[math]1989年京都大学前期理系数学問題4

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問題

四面体\(OABC\)において\(\overrightarrow{OA}, \overrightarrow{OB}, \overrightarrow{OC}\)は互いに直交している。\(\displaystyle \overrightarrow{OG} = \frac{1}{4}(\overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB} + \overrightarrow{OC})\)となる点\(G\)を通り\(\overrightarrow{OG}\)に直交する平面による四面体\(OABC\)の切り口は、どのような図形か。\(\overrightarrow{OA}, \overrightarrow{OB}, \overrightarrow{OC}\)のそれぞれの長さ\(a, b, c\)の関係により区別して述べよ。また、\(a= 7, b = 8, c = 9\)のとき、その切り口の面積を求めよ。

方針

それぞれのベクトルは直交しているので、座標空間に点を置いてしまうのが良いだろう。

解答

座標空間に点\(A (a, 0, 0), B(0, b, 0),C(0, 0, c)\)となるように点を配置する。

座標配置の図。

このとき、\(\displaystyle G=\frac{1}{4}\left(a, b, c\right)\)となる。点\(G\)を通り、\(\overrightarrow{OG}\)に直交する平面上の点を\(P(x, y, z)\)とすると、\(\overrightarrow{OG}\)と\(\overrightarrow{GX}\)は直交するので、\(\overrightarrow{OG}\cdot \overrightarrow{GX} = 0\)である。したがって、$$\left(x-\frac{a}{4}, y-\frac{b}{4}, z-\frac{c}{4}\right)\cdot \frac{1}{4}(a, b, c) = 0$$である。整理すると、$$ax+by+cz = \frac{a^2+b^2+c^2}{4}$$となる。これが題意の平面の方程式である。この平面と\(x, y, z\)軸との交点は、方程式でそれぞれ\(y = z = 0, z = x = 0, x = y = 0\)と置くことによって、順に\(\displaystyle \frac{a^2+b^2+c^2}{4a}, \frac{a^2+b^2+c^2}{4b}, \frac{a^2+b^2+c^2}{4c}\)である。この値を順に\(p, q, r\)とする。ここで、\(p\geq a, q\geq b, r\geq c\)とすると、$$\begin{cases}a^2+b^2+c^2\geq 4a^2 \\ a^2+b^2+c^2\geq 4b^2\\ a^2+b^2+c^2\geq 4c^2\end{cases}$$となり、辺ごとに足すと、\(3(a^2+b^2+c^2)\geq 4(a^2+b^2+c^2)\)となり矛盾する。したがって、\(p\geq a, q\geq b, r\geq c\)となることはない。

\((i)\) \(p\leq a, q\leq b, r\leq c\)のとき、切り口は次の図のように三角形になる。

\(p\leq a, q\leq b, r\leq c\)のとき。

\((ii)\) \(p-a, q-b, r-c\)のうち二つが\(0\)以下のとき、次の図のように切り口は四角形になる。

\(p-a, q-b, r-c\)のうち二つが\(0\)以下のとき。

\((iii)\) \(p-a, q-b, r-c\)のうち一つが\(0\)以下のとき、次の図のように切り口は五角形になる。

\(p-a, q-b, r-c\)のうち一つが\(0\)以下のとき。

\(a = 7, b = 8, c = 9\)のとき、\(\displaystyle p = \frac{97}{14}, q = \frac{97}{16}, r = \frac{97}{18}\)だから、\(p<a, q < b, r < c\)で、切り口は三角形になる。この面積を\(S\)とすると、\(\displaystyle \overrightarrow{OG} = \frac{1}{4}(7, 8, 9)\)で、\(\displaystyle |\overrightarrow{OG}| = \frac{\sqrt{194}}{4}\)だから、体積に着目した計算を行うと、\(\displaystyle S\cdot \frac{\sqrt{194}}{4}\cdot \frac{1}{3} = \frac{pqr}{6}\)となる。よって、\(\displaystyle S = \underline{\frac{9409\sqrt{194}}{4032}}\)となる。

解説

場合分けが面倒だが、細々と書かずに解答の程度で十分だろう。空間座標での平面の方程式に関しては学習範囲外だが、入試問題作問者にとってはそんなことはお構い無しで、毎年のように何処かでこれを使わないと厳しい問題が出題されている。この機会に覚えるようにすると良い。べクトルを使って毎回導ければ十分である。最後の切り口の面積を求める部分では体積に着目している。\(\overrightarrow{OG}\)と求める三角形のある平面は直交していることに注意する。

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