[math]1973年京都大学文系数学問題4

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問題

\(\mathbf{a, b, c}\)は平面上の単位ベクトルで、どの二つも\(120^\circ\)の角をなすものとする。このとき、この平面上の任意のベクトル\(\mathbf{x}\)に対して、
\((1)\) \(\mathbf{a}\cdot \mathbf{x}+\mathbf{b}\cdot \mathbf{x} + \mathbf{c}\cdot\mathbf{x} = \mathbf{0}\)が成り立つことを示せ。
\((2)\) \((\mathbf{a}\cdot \mathbf{x})^2 + (\mathbf{b}\cdot \mathbf{x})^2 + (\mathbf{c}\cdot \mathbf{x})^2\)の値を\(\mathbf{x}\)の大きさ\(l\)を用いて表わせ。ただし、\(\mathbf{a}\cdot \mathbf{x}\)などはベクトルの内積を表す。

方針

単位円に内接する正三角形の重心は原点になる。\((2)\)では適当に計算しやすい座標に\(\mathbf{a, b, c}\)を設定してしまうと良い。

解答

\((1)\) ベクトル\(\mathbf(a, b, c)\)は平面上の単位ベクトルで、どの\(2\)つのなす角も\(120^\circ\)だから、ベクトル\(\mathbf{a, b, c}\)の表す平面上の点\(A, B, C\)は単位円に内接する正三角形である。重心は原点\(O\)になるから、\(\mathbf{a} + \mathbf{b} + \mathbf{c} = \mathbf{0}\)となる。よって、任意の平面上のベクトル\(\mathbf{x}\)に対して\(\mathbf{a}\cdot \mathbf{x} + \mathbf{b}\cdot \mathbf{x} + \mathbf{c}\cdot \mathbf{x} = (\mathbf{a}+\mathbf{b} + \mathbf{c})\cdot \mathbf{x} = \mathbf{0}\)となる。

\((2)\) 座標平面で考える。\(\displaystyle A(1, 0), B\left(-\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right), C\left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)\)として一般性を失わない。また、\(\mathbf{x} = (x, y)\)と置く。このとき、\(x^2+y^2=l^2\)である。すると、$$\begin{eqnarray}(\mathbf{a}\cdot\mathbf{x})^2+(\mathbf{b}\cdot\mathbf{x})^2+(\mathbf{c}\cdot\mathbf{x})^2 & = & x^2 + \left(-\frac{x}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}y\right)^2+\left(-\frac{x}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}y\right)^2\\ & = & \frac{3}{2}(x^2+y^2)\\ & = & \underline{\frac{3}{2}l^2}\end{eqnarray}$$となる。

解説

円に内接する正三角形の重心が円の中心と一致するというテーマは京都大学の問題で頻出である。下の問題を参照すると良い。\((2)\)はベクトルのまま考えず座標設定するのが楽だと思う。

正三角形の外心と重心。

関連問題

1979年東京大学理系数学問題4 距離の最大値、最小値と円、正三角形
2000年京都大学前期文理共通問題文系問題1理系問題1 正三角形、余弦定理、円

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