[math]1985年京都大学文理共通数学問題文系問題1理系問題1

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問題

実数\(p, q \ (q > 0)\)に対して、下の\(2\)条件\((i), (ii)\)を満たす三角形\(ABC\)が存在するための必要十分条件を求めよ。
\((i)\) \(|\overrightarrow{BC}| = q\)
\((ii)\) \(\overrightarrow{AB}\cdot \overrightarrow{AC} = p\)
ただし、\(\overrightarrow{AB}\cdot \overrightarrow{AC}\)は\(\overrightarrow{AB}\)と\(\overrightarrow{AC}\)の内積を表す。

方針

ベクトルに拘らず座標で考えるのがよい。

解答

条件\((i)\)から座標平面で\(B(0, 0), C(q, 0)\)とおける。\(A(x, y)\)とすると、条件\((ii)\)から$$(-x, -y)\cdot (q-x, -y) = p$$である。変形して$$-qx + x^2+y^2 = p$$である。整理して、$$\left(x-\frac{p}{2}\right)^2 + y^2 = p + \frac{q^2}{4}$$である。\(\displaystyle p+\frac{q^2}{4} < 0\)のとき、この式を満たす実数\((x, y)\)は存在しない。\(\displaystyle p+\frac{q^2}{4} = 0\)のとき、\(\displaystyle (x, y) = \left(\frac{p}{2}, 0\right)\)となるが、このとき点\(A\)は線分\(BC\)の中点になるので、\(ABC\)は三角形にならない。\(\displaystyle p+\frac{q^2}{4} > 0\)のとき、点\(A\)は線分\(BC\)の中点を中心とする半径\(\displaystyle \sqrt{p+\frac{q^2}{4}}\)の円周上にあり、\(ABC\)は三角形を作る。よって、求める条件は\(\displaystyle \underline{p+\frac{q^2}{4} > 0}\)である。

解説

座標設定してしまうと、何のことはない。べクトルのまま解こうとするのはあまり良い方針ではないだろう。京都大学ではこのように一見べクトルと見えるが座標設定すると一瞬という問題が頻繁に出題されていて、例えば91年後期理系問題3、99年前期理系問題2、2000年度前期文理共通問題1と枚挙に暇がない。べクトルの問題に見えても抽象的で分かりにくいと感じたらまず座標に載せてみる方針は、ピンチから脱出できるきっかけになるのかも知れない。

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