[math]2019年東京医科歯科大学数学問題3

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問題

\(a\)と\(b\)を実数として、\(xy\)平面において、\(2\)つの曲線$$C_1: y = x^4-x^2, C_2: y = a(x^2-1)$$および直線\(l: y = b\)を考える。ただし\(C_1\)と\(l\)は相異なる\(4\)点で交わるとする。また\(C_1\)と\(C_2\)は\(0 < x_0 < 1\)となる交点\(P(x_0, y_0)\)をひとつもつとする。このとき以下の各問いに答えよ。
\((1)\) \(a\)のとりうる値の範囲を求めよ。また\(x_0, y_0\)を\(a\)を用いて表わせ。
\((2)\) \(b\)のとりうる値の範囲を求めよ。また\(C_1\)と\(l\)の交点の\(x\)座標を\(b\)を用いて表わせ。
\((3)\) \(C_1\)と\(l\)で囲まれる領域のうち、\(y\leq b\)の部分を\(y\)軸のまわりに回転してできる立体の体積を\(V_1\)とする。\(V_1\)を\(b\)を用いて表わせ。
\((4)\) \(b = y_0\)として、\(C_2\)と\(l\)で囲まれる領域のうち、\(y\leq y_0\)の部分を\(y\)軸のまわりに回転してできる立体の体積を\(V_2\)とする。\(3V_1 = V_2\)のとき、\(a\)の値を求めよ。

方針

\((1)\) 比較的簡単に因数分解が可能である。

\((2)\) \(C_1\)の概形を調べる。

\((3)\) バームクーヘン分割の公式を用いると早い。

\((4)\) 絶対値を外すときには注意しなくてはならない。

解答

\((1)\) \(C_1\)と\(C_2\)の方程式を連立させて、$$\begin{eqnarray}x^4-x^2 & = & a(x^2-1)\\ \iff x^4-(a+1)x^2+a & = & 0 \\ (x^2-a)(x^2-1) & = & 0\tag{a}\label{a}\end{eqnarray}$$である。条件が満たされるためには、\(\underline{0<a<1}\)が必要で、逆にこのとき\(C_1\)と\(C_2\)は\(0<x_0<1\)に交点をひとつ持ち十分である。また、\(\underline{x_0 = \sqrt{a}, y_0 = a^2-a}\)となる。

\((2)\) \(f(x) = x^4-x^2\)とすると、\(f^{\prime}(x) = 4x^3-2x = 2x(2x^2-1)\)である。したがって\(f(x)\)の増減は以下の表のようになる。ただし、\(f(x)\)は偶関数なので\(x\geq 0\)として考える。

\begin{array}{|c|*5{c|}}\hline x & 0 & \cdots & \frac{1}{\sqrt{2}} & \cdots \\ \hline f^{\prime}(x) &0 & – & 0 & + \\ \hline f(x) & 0 & \searrow & -\frac{1}{4} & \nearrow \\ \hline \end{array}

以上から\(y = f(x)\)の概形は下の図のようになり、求める\(b\)の範囲は\(\displaystyle \underline{-\frac{1}{4} < b < 0}\)となる。\(C_1\)と\(l\)の交点の\(x\)座標は\(C_1\)と\(l\)の方程式を連立させて、$$\begin{eqnarray}x^4-x^2 & = & b \\ x^4-x^2-b & = & 0\end{eqnarray}$$として、\(\displaystyle \underline{x = \pm\sqrt{\frac{1\pm\sqrt{1+4b}}{2}}}\)となる。

\(y = x^4-x^2\)の概形。

\((3)\) \(\displaystyle x_1 = \sqrt{\frac{1-\sqrt{1+4b}}{2}}, x_2 = \sqrt{\frac{1+\sqrt{1+4b}}{2}}\)とする。求める体積は$$\begin{eqnarray}V_1 & = & \pi\int_{x_1}^{x_2}{2x(b-(x^4-x^2))dx}\\ & = & 2\pi\left[-\frac{x^6}{6}+\frac{x^4}{4}+\frac{bx^2}{2}\right]_{x_1}^{x_2}\\ & = & \pi\left(-\frac{{x_2}^6-{x_1}^6}{3}+\frac{{x_2}^4-{x_1}^4}{2}+b({x_2}^2-{x_1}^2)\right) \tag{b}\label{b}\end{eqnarray}$$である。$$\begin{eqnarray}{x_2}^2-{x_1}^2 & = & \frac{1+\sqrt{1+4b}}{2}-\frac{1-\sqrt{1+4b}}{2}\\ & = & \sqrt{1+4b}\\ {x_2}^4-{x_1}^4 & = & \frac{1+2b+\sqrt{1+4b}}{2}-\frac{1+2b-\sqrt{1+4b}}{2} \\ & = & \sqrt{1+4b}\\ {x_2}^6-{x_1}^6 & = & \frac{1+3b+(1+b)\sqrt{1+4b}}{2}-\frac{1+3b-(1+b)\sqrt{1+4b}}{2}\\ & = & (1+b)\sqrt{1+4b}\end{eqnarray}$$であるから、\eqref{b}に代入して、$$\begin{eqnarray}V_1 & = & \pi\left(-\frac{(1+b)\sqrt{1+4b}}{3}+\frac{\sqrt{1+4b}}{2}+b\sqrt{1+4b}\right)\\ & = & \underline{\frac{(1+4b)^{\frac{3}{2}}\pi}{6}}\end{eqnarray}$$となる。

\((4)\) \(b = a^2-a\)である。\((3)\)と同様に、$$\begin{eqnarray}V_2 & = & 2\pi\int_{0}^{x_0}{x(b-a(x^2-1))dx}\\ & = & 2\pi\int_{0}^{x_0}{(-ax^3+(a+b)x)dx}\\ & = & 2\pi\left[-\frac{ax^4}{4}+\frac{(a+b)x^2}{2}\right]_{0}^{x_0}\\ & = & \pi\left(-\frac{a\cdot a^2}{2}+(a+b)a\right)\\ & = & \frac{a^3\pi}{2}\end{eqnarray}$$である。\((3)\)から\(\displaystyle V_1 = \frac{(1+4b)^{\frac{3}{2}}\pi}{6} = \frac{|2a-1|^3\pi}{6}\)であるから、\(3V_1 = V_2\)のとき、$$\begin{eqnarray}\frac{|2a-1|^3\pi}{2} & = & \frac{a^3\pi}{2}\\ \iff |2a-1|^3 = & a^3 \\ \iff |2a-1| & = &a\end{eqnarray}$$となる。\(0 < a < 1\)の範囲でこれを満たすのは\(-(2a-1) = a\)のときで、このとき\(\displaystyle \underline{a = \frac{1}{3}}\)となる。

解説

\(y\)軸回りの回転体については、\(x = \cdots\)と表してから\(y\)軸の方向に積分してもよいのだが、バームクーヘン分割を覚えておくと早い。つまり、下図の\(y =f(x)\)で囲まれる部分を\(y\)軸の周りに回転させた部分の体積は

図形の概形。

$$V = \pi\int_{a}^{b}{2xf(x)dx}$$

になるというものである。これは、\(x\)から\(x+dx\)までの微小積分を、図のようにバームクーヘンの外周を剥くように展開し、足し上げていくという手法である。

バームクーヘンの外周をぺろりと剥がし、立方体として体積を計算し、足し上げる。

計算が容易になることが多いので、記憶しておくと良い。

関連問題

1983年東京大学理系数学第6問 斜回転体の体積
1998年東京大学前期数学問題6 四角錐と円柱、求積の基本について
2007年東京医科歯科大学前期数学問題1 立体図形と表面積
2012年東京医科歯科大学前期数学問題2 空間図形と求積、断面図

関連リンク

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