[math]2022年東京工業大学数学問題2

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問題

\(3\)つの正の整数\(a, b, c\)の最大公約数が\(1\)であるとき、次の問いに答えよ。
\((1)\) \(a+b+c, bc + ca + ab, abc\)の最大公約数は\(1\)であることを示せ。
\((2)\) \(a+b+c, a^2+b^2+c^2, a^3+b^3+c^3\)の最大公約数となるような正の整数をすべて求めよ。

方針

\((1)\) 解と係数の関係を用いる。

\((2)\) \(a+b+c, a^2+b^2+c^2, a^3+b^3+c^3\)を\(a, b, c\)の基本対称式で表す。

解答

\((1)\) $$\begin{cases}a+b+c = p\\ bc+ca+ab = q\\ abc = r\end{cases}$$とする。\(a, b, c\)は\(3\)次方程式\(t^3-pt^2+qt-r = 0\)の解であるから、\(a^3-pa^2+qa-r = 0\)である。変形して、$$a^3 = pa^2-qa+r $$となる。\(p, q, r\)の最大公約数を\(g\)とすると、\(g\)は\(a^3\)の約数である。同様に、$$\begin{eqnarray}b^3 & = & pb^2-qb + r \\ c^3 & = & pc^2-qc+r\end{eqnarray}$$であるから、\(g\)は\(b^3, c^3\)の約数でもある。\(a, b, c \)の最大公約数は\(1\)なので、共通の約数は\(1\)以外にない。したがって、\(g = 1\)であり、\(a+b+c, bc+ca+ab, abc\)の最大公約数は\(1\)になる。

\((2)\) \((1)\)の記号を用いる。\(a+b+c, a^2+b^2+c^2, a^3+b^3+c^3\)の最大公約数を\(g^{\prime}\)とする。$$\begin{eqnarray}a+b+c & = & p \\ a^2+b^2+c^2 & = & (a+b+c)^2-2(bc+ca+ab)\\ & = & p^2-2q \\ a^3+b^3+c^3 & = & (a+b+c)(a^2+b^2+c^2-bc-ca-ab)+3abc \\ & = & (a+b+c)\left((a+b+c)^2-3(bc+ca+ab)\right)+3abc \\ & = & p(p^2-3q)+3r \\ & = & p^3-3pq+3r\end{eqnarray}$$である。したがって、\(g^{\prime}\)は\(p, 2q, 3r\)の最大公約数に等しく、\(p, q, r\)は互いに素であるから、\(g^{\prime}\)としてあり得るのは\(1, 2, 3, 6\)のみである。実際にこの値をとるか確かめると、\((a, b, c) = (1, 1, 3)\)とすると、$$\begin{eqnarray}a+b+c = 5\\ a^2+b^2+c^2 = 11\\ a^3+b^3+c^3 = 29\end{eqnarray}$$で\(g^{\prime} = 1\)、\((a, b, c) = (1, 2, 3)\)とすると、$$\begin{eqnarray}a+b+c = 6\\ a^2+b^2+c^2 = 14\\ a^3+b^3+c^3 = 36\end{eqnarray}$$で\(g^{\prime} = 2\)、\((a, b, c) = (1, 1, 1)\)とすると、$$\begin{eqnarray}a+b+c = 3\\ a^2+b^2+c^2 = 3\\ a^3+b^3+c^3 = 3\end{eqnarray}$$で\(g^{\prime} = 3\)、\((a, b, c) = (1, 1, 4)\)とすると、$$\begin{eqnarray}a+b+c = 6\\ a^2+b^2+c^2 = 18\\ a^3+b^3+c^3 = 66\end{eqnarray}$$で\(g^{\prime} = 6\)であるから、存在は保証される。以上から、求める正の整数は\(\underline{1, 2, 3, 6}\)である。

解説

\(a+b+c, a^2+b^2+c^2, a^3+b^3+c^3\)を基本対称式で表すと、上の記号を用いて、$$\begin{eqnarray}a+b+c & = & p\\ a^2+b^2+c^2 & = & p^2-2q\\ a^3+b^3+c^3 & = & p^3-3pq+3r\end{eqnarray}$$となる。例えば\(p^2-2q\)について、これを\(p\)で割った余りは\(-2q\)となるから、Euclidの互除法から\(a^2+b^2+c^2\)と\(a+b+c\)の最大公約数は、\(p\)と\(2q\)の最大公約数と等しくなる。これから、\(p, 2q, 3r\)の最大公約数を考えればよいのだが、\(p, q, r\)の最大公約数は\((1)\)から\(1\)となるので、\(2\times 3 = 6 \)の約数を考えれば良い。この後、\(a, b, c\)を\(6\)で割った余りで分類すると、\(6^3 = 216\)通りもの場合が生じてしまうので、\(1\)つ具体例を出せば用は済む。

今年度は、東京大学、京都大学、東京工業大学いずれでもEuclidの互除法を用いないと解答に困る問題が出題されている。互除法自体も証明できた方が良いだろう。

ユークリッドの互除法 - Wikipedia

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