[math]1998年東京工業大学数学問題1

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問題

\(a > 0\)とし、\(x, y\)が\(4\)つの不等式$$x\geq 0, y\geq 0, 2x+3y\leq 12, ax + \left(4-\frac{3}{2}a\right)y\leq 8$$を同時にみたしているとする。このとき\(x+y\)の最大値\(f(a)\)を求めよ。

方針

\(x + y = z\)あるいは\(x + y = k\)などとおいて、この最大値を視覚的に捉える。

解答

\(x + y = z\)とおく。\(x = z-y\)を与えられた不等式に代入し、$$z-y\geq 0, y\geq 0, 2(z-y)+3y\leq 12, a(z-y)+\left(4-\frac{3}{2}a\right)y\leq 8$$である。\(a > 0\)に注意して整理すると、$$0\leq y\leq z, z\leq 6-\frac{y}{2}, z\leq \left(\frac{5}{2}-\frac{4}{a}\right)y + \frac{8}{a}$$である。\(\displaystyle 0\leq y\leq z, z\leq 6-\frac{y}{2}\)を\(zy\)平面に図示すると次の図の斜線部のようになる。また、\(\displaystyle z = \left(\frac{5}{2}-\frac{4}{a}\right)y + \frac{8}{a} = \frac{4}{a}(2-y)+\frac{5}{2}y\)であるから、この直線は\(a\)の値に依らない点\((y, z) = (2, 5)\)を通る。

\(\displaystyle z = \left(\frac{5}{2}-\frac{4}{a}\right)y + \frac{8}{a}\)は傾きによって\(3\)つに分けられる。この直線の\(y\)切片は\(\displaystyle \frac{8}{a}\)であり、この値に応じて分類する。
\((i)\) \(\displaystyle \frac{8}{a}\geq 6\)、つまり\(\displaystyle 0 < a \leq \frac{4}{3} \)のとき、\(z\)の最大値は\(6\)である。

\((i)\) \(\displaystyle \frac{8}{a}\geq 6\)のとき。


\((ii)\) \(\displaystyle 5\leq \frac{8}{a}\leq 6\)、つまり\(\displaystyle \frac{4}{3}\leq a\leq \frac{8}{5}\)のとき、\(z\)の最大値は\(\displaystyle \frac{8}{a}\)である。

\((ii)\) \(\displaystyle 5 \leq \frac{8}{a}\leq 6\)のとき。

\((iii)\) \(\displaystyle \frac{8}{a}\leq 5\)、つまり\(\displaystyle a\geq \frac{8}{5}\)のとき、\(z\)の最大値は\(5\)である。

\((iii)\) \(\displaystyle \frac{8}{a}\leq 5\)のとき。

以上から、$$f(a) = \begin{cases}\displaystyle 6 \ \ \left(0 < a\leq \frac{4}{3}\right)\\ \displaystyle \frac{8}{a}\ \ \left(\frac{4}{3}\leq a\leq \frac{8}{5}\right)\\ \displaystyle 5\ \ \left(a\geq \frac{8}{5}\right)\end{cases}$$である。

解説

よく出題されるタイプの問題で、式のまま進めるのではなく領域を図に書き目で確認しながら進めるのが良い。解答では\(x\)を消去して\(x+y=z\)の最大値という形で議論しているが通常よくやるように\(x + y = k\)と置いて直線\(y = -x+k\)が領域と交わるような\(k\)の最大値を求めても良い。\(x\)を消去してしまった方が直接\(z\)の値が拾えるので,少しやり易いかなと思うがここら辺は個人の趣味の問題になる。ポイントは場合分けをきちんとできたかどうかであろう。

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