[math]2014年東京医科歯科大学数学問題2

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問題

\(\displaystyle 0 < \theta < \frac{\pi}{2}\)を満たす実数\(\theta\)に対し、\(xyz\)空間内の\(4\)点\(A(\cos{\theta}, \cos{\theta}, \sin{\theta}), B(-\cos{\theta}, -\cos{\theta}, \sin{\theta}), C(\cos{\theta}, -\cos{\theta}, -\sin{\theta}), D(-\cos{\theta}, \cos{\theta}, -\sin{\theta})\)を頂点とする四面体の体積を\(V(\theta)\)、この四面体の\(xz\)平面による切り口の面積を\(S(\theta)\)とする。このとき以下の各問いに答えよ。
\((1)\) \(\displaystyle S\left(\frac{\pi}{6}\right), V\left(\frac{\pi}{6}\right)\)を求めよ。
\((2)\) \(\displaystyle 0 < \theta < \frac{\pi}{2}\)における\(S(\theta)\)の最大値を求めよ。
\((3)\) \(\displaystyle 0 < \theta < \frac{\pi}{2}\)における\(V(\theta)\)の最大値を求めよ。

方針

四面体は等面四面体になる。

解答

題意の四面体はすべての面が等しい四面体なので、等面四面体になる。三角形\(ABC\)について、$$\begin{eqnarray}AB & = & 2\sqrt{2}\cos{\theta}\\ BC & = & 2 \\ CA & = & 2\end{eqnarray}$$である。下図のように横\(a\)、縦\(b\)、高さ\(c\)の直方体に四面体を埋め込むと、$$\begin{eqnarray}a^2+b^2 & = & 8\cos^2{\theta}\\ b^2+c^2 & = & 4\\ c^2+a^2 & = &4\end{eqnarray}$$である。

立体の概形図。

すべて足すと、\(a^2+b^2+c^2 = 4(1+\cos^2{\theta})\)である。これから順次計算して、\(\displaystyle a = 2\cos{\theta}, b = 2\cos{\theta}, c = 2\sin{\theta}\)である。\(V(\theta)\)は直方体から\(4\)つの四面体を除いた残りであるから、\(\displaystyle V(\theta) = abc-\frac{abc}{6}\cdot 4 = \frac{abc}{3} = \underline{\frac{8\cos^2{\theta}\sin{\theta}}{3}}\)である。

等面四面体は直方体の一番手前の点から三本の対角線を引き、作っていくとわかりやすい。

また、\(S(\theta)\)は下図のひし形の面積で、\(\displaystyle S(\theta) = 2\cos{\theta}\cdot 2\sin{\theta}-\frac{1}{2}\cos{\theta}\cdot \sin{\theta}\cdot 4 = 2\sin{\theta}\cos{\theta} = \underline{\sin{2\theta}}\)である。

\(S(\theta)\)は上図のひし形になる。

\((1)\) \(\displaystyle \theta = \frac{\pi}{6}\)のとき、\(\displaystyle S\left(\frac{\pi}{6}\right) = \underline{\frac{\sqrt{3}}{2}}, V\left(\frac{\pi}{3}\right) = \underline{1}\)である。

\((2)\) \(\theta = \frac{\pi}{4}\)のときに\(S(\theta)=1\)となり、これが最大値になる。

\((3)\) \(\sin{\theta} = x \ (0<x<1)\)とすると、\(\displaystyle V(\theta) = \frac{8}{3}x(1-x^2)\)である。\(f(x) = x(1-x^2)\)とすると、\(f^{\prime}(x) = 1-3x^2\)であるから、\(\displaystyle x = \frac{1}{\sqrt{3}}\)のときに\(V(\theta)\)は最大値\(\displaystyle \frac{8}{3}\cdot \frac{1}{\sqrt{3}}\left(1-\frac{1}{3}\right) = \underline{\frac{16\sqrt{3}}{27}}\)をとる。

解説

解答では等面四面体の知識を活用している。この四面体について、難関大学では「知っていて当然」と考えている節がある。知らずに悔しい思いをするよりは、身につけてしまったほうが良いだろう。過去に何回かこのサイトでも取り上げているので、参考にすると良い。

等面四面体の作り方から解説している。
こちらは応用問題。

解答中で、\(a, b, c\)を計算するところでまずすべての式を足して\(2(a^2+b^2+c^2)\)の値を求めてから計算すると計算ミスを減らすことができる。つまり、\(a^2+b^2+c^2 = 4(1+\cos^2{\theta})\)なので、\(a^2\)を求めるときには\(b^2+c^2=4\)を見て、\(a^2=(a^2+b^2+c^2)-(b^2+c^2) = 4\cos^2{\theta}\)となる。簡単な工夫であるが、余裕のない試験場ではこういったことも大切である。

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関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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