問題
空間において連立不等式の表す領域をとし、正の実数に対しての表す領域をとする。また、とのいずれか一方のみに含まれる点全体がなす領域をとし、の体積をとする。さらに、の表す領域との共通部分を、の表す領域との共通部分を、の表す領域との共通部分をとし、を満たすの最小値を、を満たすの最小値を、を満たすの最小値をとする。ただし、は空集合を表す。このとき以下の各問に答えよ。
のとき、の平面による断面を図示せよ。
およびを求めよ。
のとき、の体積をを用いて表わせ。
において、が最小となるの値を求めよ。
方針
仰仰しい問題文だが、それほど難しくはない。はの良いヒントになっている。
解答
とを平面上に描くと以下の斜線部の様になる。
の平面での断面図。
境界については、実線部は含まれ、点線部は除かれる。
であることは簡単。かつの領域にが含まれるとき、でなかればならない。したがってである。また、かつかつの領域にが含まれるとき、でなければならない。したがってである。
は辺の長さがの立方体の体積から半径の球の体積を除いたもので、である。
は半径の球の体積から辺の長さがの立方体の体積を除いたもので、である。
として、軸に垂直な断面でを切ると、断面は円で、下の図から半径はとなる。求める体積はとなる。
軸に垂直な平面でを切る。
のときは辺の長さがの立方体の体積から半径の球の体積を除いたものなので、である。のときの体積は、辺の長さがの立方体の体積から、半径の球の体積のの倍を除き、さらにの体積の倍を加えたものである。したがってこのとき、である。まとめると、である。
ではは単調減少である。のとき、となる。したがってはで単調減少であり、で極小値を取り、で単調増加である。以上より、においてが最小になるのはである。
解説
教育的な問題である。と順に思考を重ねることでの答えに到達できるようになっている。何度も記載しているが、空間・立体の問題、特に体積を求める問題の基本はまず可能な限り立体の方程式を求め、適当な平面で断面を考え、面積を求めてから、最後に体積を求めることである。具体的にはやなどと置いて、平面の面積の問題に落としてから、それをについて微分すれば良い。こちらの記事も参考にすると良い。
1983年東京大学理系数学第6問 斜回転体の体積
関連問題
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