[math]2014年東京医科歯科大学数学問題1

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問題

自然数\(n\)に対し、\(3\)個の数字\(1, 2, 3\)から重複を許して\(n\)個並べたもの\((x_1, x_2, \cdots, x_n)\)の全体の集合を\(S_n\)とおく。\(S_n\)の要素\((x_1, x_2, \cdots, x_n)\)に対し、次の\(2\)つの条件を考える。
条件\(C_{12}: \) \(1\leq i< j\leq n\)である整数\(i, j\)の組で、\(x_i = 1, x_j = 2\)を満たすものが少なくとも\(1\)つ存在する。
条件\(C_{123}: \) \(1\leq i<j < k \leq n\)である整数\(i, j, k\)の組で、\(x_i = 1, x_j = 2, x_k = 3\)を満たすものが少なくとも\(1\)つ存在する。
例えば、\(S_4\)の要素\((3, 1, 2, 2)\)は条件\(C_{12}\)を満たすが、条件\(C_{123}\)は満たさない。\(S_n\)の要素\((x_1, x_2, _\cdots, x_n)\)のうち、条件\(C_{12}\)を満たさない・・・・・ものの個数を\(f(n)\)、条件\(C_{123}\)を満たさない・・・・・ものの個数を\(g(n)\)とおく。このとき以下の各問いに答えよ。
\((1)\) \(f(4)\)と\(g(4)\)を求めよ。
\((2)\) \(f(n)\)を\(n\)を用いて表わせ。
\((3)\) \(g(n+1)\)を\(g(n)\)と\(f(n)\)を用いて表わせ。
\((4)\) \(g(n)\)を\(n\)を用いて表わせ。

方針

\(f(n)\)については、一番最初に出る\(1\)の位置で場合分けして考えると良い。

解答

\(f(n)\)の中で、\(1\)が最初に出る位置を\(i\ \ (i = 1, 2, \cdots, n, n+1)\)とする。ただし、\(i = n+1\)のときは\(1\)が出ないものと考える。\(x_1, x_2, \cdots, x_{i-1}\)までは\(2\)か\(3\)のどちらかが出て、\(x_{i+1}, x_{i+2}, \cdots, x_{n}\)は\(1\)か\(3\)のどちらかが出る。この場合の数は、\(2^{i-1}\times 2^{n-i} = 2^{n-1}\)通りである。\(i = 1, 2, \cdots, n\)として、最後に、\(1\)が一回も出ない場合\(2^{n}\)を足すと、\(f(n) = 2^{n-1}\cdot n + 2^n = \underline{2^{n-1}(n+2)}\)である。

また、\(g(n)\)の中で\(f(n)\)となるものとそうでないもの(条件\(C_{12}\)を満たすもの)が存在するが、\(f(n)\)となるものについては\(x_{n+1} = 1, 2, 3\)どれでも選んで良い(\(g(n+1)\)を作ることができる)。\(f(n)\)とならないものについては\(x_{n+1} = 1, 2\)とすれば\(g(n+1)\)になるので、\(g(n+1) = 3f(n) + 2(g(n)-f(n)) = \underline{f(n) + 2g(n)}\)である。

これから\(g(n+1) = 2g(n) + 2^{n-1}(n+2)\)となる。また、\(n = 1, 2\)のとき条件\(C_{123}\)を満たす\(S_n\)の要素はないので、\(g(1) = 3, g(2) = 9\)である。$$\begin{eqnarray}g(n+1) & = & 2g(n) + 2^{n-1}(n+2)\\ \frac{g(n+1)}{2^{n+1}} & = & \frac{g(n)}{2^n} + \frac{n+2}{4}\end{eqnarray}$$である。\(\displaystyle \frac{g(n)}{2^n} = h(n)\)とすると、$$h(n+1) = h(n) + \frac{n+2}{4}\\ h(1) = \frac{3}{2}, h(2) = \frac{9}{2}$$である。したがって、$$\begin{eqnarray}h(n) & = & \sum_{k=1}^{n-1}{\left(\frac{k+2}{4}\right)} + h(1) \\ & = & \frac{1}{4}\left(3+4+\cdots + (n+1)\right) + \frac{3}{2}\\ & = & \frac{1}{4}\left(1+2+\cdots + (n+1)\right)-\frac{1+2}{4}+\frac{3}{2}\\ & = & \frac{1}{4}\cdot \frac{(n+1)(n+2)}{2}+\frac{3}{4}\\ & = & \frac{n^2+3n+8}{8}\end{eqnarray}$$である。これより\(\displaystyle g(n) = 2^nh(n) = \underline{2^{n-3}(n^2+3n+8)}\)である。これは\(n = 1\)で成り立つ。

\((1)\) \(f(4) = 2^3(4+2) = \underline{48}, g(4) = 2(16+12+8) = \underline{72}\)である。

\((2)\) \(f(n) = 2^{n-1}(n+2)\)である。

\((3)\) \(g(n+1) = f(n) + 2g(n)\)である。

\((4)\) \(g(n) = 2^{n-3}(n^2+3n+8)\)である。

解説

最後の\(x_n\)が\(1, 2, 3\)のどれかで場合分けしたくなるが、\(x_1, x_2, \cdots\)のどれかに\(1\)があるとややこしくなるので、こういう場合はどこで最初に\(1\)が出るかを考えると良い。\(g(n)\)の漸化式を作ると指数が入った式が立つが、\(2^{n}\)で割る手法は身につけておきたい。

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