[math]2021年東京医科歯科大学前期数学問題2

問題

\(a, h\)を正の実数とし、\(xyz\)空間の\(5\)点\(A(a, a, 0), B(-a, a, 0), C(-a, -a, 0), D(a, -a, 0), E(0, 0, h)\)を頂点とする四角錐を\(P\)とする。\(P\)の\(yz\)平面による断面の周の長さが\(1\)であるとき、以下の各問いに答えよ。
\((1)\) \(h\)を\(a\)の式で表わせ。また、\(a\)が取り得る値の範囲を求めよ。
\((2)\) 球\(S\)は\(P\)のすべての面に接しているとする。\(a\)が\((1)\)で求めた範囲を動くとき、\(S\)の体積が最大となる\(a\)の値を求めよ。
\((3)\) 直方体\(Q\)は\(1\)つの面が\(xy\)平面上にあり、すべての頂点が\(P\)の辺上または面上にあるとする。\(a\)を固定したとき、\(Q\)の体積が取り得る値の最大値を\(V(a)\)とおく。\(a\)が\((1)\)で求めた範囲を動くとき、\(V(a)\)の最大値を求めよ。

方針

立体図形の問題では適切な断面を考えることが重要である。

解答

図形概略図は以下のようになる。

立体の配置図。

\((1)\) 下の図から\(2\sqrt{a^2+h^2} + 2a = 1\)となる。よって、\(\displaystyle \underline{h = \sqrt{\left(\frac{1}{2}-a\right)^2-a^2} = \frac{1}{2}\sqrt{1-4a}}\)である。このような\(h\)が存在するためには、\(\displaystyle \underline{0 < a < \frac{1}{4}}\)が必要である。

\(yz\)平面による\(P\)の切り口。

\((2)\) \(S\)の半径を\(r\)とすると、下の図の三角形の面積を考えて、$$\frac{r}{2}(2a+2\sqrt{h^2+a^2}) = \frac{1}{2}\cdot 2a\cdot h$$である。

\((1)\)で考えた三角形の面積を考える。

これから、$$\begin{eqnarray}r & = & \frac{ah}{a+\sqrt{h^2+a^2}}\\ & = & 2ah\\ & = & a\sqrt{1-4a}\end{eqnarray}$$となる。\(\displaystyle f(a) = a\sqrt{1-4a}\ \ \left(0 < a < \frac{1}{4}\right)\)とすると、$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(a) & = & \sqrt{1-4a} + a\cdot \frac{1}{2}\cdot\frac{-4}{\sqrt{1-4a}}\\ & = & \frac{1-6a}{\sqrt{1-4a}}\end{eqnarray}$$となる。したがって、\(f(a)\)は\(\displaystyle \underline{a = \frac{1}{6}}\)のときに最大となるが、このとき\(S\)の体積も最大となる。

\((3)\) \(xy\)平面に平行な平面\(z = k (0 < k\leq h)\)で\(P\)の断面を考える。断面は下の図のような四角形になるが、この四角形の内部に取れる最大の四角形を\(Q\)の上の面とすれば、\(Q\)の体積は最大になる。

\(xy\)平面に平行な平面で\(P\)を切る。

そのような四角形は、断面そのものに他ならない。四角形の一辺の長さを\(2x\)とすると、下の図の三角形の相似を利用して、\(h-k:\sqrt{2}x = h:\sqrt{2}a\)となり、\(\displaystyle x = \frac{(h-k)a}{h}\)となる。\(Q\)の体積は$$\begin{eqnarray}(2x)^2k & = & \frac{4(h-k)^2a^2}{h^2}k\end{eqnarray}$$となる。

以下のような断面を考え、切り口の一辺の長さを求める。

\(a\)を固定して\(k(h-k)^2\)が最大になる\(k\)を定める。\(a\)を固定したとき\(h\)も固定されることに注意する。\(g(k) = k(h-k)^2\ \ (0 < k\leq h)\)とすると、$$\begin{eqnarray}g^{\prime}(k) & = & (h-k)^2 – 2k(h-k)\\ & = & (h-k)(h-k-2k)\\ & = & (h-k)(h-3k)\end{eqnarray}$$となる。したがって、\(g(k)\)は\(\displaystyle k = \frac{h}{3}\)のときに最大となるので、$$\begin{eqnarray}V(a) & = & \frac{4a^2}{h^2}g\left(\frac{h}{3}\right) \\ & = & \frac{16a^2h}{27}\\ & = & \frac{8}{27}a^2\sqrt{1-4a}\end{eqnarray}$$である。\(p(a) = a^2\sqrt{1-4a}\)とすると、$$\begin{eqnarray}p^{\prime}(a) & = & 2a\sqrt{1-4a}-a^2\cdot \frac{1}{2}\cdot \frac{4}{\sqrt{1-4a}}\\ & = & \frac{2a(1-4a)-2a^2}{\sqrt{1-4a}}\\ & = & \frac{2a(1-5a)}{\sqrt{1-4a}}\end{eqnarray}$$である。したがって\(p(a)\)は\(\displaystyle a = \frac{1}{5}\)のとき最大値をとり、このとき\(\displaystyle V(a) = \frac{8}{27}\cdot \frac{1}{25}\cdot \frac{\sqrt{5}}{5} = \underline{\frac{8\sqrt{5}}{3375}}\)となる。

解説

\((1)\) 断面は三角形になる。

\((2)\) 三角形の内接円や内接球の半径を考えるときには、解答のように三角形の面積に帰着させるのが常套手段である。解答程度の微分は軽く済ませたい。

\((3)\) しかつめらしい書き方であるが、結局\(V(a)\)が最大になるのは\(xy\)平面と平行な平面で切ったときの\(P\)の断面が\(Q\)の上の面と一致するときである。計算量はやや多いが、立体図形の問題として考えにくいところは少なく、処理力が要求される。

関連問題

1991年前期東京医科歯科大学数学問題2 空間図形と方程式
2006年度前期東京医科歯科大学数学問題2 四面体、空間座標、体積
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2010年東京医科歯科大学前期数学問題2 空間図形と体積
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関連リンク

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