[math][東京医科歯科大学][空間図形]2018年東京医科歯科大学数学問題2

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問題

\(xyz\)空間において、連立不等式\(|x|\leq 1, |y|\leq 1, |z|\leq 1\)の表す領域を\(Q\)とし、原点\(O(0, 0, 0)\)を中心とする半径\(r\)の球面を\(S_0\)とする。さらに、点\(A(1, 1, 1), B(1, -1, -1), C(-1, 1, -1), D(-1, -1, 1)\)を中心とし、\(S_0\)に外接する球面を、それぞれ\(S_A, S_B, S_C, S_D\)とする。このとき以下の各問いに答えよ。ここで、「球面\(X\)が球面\(Y\)に外接する」とは、\(X\)と\(Y\)が互いにその外部にあって、\(1\)点を共有することである。
\((1)\) \(S_A\)と\(S_B\)が共有点をもつとき、\(r\)の最大値\(r_1\)を求めよ。
\((2)\) \(S_0, S_A, S_B, S_C, S_D\)およびそれらの内部の領域の和集合と、\(Q\)との共通部分の体積を\(V(r)\)とする。区間\(r_1\leq r\leq 1\)において、\(V(r)\)が最小となる\(r\)の値\(r_2\)を求めよ。ここで\(r_1\)は\((1)\)で求めた値とする。
\((3)\) \(S_0\)と共有点をもつどんな平面も、\(S_A, S_B, S_C, S_D\)のいずれかと共有点をもつとき、\(r\)の最大値\(r_3\)を求めよ。

方針

\((2)\) \((1)\)で求めた\(r_1\)よりも\(r\)は大きいので、\(S_A, S_B, S_C, S_D\)に共通部分はない。

\((3)\) は\((1), (2)\)とあまり関係がなく独立した問題である。

解答

\((1)\) \(S_A\)の半径を\(r_A\)、\(S_B\)の半径を\(r_B\)とする。点\(O\)と点\(A\)との距離は\(\sqrt{3}\)で、点\(A\)と点\(B\)との距離は\(\sqrt{2}\)である。\(S_0\)と\(S_A\)は外接し、\(S_0\)と\(S_B\)は外接するので、$$\begin{eqnarray}r+r_A & = & \sqrt{3} \\ r+r_B & = & \sqrt{3}\end{eqnarray} \tag{a}\label{a}$$である。また、\(S_A\)と\(S_B\)は共有点を持つので、$$r_A + r_B \geq 2\sqrt{2} \tag{b}\label{b}$$である。\eqref{a}, \eqref{b}から、$$\begin{eqnarray}r & = & \sqrt{3}-\frac{r_A+r_B}{2}\\ & \leq & \sqrt{3}-\sqrt{2}\end{eqnarray}$$となる。よって、\(\underline{r_1 = \sqrt{3}-\sqrt{2}}\)となる。

\((2)\) \((1)\)で求めた\(r_1\)よりも\(r\)は大きいから、\(S_A, S_B, S_C, S_D\)に共通部分はない。この\(4\)つの球の半径は\(\displaystyle \sqrt{3}-r\)である。例えば\(S_A\)と\(Q\)との共通部分の体積は\(S_A\)の体積の\(\displaystyle \frac{1}{8}\)となる。したがって、$$\begin{eqnarray}V(r) & = & \frac{4}{3}\pi r^3 + 4\cdot \frac{1}{8}\cdot \frac{4}{3}\pi (\sqrt{3}-r)^3\\ & = & \frac{2}{3}\pi(2r^3+(\sqrt{3}-r)^3)\end{eqnarray}$$となる。したがって、$$\begin{eqnarray}V^{\prime}(r) & = & \frac{2}{3}\pi (6r^2-3(\sqrt{3}-r)^2)\\ & = & 2\pi (r^2+2\sqrt{3}r-3) \\ & = & 2\pi(r-(-\sqrt{3}-\sqrt{6}))(r-(-\sqrt{3}+\sqrt{6}))\end{eqnarray}$$である。増減表は以下のようになる。

\begin{array}{|c|*6{c|}}\hline x & \sqrt{3}-\sqrt{2} & \cdots & -\sqrt{3}+\sqrt{6} & \cdots & 1 \\ \hline V^{\prime}(r) & &- & 0 & + & \\ \hline V(r) & &\searrow & & \nearrow & \\ \hline \end{array}

以上から、\(\displaystyle \underline{r_2 = -\sqrt{3}+\sqrt{6}}\)となる。

\((3)\) \(S_0\)と共有点をもつ平面を\(\pi: ax+by+cz +d = 0\ (a^2+b^2+c^2\ne 0)\)とする。\(S_0\)の中心である原点と\(\pi\)との距離は\(S_0\)の半径よりも小さいから、$$\frac{d}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}}\leq r \tag{c}\label{c}$$である。\(S_A, S_B, S_C, S_D\)の半径は\(\sqrt{3}-r\)である。この平面と点\(A, B, C, D\)との距離はそれぞれ$$\begin{eqnarray}S_A: & & \frac{|a+b+c+d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}} &\leq & \sqrt{3}-r\\ S_B: & & \frac{|a-b-c+d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}} &\leq & \sqrt{3}-r\\ S_C: & & \frac{|-a+b-c+d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}} &\leq & \sqrt{3}-r\\ S_D: & & \frac{|-a-b+c+d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}} &\leq & \sqrt{3}-r \end{eqnarray} \tag{d}\label{d}$$のどれかを満たす必要がある。\eqref{d}がすべて満たされないときの\(r\)の条件を求める。ここで簡単のため、$$\begin{eqnarray}A & = & \frac{a}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}}\\ B & = & \frac{b}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}}\\ C & = & \frac{c}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}} \\ D & = & \frac{d}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}}\end{eqnarray}$$とする。すると、\(|A|\leq 1, |B|\leq 1, |C|\leq 1, A^2+B^2+C^2 = 1\)で、\eqref{c}, \eqref{d}は$$\begin{eqnarray}|D|\leq r & & \\ \Rightarrow |A+B+C+D|&\leq & \sqrt{3}-r\\ or \ |A-B-C+D| & \leq & \sqrt{3}-r\\ or\ |-A+B-C+D| &\leq & \sqrt{3}-r \\ or\ |-A-B+C+D| & \leq & \sqrt{3}-r\end{eqnarray} \tag{e}\label{e}$$と書き直せる。\eqref{e}の対偶をとると、$$\begin{eqnarray}|A+B+C+D| & > & \sqrt{3}-r \\ and\ |A-B-C+D| & > & \sqrt{3}-r\\ and\ |-A+B-C+D| & > & \sqrt{3}-r\\ and \ |-A-B+C+D| & > & \sqrt{3}-r \\ \Rightarrow |D| > r &&\end{eqnarray}$$である。十分条件を二乗すると、$$\begin{eqnarray} (A+B+C)^2+2(A+B+C)D + D^2 & > & (\sqrt{3}-r)^2 \\ and\ (A-B-C)^2 +2(A-B-C)D + D^2 & > & (\sqrt{3}-r)^2 \\ and\ (-A+B-C)^2+2(-A+B-C)D+D^2 & > & (\sqrt{3}-r)^2 \\ and\ (-A-B+C)^2+2(-A-B+C)D+D^2 & > & (\sqrt{3}-r)^2 \\ \Rightarrow |D| > r\end{eqnarray} \tag{f}\label{f}$$である。\eqref{f}の十分条件をすべて足すと、\(A^2+B^2+C^2=1\)に注意して、打ち消し合って$$1 + D^2 > (\sqrt{3}-r)^2 \Rightarrow |D| > r$$となる。これは$$(\sqrt{3}-r)^2-1 \geq r^2$$と同値である。整理すると、\(\displaystyle r \leq \frac{1}{\sqrt{3}}\)を得る。したがって、\(\displaystyle \underline{r_3 =\frac{1}{\sqrt{3}}}\)とすれば、\eqref{c}のとき\eqref{d}のいずれかが成り立つ。

解説

\((3)\) \((1), (2)\)の流れで図形的に解決したいところではあるが、色々なケースが考えられ難しい。解答のように式で処理するのがシンプルである。条件\((d)\)のどれかが一つ成り立つ必要があるが、そのままでは考えにくいので、対偶を考える。すなわち、条件\((d)\)をすべて満たさないような\(r\)の範囲を考える。

関連問題

1991年前期東京医科歯科大学数学問題2 空間図形と方程式
2006年度前期東京医科歯科大学数学問題2 四面体、空間座標、体積
2010年東京医科歯科大学前期数学問題2 空間図形と体積
2012年東京医科歯科大学前期数学問題2 空間図形と求積、断面図
2016年東京医科歯科大学数学問題2 空間座標と体積、立方体と球

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学
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