[math]1978年東京大学理系数学問題4

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問題

行列A=(13503)に対し、次の問いに答えよ。
任意の整数n>0に対して、Anを数学的帰納法によって求めよ。また、与えられた(ab)に対しAn(ab)=(anbn)とおくとき、極限u=limnanan2+bn2,v=limnbnan2+bn2を求めよ。ただし、(ab)(00)とする。

方針

予想して帰納法で・・・。

解答

An=(13nxn03n)であることを数学的帰納法で示す。ただし、xn=158(3n13n)である。x1=5であるからn=1のときに正しい。あるnで正しいと仮定すると、An+1=(13nxn03n)(13503)=(13n+153n+3xn03n+1)=(13n+1xn+103n+1)となり、n+1でも正しい。数学的帰納法によって、An=(13n158(3n13n)03n)となる。

これから、an=15b83n+(a15b8)13n,bn=3nbである。
(i) b=0のとき、a0で、an=a3n,bn=0となるので、anan2+bn2=1bnan2+bn2=0となる。よって、u=1,v=0である。
(ii) b0のとき、limnanbn=158である。これから、cn=anbnと置いて、anan2+bn2=cn1+cn2bnan2+bn2=11+cn2と変形して、u=1517,v=817となる。

解説

解答のxnについてだが、次のように推測している。まず、A1,A2,と求めていくとAn=(13nxn03n)の形になる事が推測される。xnはすぐには分からないので漸化式を立てる。An+1=AnAだから、(13n+1xn+103n+1)=(13nxn03n)(13503)=(13n+153n+3xn03n+1)となり、xn+1=53n+3xnとなる。x1=5であるが、両辺に3nを掛けてから、yn=3nxnとすると、yn+13=5+3yn,y1=15となる。これを解くことは難しくない。以上のことを解答では省略しており、また実際の試験で解答を作成する際にも記述する必要はない。が、部分点をえるという意味でも記述は残しておいて損をすることは無いだろう。極限はb0になるかどうかで状況が異なる。この手のタイプの問題では場合分けが生じることが多いので、慌てて答えを出したものは頭に入れておくと良い。

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