[math]1990年東京工業大学後期数学問題1

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問題

\((x+1)(x-2)\)の小数第\(1\)位を四捨五入したものが\(1+5x\)に等しくなるような実数\(x\)を求めよ。

方針

範囲を絞らなくてはいけない。例えば実数\(x\)の小数第\(1\)位を四捨五入して\(5\)になるとき、\(4.5\leq x < 5.5\)である。一般に、実数\(x\)の小数第\(1\)位を四捨五入して整数\(m\)になるとき、\(\displaystyle m-\frac{1}{2}\leq x < m + \frac{1}{2}\)である。

解答

\((x+1)(x-2)=x^2-x-2\)を四捨五入したものが\(1+5x\)に等しいので、$$1+5x-\frac{1}{2}\leq x^2-x-2 < 1+5x+\frac{1}{2} \tag{a}$$である。両辺を\(2\)を掛けて整理すると、$$\begin{cases}2x^2-12x-5 \geq0 \\ 2x^2-12x-7 < 0\end{cases}$$である。つまり、$$\begin{cases}\displaystyle x \leq \frac{6-\sqrt{46}}{2}, \frac{6+\sqrt{46}}{2} \leq x\\ \displaystyle \frac{6-5\sqrt{2}}{2} < x < \frac{6+5\sqrt{2}}{2}\end{cases}$$であるから、$$\frac{6-5\sqrt{2}}{2} < x \leq \frac{6-\sqrt{46}}{2}, \frac{6+\sqrt{46}}{2}\leq x < \frac{6+5\sqrt{2}}{2}$$である。これを変形すると、$$\frac{32-25\sqrt{2}}{2} < 5x+1 \leq \frac{32-5\sqrt{46}}{2}, \frac{32+5\sqrt{46}}{2}\leq 5x+1 < \frac{32+25\sqrt{2}}{2} \tag{b}$$である。\(\displaystyle 1.4 < \sqrt{2} < 1.5, 6 < \sqrt{46} < 7\)であるから、$$-2.75 < 5x+1 < 1, 31 < 5x+1 < 34.75$$となる。\(5x+1\)は整数なので、\(5x + 1 = -2, -1, 0, 32, 33, 34\)である。このとき順に\(\displaystyle x = -\frac{3}{5}, -\frac{2}{5}, -\frac{1}{5}, \frac{31}{5}, \frac{32}{5}, \frac{33}{5}\)である。
\((i)\) \(\displaystyle x = -\frac{3}{5}\)のとき、\(\displaystyle (x+1)(x-2) = -1.04\)であり、四捨五入すると\(-1\)になり、\(5x+1\)と等しくならない。
\((ii)\) \(\displaystyle x = -\frac{2}{5}\)のとき、\(\displaystyle (x+1)(x-2) = -1.44\)であり、四捨五入すると\(-1\)になり、\(5x+1\)と等しい。
\((iii)\) \(\displaystyle x = -\frac{1}{5}\)のとき、\(\displaystyle (x+1)(x-2) = -1.76\cdots\)であり、四捨五入すると\(-2\)になり、\(5x+1\)と等しくならない。
\((iv)\) \(\displaystyle x = \frac{31}{5}\)のとき、\(\displaystyle (x+1)(x-2) = 30.24\cdots\)であり、四捨五入すると\(30\)になり、\(5x+1\)と等しくならない。
\((v)\) \(\displaystyle x = \frac{32}{5}\)のとき、\(\displaystyle (x+1)(x-2) = 32.56\)であり、四捨五入すると\(33\)になり、\(5x+1\)と等しい。
\((vi)\) \(\displaystyle x = \frac{33}{5}\)のとき、\(\displaystyle (x+1)(x-2) = 34.95\cdots\)であり、四捨五入すると\(35\)になり、\(5x+1\)と等しくならない。

以上から、求める実数\(\displaystyle \underline{x = -\frac{2}{5}, \frac{32}{5}}\)である。

解説

負の数の四捨五入については、絶対値で四捨五入すると定められている。例えば、\(-1.5\)を小数第\(1\)位で四捨五入するときは、\(1.5\)を四捨五入して\(2\)として、負の記号をつけて\(-2\)とする。ただし、この問題の場合、式\((a)\)の\(\leq\)が\(<\)に変わるかどうかの違いなので、答えが違ってくることはない。下のwikipediaのリンクも参照のこと。

端数処理 - Wikipedia

式\((b)\)が出た後は、\(\sqrt{2}\)や\(\sqrt{46}\)を数値評価する。

その他の考え方としては、\(y = (x+1)(x-2)\)と\(y = 1+5x\)のグラフを描き、\(x\)の範囲を絞っても良い。\(y = (x+1)(x-2)\)は二次式で、\(y = 1+5x\)は一次式なので、\(\mid x\mid\)が十分大きいときは\((x+1)(x-2) > 1+5x\)である。このことから\(x\)の範囲を絞っても良い。

関連問題

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関連リンク

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