[math]1976年京都大学文理共通問題文系問題2理系問題2

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問題

\(1\)つの平面内にある、いくつかの\(0\)でないベクトルからなる集合\(S\)が条件
“\(\mathbf{a, b}\)が\(S\)のベクトルであれば、\(\displaystyle \frac{2(\mathbf{a, b})}{(\mathbf{b, b})}\)は整数である”
をみたしているという。ただし、\((\mathbf{a, b})\)等はベクトルの内積を表す。
\((1)\) \(S\)の\(2\)つのベクトルの間の角は、\(0^\circ, 30^\circ, 45^\circ, 60^\circ, 90^\circ\)およびこれらの補角のうちの\(1\)つであることを示せ。
\((2)\) \((1)\)において、角が\(0^\circ, 30^\circ, 60^\circ\)の場合には、\(2\)つのベクトルの長さの比はどうなるか。
\((3)\) \(30^\circ\)の角をなすベクトル\(\mathbf{a, b}\)を含み、\(12\)個のベクトルからなる集合\(S\)の例を図示し、各ベクトルを\(\mathbf{a, b}\)であらわせ。

方針

\(\mathbf{a, b}\)の対称性に着目する。つまり、\(\displaystyle \frac{2(\mathbf{a, b})}{(\mathbf{b, b})}\)および\(\displaystyle \frac{2(\mathbf{b, a})}{(\mathbf{a, a})}\)はどちらも整数であることを用いる。

解答

\((1)\) 条件から\(S\)のベクトル\(\mathbf{a, b}\)と、この\(2\)つのベクトルがなす角\(\theta\)に対して、$$\begin{eqnarray}\frac{2(\mathbf{a, b})}{(\mathbf{b, b})} & = & \frac{|\mathbf{a}||\mathbf{b}|\cos{\theta}}{|\mathbf{b}|^2}\\ & = & \frac{|\mathbf{a}|\cos{\theta}}{|\mathbf{b}|}\end{eqnarray}$$は整数である。この値を\(k\)とする。また、$$\frac{2(\mathbf{b, a})}{(\mathbf{a, a})} = \frac{2|\mathbf{b}|\cos{\theta}}{|\mathbf{a}|}$$も同じく整数となる。この値を\(l\)とする。\(kl = 4\cos^2{\theta}\leq 4\)は整数なので、\(4\cos^2{\theta} = 0, 1, 2, 3, 4\)となる。すると、\(\displaystyle |\cos{\theta}| = 0, \frac{1}{2}, \frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{\sqrt{3}}{2}, 1\)となり、\(\theta\)は\(90^\circ, 60^\circ, 45^\circ, 30^\circ, 0^\circ\)およびそれらの補角となる。

\((2)\) なす角\(\theta\)が\(0^\circ\)のとき、\(kl = 4\cos^2{\theta} = 4\)だから\((|k|, |l|) = (1, 4), (2, 2), (3, 1)\)で、このときベクトルの大きさの比は\(\underline{1:2}\)あるいは\(\underline{1:1}\)となる。
なす角\(\theta\)が\(30^\circ\)のとき、\(kl = 4\cos^2{\theta} = 3\)だから\((|k|, |l|) = (1, 3), (3, 1)\)で、このときベクトルの大きさの比は\(\underline{1:\sqrt{3}}\)となる。
なす角\(\theta\)が\(60^\circ\)のとき、\(kl = 4\cos^2{\theta} = 1\)だから\((|k|, |l|) = (1, 1)\)で、このときベクトルの大きさの比は\(\underline{1:1}\)となる。

\((3)\) 単位円の上に、\((1, 0)\)を取り、\((2)\)を利用して\(12\)個の点を描く。ベクトル\((1, 0)\)となす角が\(30^\circ\)のときは長さが\(\sqrt{3}\)になるように、なす角が\(60^\circ\)のときは長さが\(1\)になるように\(\cdots\)と考えていくと、下図のようにベクトルを取ると条件を満たす。

解答の\(12\)個の点。

解説

\((1), (2)\) 解答中の\(k\)にあたるものだけを考えるよりは、相棒にあたる\(l\)も合わせて考えると議論しやすい。

\((3)\) \((2)\)をヒントとして、とりあえず単位円を描くと先が見える。

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