[math]1983年京都大学文理共通問題文系問題4理系問題4

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問題

\(3\)つのベクトル\(\overrightarrow{OA}, \overrightarrow{OB}, \overrightarrow{OC}\)は互いに直交している。点\(O\)より直線\(BC, CA, AB\)に垂線を引き、その交点をそれぞれ\(P, Q, R\)とする。
\((1)\) 四面体\(OPQR\)の四面体\(OABC\)に対する体積比を、\(\overrightarrow{OA}, \overrightarrow{OB}, \overrightarrow{OC}\)の長さ\(a, b, c\)で表わせ。
\((2)\) 四面体\(OPQR\)の体積は四面体\(OABC\)の体積の\(\displaystyle \frac{1}{4}\)以下であることを示せ。

方針

ベクトルに拘らず座標に載せてしまうと良い。

解答

下のように座標空間に点\(A, B, C\)を載せる。

座標空間上に上記のように点を配置する。

三角形\(ABC\)と三角形\(PQR\)の面積比を求めれば良い。まず\(AR: RB\)を求める。\(xy\)平面で\(R(x, y)\)とすると、線分\(AB\)と\(OR\)は直交するので、直線の直交の条件から\(\displaystyle \frac{y}{x}\cdot -\frac{b}{a} = -1\)となる。また、点\(R\)は線分\(AB\)上にあるので、\(\displaystyle \frac{x}{a}+\frac{y}{b}=1\)である。この二式を解くと、\(\displaystyle x = \frac{ab^2}{a^2+b^2}, y = \frac{a^2b}{a^2+b^2}\)となる。\(AR: RB = 1-t:t\)とすると、$$(1-t)(a, 0) + t(0, b) = (x, y)$$となる。これから\(\displaystyle t = \frac{a^2}{a^2+b^2}\)で、\(AR: RB = b^2:a^2\)となる。他の垂線についても同様に考えると、以下の図のような比になる。

三角形\(ABC\)と\(PQR\)の位置関係。

ここから、三角形\(ABC\)の面積を\(S\)とすると、三角形\(PQR\)の面積は$$S-\frac{b^2c^2}{(b^2+a^2)(c^2+a^2)}S-\frac{a^2c^2}{(a^2+b^2)(c^2+b^2)}S-\frac{b^2a^2}{(b^2+c^2)(a^2+c^2)}S$$であるが、計算するとこれは\(\displaystyle \frac{2a^2b^2c^2}{(a^2+b^2)(b^2+c^2)(c^2+a^2)}S\)となる。求める体積比は\(\displaystyle \underline{\frac{2a^2b^2c^2}{(a^2+b^2)(b^2+c^2)(c^2+a^2)}}\)である。

\((2)\) 相加平均、相乗平均の関係式から、$$\begin{cases}a^2+b^2\geq 2ab\\ b^2+c^2\geq 2bc\\ c^2+a^2\geq 2ca\end{cases}$$である。辺ごとに掛け合わせて、$$(a^2+b^2)(b^2+c^2)(c^2+a^2)\geq 8a^2b^2c^2$$である。これを変形して\(\displaystyle \frac{2a^2b^2c^2}{(a^2+b^2)(b^2+c^2)(c^2+a^2)}\leq \frac{1}{4}\)を得る。よって、四面体\(OPQR\)の体積は四面体\(OABC\)の体積の\(\displaystyle \frac{1}{4}\)以下となる。

解説

べクトルっぽい問題であるが中身は中学レベルの平面図形である。落ち着いて取り組めば何の問題もなく解けるだろう。計算は多少煩わしい\(30\)分もあれば十分だろう。\((2)\)はおまけである。相加平均と相乗平均の関係式を用いる。

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