[math]2022年東京工業大学数学問題3

gray newton s cradle in close up photogaphy math
Photo by Pixabay on Pexels.com

問題

\(\alpha\)は\(\displaystyle 0 < \alpha < \frac{\pi}{2}\)を満たす実数とする。\(\angle{A} = \alpha\)および\(\displaystyle \angle{P} = \frac{\pi}{2}\)を満たす直角三角形\(APB\)が、次の\(2\)つの条件\((a), (b)\)を満たしながら、時刻\(t = 0\)から時刻\(\displaystyle t = \frac{\pi}{2}\)まで\(xy\)平面上を動くとする。
\((a)\) 時刻\(t\)での点\(A, B\)の座標は、それぞれ\(A (\sin{t}, 0), B(0,\ \cos{t})\)である。
\((b)\) 点\(P\)は第一象限内にある。
このとき、次の問いに答えよ。
\((1)\) 点\(P\)はある直線上を動くことを示し、その直線の方程式を\(\alpha\)を用いて表わせ。
\((2)\) 時刻\(t = 0\)から時刻\(\displaystyle t = \frac{\pi}{2}\)までの間に点\(P\)が動く道のりを\(\alpha\)を用いて表わせ。
\((3)\) \(xy\)平面内において、連立不等式$$x^2-x +y^2 < 0, x^2+y^2-y < 0$$により定まる領域を\(D\)とする。このとき、点\(P\)は領域\(D\)には入らないことを示せ。

方針

座標のまま解いても良いし、図形的に考察するのも良い。定型的でなく、難しい問題だと思う。

解答

\((1)\) \(AB\)の長さは\(\sin^2{t} + \cos^2{t} = 1\)である。\(\displaystyle \angle{APB} = \frac{\pi}{2}\)であるから、三角形\(APB\)は\(AB\)を直径とする円に内接する。したがって、\(\angle{PAB} = \angle{POB}\)であり、\(\angle{POx}\)の角度は\(\displaystyle \frac{\pi}{2}-\alpha\)となる。よって、\(P\)は\(\displaystyle y = \tan{\left(\frac{\pi}{2}-\alpha\right)}x = \underline{\frac{x}{\tan{\alpha}}}\)上にある。

図形の概略図。

\((2)\) \(\displaystyle \angle{BAO} = \frac{\pi}{2}-t\)となるから、\(\angle{OAP} = \frac{\pi}{2}-t+\alpha\)である。図の点線の円の直径は\(AB = 1\)であることに注意すると、三角形\(OAP\)に正弦定理を適応して、$$1 = \frac{OP}{\sin{\left(\frac{\pi}{2}-t+\alpha\right)}}$$である。整理して、\(\displaystyle OP = \cos{(t-\alpha)}\)となる。\(t\)が\(0\)から\(\alpha\)まで動く間に\(\cos{\alpha}\)から\(1\)まで増加し、\(t\)が\(\alpha\)から\(\displaystyle \frac{\pi}{2}\)まで動く間、\(1\)から\(\sin{\alpha}\)まで減少する。動く道のりとしては\((1-\cos{\alpha}) + (1-\sin{\alpha}) = \underline{2-\cos{\alpha}-\sin{\alpha}}\)となる。

\((3)\) \((2)\)を利用する。
\((i)\) \(\displaystyle 0 <\alpha\leq \frac{\pi}{4}\)のとき、\(OP\)と円\(x^2-x+y^2 = 0\)の交わる点を\(Q\)とすると、下の図から\(\displaystyle OQ = \cos{\left(\frac{\pi}{2}-\alpha\right)} = \sin{\alpha}\)となる。\(\displaystyle 0\leq t\leq \frac{\pi}{2}\)のとき、\(OP \geq min(\cos{\alpha}, \sin{\alpha})\)であるから、\(OQ\leq OP\)となり、\(P\)は\(D\)の外にある。

\(2\)つの円の共通部分が\(D\)となる。\(\displaystyle 0<\alpha < \frac{\pi}{4}\)のとき。

\((ii)\) \(\displaystyle \frac{\pi}{4}\leq \alpha\leq \frac{\pi}{2}\)のとき、\(OP\)と円\(x^2+y^2-y = 0\)の交わる点を\(R\)とすると、下の図から\(\displaystyle OR = \cos{\alpha}\)となる。\(\displaystyle 0\leq t\leq \frac{\pi}{2}\)のとき、\(OP \geq min(\cos{\alpha},\sin{\alpha})\)であるから、\(OR\leq OP\)となり、\(P\)は\(D\)の外にある。

\(2\)つの円の共通部分が\(D\)となる。\(\displaystyle \frac{\pi}{4}<\alpha < \frac{\pi}{2}\)のとき。

以上から、点\(P\)が\(D\)に含まれることはない。

解説

\((1)\) 回転座標やベクトル、座標平面での計算などから点\(P\)を求めても良い。点\(P\)の座標は\(\displaystyle \cos{(t-\alpha)}(\sin{\alpha}, \cos{\alpha})\)となる。

\((2)\) \((1)\)で座標を求めていれば積分しても良い。道のり、という聞き方が大学受験っぽくない。

\((3)\) 図形的に考察するのが良い。決して簡単な問題ではないと思う。これも座標を求めていれば、式変形だけで解くのも良いアイデアである。

関連問題

1991年前期東京医科歯科大学数学問題2 空間図形と方程式
1997年東京大学文系前期問題4 直線の動く領域、包絡線
2000年京都大学前期文理共通問題文系問題1理系問題1 正三角形、余弦定理、円
2015年東京大学理系数学問題1 領域の図示、存在証明、2次方程式の解の配置
2020年東京大学前期理系数学問題1 二次関数と論証

関連リンク

東京工業大学
東京工業大学の教育、研究、社会連携、国際交流などの活動、東京工業大学に関する概要や最新情報をご覧頂けます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました