[math]1997年京都大学後期数学問題文理共通文系問題問題3理系問題3

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問題

点\(O\)を中心とする半径\(1\)の球面上に\(4\)点\(A, B, C, D\)があって、$$\overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB} + \overrightarrow{OC} + \overrightarrow{OD} = \overrightarrow{0}$$が成立しているとする。
\((1)\) \(|\overrightarrow{AB}| = |\overrightarrow{CD}|\)であることを示せ。
\((2)\) 点\(B^{\prime}, D^{\prime}\)を\(\overrightarrow{OB^{\prime}} = -\overrightarrow{OB}, \overrightarrow{OD^{\prime}} = -\overrightarrow{OD}\)となるようにとる。このとき、\(A, B^{\prime}, C, D^{\prime}\)が互いに異なるならば、これら\(4\)点は、この順で、ある長方形の頂点となっていることを示せ。

方針

\((1)\) では絶対値を考える。

\((2)\) では\(4\)点が同一平面上にあることに言及しないと大きく減点されてしまうだろう。

解答

\((1)\) 与えられた関係式から、\(\overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB} = -\overrightarrow{OC} + \overrightarrow{OD}\)である。\(|\overrightarrow{OA}| = |\overrightarrow{OB}| = |\overrightarrow{OC}| = |\overrightarrow{OD}| = 1\)とする。両辺の絶対値を取って、二乗すると、\(|\overrightarrow{OA}|^2 + 2\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB} + |\overrightarrow{OB}|^2 = |\overrightarrow{OC}|^2 + 2\overrightarrow{OC}\cdot \overrightarrow{OD} + |\overrightarrow{OD}|^2 \)だから、\(\overrightarrow{OA}\cdot \overrightarrow{OB} = \overrightarrow{OC}\cdot \overrightarrow{OD}\)が分かる。この値を\(l\)とする。このとき、$$\begin{eqnarray}|\overrightarrow{AB}|^2 & = & |\overrightarrow{OB}-\overrightarrow{OA}|^2\\ & = & 2-2l\\ |\overrightarrow{CD}|^2 & = & |\overrightarrow{OD}-\overrightarrow{OC}|^2\\ & = & 2-2l\end{eqnarray}$$である。よって、\(|\overrightarrow{AB}| = |\overrightarrow{CD}|\)である。

\((2)\) \(\overrightarrow{OB^{\prime}} =-\overrightarrow{OB}, \overrightarrow{OC^{\prime}} = -\overrightarrow{OC}\)を与えられた関係式に代入して、$$\overrightarrow{OA}-\overrightarrow{OB^{\prime}} + \overrightarrow{OC}-\overrightarrow{OD^{\prime}} = \overrightarrow{0}$$である。変形して、\(\overrightarrow{B^{\prime}A} = \overrightarrow{CD^{\prime}}\)である。したがって、ベクトル\(\overrightarrow{B^{\prime}A}\)と\(\overrightarrow{CD^{\prime}}\)は同一平面上にあり平行であるか、または同一直線上にあるかのどちらかである。\(|\overrightarrow{AC}| = |\overrightarrow{B^{\prime}D^{\prime}}|\)であることが言えれば一致する可能性が消えて、\(AB^{\prime}CD^{\prime}\)はこの順で四角形を作る。$$\begin{eqnarray}|\overrightarrow{AC}|^2 & = & |\overrightarrow{OC}-\overrightarrow{OA}|^2\\ & = & 2-2l\\ |B^{\prime}D^{\prime}|^2 & = & |\overrightarrow{OD^{\prime}}-\overrightarrow{OB^{\prime}}|^2 & = & |-\overrightarrow{OD} + \overrightarrow{OB}|^2\\ & = & 2-2l\end{eqnarray}$$であるから、\(|\overrightarrow{AC}| = |\overrightarrow{B^{\prime}D^{\prime}}|\)であり、題意が証明された。

解説

みかけは以下の問題と似ているが、空間である分この問題のほうが難しい。

京都大学の過去問題。

\(4\)点が同じ平面上にあるかどうかは分からないので、難易度が上がっている。そのことを意識して解答を記述しないと、減点されてしまう。解答のように先ず\(\overrightarrow{AC}\)と\(\overrightarrow{B^{\prime}D^{\prime}}\)が平行であることを示し、この\(2\)つのべクトルが同じ直線上にないことを示すために\(|\overrightarrow{AC}| = |\overrightarrow{B^{\prime}D^{\prime}}|\)’を示すという流れがすっきりしていると思う。それ以外の方針では同じ平面に\(4\)点があるかどうかが分からないことがネックになってくる。

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