{4}\)となる。これから、点\(M\)の\(x\)座標は、式\((b)\)をみて、\(\displaystyle \frac{p+q}{2} = \frac{a}{2} = \pm\frac{\sqrt{l-1}}{2}\)となる。以上より、題意を満たす座標は\(\displaystyle \underline{\left(\pm\frac{\sqrt{l-1}}{2}, \frac{2l-1}{4}\right)}\)となる。

解説

上の解答の式\((c)\)の条件は結局考えなくても変わらないが、論理上抜かさない方が良い。$$4m = a^2+\frac{l^2}{a^2+1}$$が出れば微分でも相加平均・相乗平均の関係でも答えは出てくる。なお、練習として\(0< l < 1\)のときに点\(M\)の\(y\)座標が最小になるような点を考えると勉強になるだろう。

関連問題

1978年京都大学文理共通数学問題1 相加平均、相乗平均の不等式
1997年東京大学文系前期問題4 直線の動く領域、包絡線
2006年東京大学前期理系問題1 ベクトルと漸化式、座標
2006年度前期東京大学数学問題5 極限の難問、相加平均
2010年東京医科歯科大学前期数学問題1 数と式、不等式、相加平均・相乗平均

関連リンク

東京大学
東京大学のオフィシャルサイトです。大学案内、学部・大学院等の紹介、研究活動、国際活動、入学案内等、東京大学の情報をご覧いただけます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました