[math]2015年東京医科歯科大学数学問題3

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問題

座標平面上で次のように媒介変数表示される曲線\(C\)を考える。$$x = |\cos{t}|\cos^3{t}, y = |\sin{t}|\sin^3{t}\ \ (0\leq t\leq 2\pi)$$このとき以下の各問いに答えよ。
\((1)\) 次の条件\((\ast)\)を満たす第\(1\)象限内の定点\(F\)の座標を求めよ。
\((\ast)\) 第\(1\)象限内で\(C\)上にあるすべての点\(P\)について、\(P\)から直線\(x+y = 0\)に下ろした垂線を\(PH\)とするとき、つねに\(PF = PH\)となる。
\((2)\) 点\(P\)が\(C\)全体を動くとき、\(P\)と\((1)\)の定点\(F\)を結ぶ線分\(PF\)が通過する領域を図示し、その面積を求めよ。
\((3)\) \((2)\)の領域を\(x\)軸のまわりに\(1\)回転してできる立体の体積を求めよ。

方針

\((1)\) 計算で示す。

\((2)\) 象限ごとに分けて考える。

\((3)\) \((2)\)までできれば難しくはないが、計算は大変。

解答

\((1)\) \(C\)が第\(1\)象限内にあるとき、\(x > 0, y > 0\)なので、\(\displaystyle 0 < t < \frac{\pi}{2}\)である。このとき、\(x =\cos^4{t}, y = \sin^4{t}\)なので、\(\cos^2{t} + \sin^2{t} = 1\)から\(\sqrt{x}+\sqrt{y} = 1\)である。点\(F\)の座標を\((a, b)\)、\(C\)上の点\(P(p, q)( = (p, (1-\sqrt{p})^2))\)とする。このとき、点\(P\)が第\(1\)象限内にあるので、\(0<p<1\)である。直線\(x+y = 0\)上の点\(H\)を\(H(h, -h)\)とする。\(PH\)と直線\(x+y = 0\)は直交するから、$$\frac{-h-q}{h-p}\cdot -1 = -1$$である。整理すると、$$\begin{eqnarray}h+q & = & p-h \\ h & = & \frac{p-q}{2} \tag{a}\label{a}\end{eqnarray}$$となる。また、\(PF = PH\)から$$(p-a)^2+(q-b)^2 = (p-h)^2+(q-(-h))^2 $$である。展開せずに整理すると、$$\begin{eqnarray}(p-a)^2-(p-h)^2 & = & (q-(-h))^2-(q-b)^2\\ \iff (p-a+p-h)(p-a-p+h) & = & (q+h+q-b)(q+h-q+b)\\ \iff (2p-a-h)(-a+h) & = & (2q+h-b)(h+b) \\ \iff 2p(-a+h)+a^2-h^2 & = & 2q(h+b) + h^2-b^2\end{eqnarray}$$である。\eqref{a}から$$\begin{eqnarray}2p\left(-a+\frac{p-q}{2}\right)+a^2-\left(\frac{p-q}{2}\right)^2 & = & 2q\left(\frac{p-q}{2}+b\right)+\left(\frac{p-q}{2}\right)^2-b^2\\ \iff -2pa + p^2-pq+a^2-2\cdot \left(\frac{p-q}{2}\right)^2 & = & pq-q^2+2qb-b^2\\ \iff \frac{(p-q)^2}{2} & = & 2(pa+qb)-a^2-b^2 \tag{b}\label{b}\end{eqnarray}$$となる。\(q = (1-\sqrt{p})^2 = 1-2\sqrt{p}+p\)だから、\eqref{b}から$$\begin{eqnarray}\frac{(2\sqrt{p}-1)^2}{2} & = & 2pa+2(1-2\sqrt{p}+p)b-a^2-b^2 \\ \iff 2p-2\sqrt{p}+\frac{1}{2} & = & 2pa +2(1-2\sqrt{p}+p)b-a^2-b^2\end{eqnarray}$$となり、整理すると$$ 2p(1-a-b)+2\sqrt{p}(-1+2b)+\frac{1}{2}-2b+a^2+b^2 = 0 \tag{c}\label{c}$$である。\(0<p<1\)を満たすどんな\(p\)に対しても\eqref{c}が成り立つとき、$$\begin{cases}1-a-b = 0 \\ -1+2b = 0\end{cases}$$が必要となり、このとき\(\displaystyle b = \frac{1}{2}, a = \frac{1}{2}\)となる。すると、$$\begin{eqnarray}\frac{1}{2}-2b+a^2+b^2 & = & \frac{1}{2}-1+\frac{1}{4}+\frac{1}{4}\\ & = & 0\end{eqnarray}$$となり、十分である(\eqref{c}が満たされる)。よって、求める点\(F\)の座標は\(\displaystyle \underline{F\left(\frac{1}{2}, \frac{1}{2}\right)}\)となる。

\((2)\) \(\displaystyle \frac{\pi}{2}\leq t\leq \pi\)のとき、\(x = -\cos^4{t}, y = \sin^4{t}\)であり、\(\displaystyle \pi \leq t\leq \frac{3\pi}{2}\)のとき\(x = -\cos^4{t}, y = -\sin^4{t}\)であり、さらに\(\displaystyle \frac{3\pi}{2}\leq t< 2\pi\)のとき\(x=\cos^4{t}, y = -\sin^4{t}\)である。したがって、\(C\)は原点と\(x\)軸、\(y\)軸に関して対称であり、以下のような概形になる。

\(C\)の概形。

\(P\)が\(C\)全体を動くとき、線分\(PF\)が通過する領域は以下の灰色の領域のようになる。

図の灰色の部分を線分\(FP\)は動く。

まず、\(C\)の第\(1\)象限の部分と\(x\)軸、\(y\)軸で囲まれた部分の面積を\(S_1\)とすると、$$\begin{eqnarray}S_1 & = & \int_{0}^{1}{(1-\sqrt{x})^2dx}\\ & = & \int_{0}^{1}{(1-2\sqrt{x}+x)dx}\\ & = & \left[x-\frac{4}{3}x^{\frac{3}{2}}+\frac{x^2}{2}\right]_{0}^{1} \\ & = & 1-\frac{4}{3} + \frac{1}{2}\\ & = & \frac{1}{6}\end{eqnarray}$$である。\(C\)の第\(3\)象限の部分の面積は\(S_1\)である。\(C\)の第\(2\)象限の部分の面積を\(S_2\)とする。下図の三角形の部分と分けて考える。

三角形の面積と、
図の部分の面積を足して考える。

\(F\)と点\((-1, 0)\)を通る直線が\(\displaystyle y = \frac{1}{3}(x+1)\)となり、\(C\)との交点は\(y=(1-\sqrt{-x})^2\)と連立させて、\(\displaystyle \left(-\frac{1}{4}, \frac{1}{4}\right)\)となる。$$\begin{eqnarray}S_2 & = & 1\times \frac{1}{4}\times \frac{1}{2} + \int_{-\frac{1}{4}}^{0}{\left((1-\sqrt{-x})^2-(-x)\right)dx} \\ & = & \frac{1}{8} +\int_{-\frac{1}{4}}^{0}{(1-2\sqrt{-x})dx}\\ & = & \frac{1}{8} + \left[x+\frac{4}{3}(-x)^{\frac{3}{2}}\right]_{-\frac{1}{4}}^{0} \\ & = & \frac{1}{8}-\left(-\frac{1}{4}+\frac{4}{3}\left(\frac{1}{4}\right)^{\frac{3}{2}}\right) \\ & = & \frac{1}{8}+\frac{1}{4}-\frac{1}{6}\\ & = & \frac{5}{24}\end{eqnarray}$$である。\(C\)の第\(1\)象限の部分の面積は直角三角形で、\(\displaystyle 1\times 1\times \frac{1}{2} = \frac{1}{2}\)である。また、\(C\)の第\(4\)象限の部分の面積は第\(2\)象限の部分の面積と同一である。以上から、求める部分の面積は\(\displaystyle \frac{1}{6} + \frac{5}{24}\cdot 2 + \frac{1}{2} = \underline{\frac{13}{12}}\)である。

\((3)\) \(x \geq 0\)の部分では立体は底辺が半径\(1\)の円で、高さが\(1\)の円錐になる。また、\(x\leq -\frac{1}{4}\)の部分では立体は底辺が半径\(\displaystyle \frac{1}{4}\)の円で、高さが\(\displaystyle \frac{3}{4}\)の円錐になる。求める体積を\(V\)とすると、$$\begin{eqnarray}V & = & \int_{-\frac{1}{4}}^{0}{\pi(1-\sqrt{-x})^4dx} + \pi\times 1\times \frac{1}{3} + \pi\times \left(\frac{1}{4}\right)^2\times \frac{3}{4}\times \frac{1}{3} \\ & = & \pi\int_{0}^{\frac{1}{4}}{(1-\sqrt{x})^4dx} + \frac{\pi}{3} + \frac{\pi}{64}\\ & = & \pi\int_{0}^{\frac{1}{4}}{(x-2\sqrt{x}+1)^2dx} + \frac{\pi}{3} + \frac{\pi}{64} \\ & = & \pi\int_{0}^{\frac{1}{4}}{(x^2+4x+1-4x^{\frac{3}{2}}+2x-4\sqrt{x})dx} + \frac{\pi}{3} + \frac{\pi}{64} \\ & = & \pi\left[\frac{1}{3}x^3+3x^2-\frac{8}{5}x^{\frac{5}{2}}-\frac{8}{3}x^{\frac{3}{2}}+x\right]_{0}^{\frac{1}{4}} + \frac{\pi}{3} + \frac{\pi}{64}\\ & = & \underline{\frac{49}{120}\pi}\end{eqnarray}$$となる。

解説

アステロイドのような形になるが、微妙に異なる。数学的な背景がなにかあるのかもしれない。なお、媒介変数表示(パラメータ表示)されている問題であるが、そのままやっても良いし解答のように陽関数の形にしてしまっても良いだろう。

\((1)\) 解答では丁寧に求めたが、第\(1\)象限にある\(C\)上の点で、例えば\(\displaystyle P\left(\frac{1}{4}, \frac{1}{4}\right)\)を考える。この点から直線\(x+y = 0\)に下ろした垂線の足は\(H(0, 0)\)なので、\(F\)としてありうるのは\(\displaystyle = \left(\frac{1}{8}, \frac{1}{8}\right)\)か\(\displaystyle = \left(\frac{1}{2}, \frac{1}{2}\right)\)のどれかである。図を描くと\(\displaystyle = F\left(\frac{1}{2}, \frac{1}{2}\right)\)であることがわかるので、計算でどのような\(P\)に対しても\(PH = PF\)となることを示せば良い。

\((2)\) 解答のグラフでは\(x+y = 0\)も書き込んであるが、特に上手い利用方法は思いつかなかった。対称性(といっても大したものではないが)を利用すれば少しだけ計算は楽になる。

\((3)\) これもホット一息というわけにはいかない。やることは単純だが、計算が厳しい。時間内に解決できた受験生は相当の実力を誇ってもよいだろう。

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関連リンク

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