[math][東京医科歯科大学][二次曲線]2005年東京医科歯科大学数学問題2

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問題

座標平面上で次のように媒介変数表示された曲線\(C\)を考える。$$\begin{cases}x = \sin{2\theta}\\ y = \sin{3\theta}\end{cases}\ \ (0\leq \theta\leq 2\pi)$$このとき以下の各問いに答えよ。
\((1)\) 曲線\(C\)上で\(x > 0\)かつ\(y > 0\)となる\(\theta\)の範囲を求めよ。
\((2)\) 区間\(0\leq \theta \leq \pi\)において\(|x| = 1\)または\(|y| = 1\)となる\(\theta\)の値をすべて求めよ。
\((3)\) 次の\(3\)条件を満たす\(\theta_1, \theta_2\)の値を求めよ。$$0\leq \theta_1<\theta_2\leq 2\pi, \sin{2\theta_1} = \sin{2\theta_2} > 0, \sin{3\theta_1} = \sin{3\theta_2} > 0$$
\((4)\) 曲線\(C\)が自分自身と交わる点の個数を求めよ。

方針

異常に面倒な問題であるが、誘導に従うよりない。

解答

\((1)\) 下のグラフから、\(x = \sin{2\theta} > 0\)となるのは、\(\displaystyle 0<\theta<\frac{\pi}{2}, \pi < \theta<\frac{3\pi}{2}\)であり、\(y = \sin{3\theta} > 0\)となるのは、\(\displaystyle 0<\theta<\frac{\pi}{3}, \frac{2\pi}{3}<\theta<\pi, \frac{4\pi}{3}<\theta<\frac{5\pi}{3}\)である。したがって、\(x > 0\)かつ\(y > 0\)となるのは、この部分の共通範囲である\(\displaystyle \underline{0<\theta<\frac{\pi}{3}, \frac{4\pi}{3}<\theta<\frac{3\pi}{2}}\)である。

実線が\(y = \sin{2\theta}\)、点線が\(y = \sin{3\theta}\)のグラフ。

\((2)\) 区間\(0\leq \theta\leq \pi\)、すなわち\(0\leq 2\theta\leq 2\pi\)において\(|x| = |\sin{2\theta}| = 1\)となるのは、\(\displaystyle 2\theta = \frac{\pi}{2}, \frac{3\pi}{2}\)である。つまり、\(\displaystyle \theta=\frac{\pi}{4}, \frac{3\pi}{4}\)である。区間\(0\leq \theta\leq \pi\)、すなわち\(0\leq 3\theta\leq 3\pi\)において\(|y| = |\sin{3\theta}| = 1\)となるのは、\(\displaystyle 3\theta = \frac{\pi}{2}, \frac{3\pi}{2}, \frac{5\pi}{2}\)である。つまり、\(\displaystyle \theta = \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{2}, \frac{5\pi}{6}\)である。したがって、\(|x| = 1\)または\(|y| = 1\)となるのは、\(\displaystyle \underline{\theta= \frac{\pi}{4}, \frac{3\pi}{4}, \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{2}, \frac{5\pi}{6}}\)である。

\((3)\) 簡単のため\(\displaystyle 0<\theta<\frac{\pi}{3}\)を区間\(1\)、\(\displaystyle \frac{4\pi}{3}<\theta<\frac{3\pi}{2}\)を区間\(2\)とする。\((1)\)のグラフから\(\theta_1, \theta_2\)が条件を満たすとき、次の\(3\)通りが考えられる。すなわち、\(\theta_1, \theta_2\)がともに区間\(1\)に含まれる場合、\(\theta_1\)が区間\(1\)に含まれ\(\theta_2\)が区間\(2\)に含まれる場合、あるいは\(\theta_1, \theta_2\)がともに区間\(2\)に含まれる場合である。ところが、\(\sin{2\theta}\)は区間\(1, 2\)でともに単調であるから、ありうるのは\(\theta_1\)が区間\(1\)に含まれ、\(\theta_2\)が区間\(2\)に含まれるときである。したがって\(\displaystyle 0<\theta_1<\frac{\pi}{3}, \frac{4\pi}{3}<\theta_2<\frac{3\pi}{2}\)として、$$\begin{cases}\sin{2\theta_1} = \sin{2\theta_2}\\ \sin{3\theta_1} = \sin{3\theta_2}\end{cases} \tag{a}\label{a}$$を解けばよい。一般に、$$\begin{eqnarray}\sin{\alpha}-\sin{\beta} & = & \sin{\left(\frac{\alpha+\beta}{2}-\frac{\alpha-\beta}{2}\right)}-\sin{\left(\frac{\alpha+\beta}{2}-\frac{\alpha-\beta}{2}\right)} \\ & = & \sin{\left(\frac{\alpha+\beta}{2}\right)}\cos{\left(\frac{\alpha-\beta}{2}\right)}+\cos{\left(\frac{\alpha+\beta}{2}\right)}\sin{\left(\frac{\alpha-\beta}{2}\right)}\\ & & -\left(\sin{\left(\frac{\alpha+\beta}{2}\right)}\cos{\left(\frac{\alpha-\beta}{2}\right)}-\cos{\left(\frac{\alpha+\beta}{2}\right)}\sin{\left(\frac{\alpha-\beta}{2}\right)}\right)\\ & = & 2\cos{\left(\frac{\alpha+\beta}{2}\right)}\sin{\left(\frac{\alpha-\beta}{2}\right)}\end{eqnarray}$$であるから、\eqref{a}は$$\begin{cases}\cos{(\theta_1+\theta_2)}\sin{(\theta_2-\theta_1)} = 0\\ \displaystyle \cos{\frac{3}{2}(\theta_1+\theta_2)}\sin{\frac{3}{2}(\theta_1-\theta_2)} = 0\end{cases}$$と同値である。\(\displaystyle \frac{4\pi}{3}<\theta_1+\theta_2<\frac{11\pi}{6}, \pi<\theta_2-\theta_1<\frac{3\pi}{2}\)であるから、\(\sin{(\theta_2-\theta_1)}\ne 0\)である。したがって、\(\cos{(\theta_1+\theta_2)} = 0\)であるから、\(\displaystyle \theta_1+\theta_2 = \frac{3\pi}{2}\)となる。そのとき、\(\displaystyle \cos{\frac{3}{2}(\theta_1+\theta_2)}\ne 0\)である。したがって、\(\displaystyle \sin{\frac{3}{2}(\theta_2-\theta_1)} = 0\)が必要である。このとき、\(\displaystyle \frac{3\pi}{2}<\frac{3}{2}(\theta_2-\theta_1) < \frac{9\pi}{4}\)であるから、\(\displaystyle \frac{3}{2}(\theta_2-\theta_1) = 2\pi\)である。以上から$$\begin{cases}\displaystyle \theta_1+\theta_2 = \frac{3\pi}{2}\\ \displaystyle \theta_2-\theta_1 = \frac{4\pi}{3}\end{cases}$$である。これを解くと、\(\displaystyle \underline{(\theta_1, \theta_2) = \left(\frac{\pi}{12}, \frac{7\pi}{12}\right)}\)となる。

\((4)\) \(\theta^{\prime} = \pi-\theta\)とすると、$$\begin{eqnarray}\sin{2\theta^{\prime}} & = & \sin{2(\pi-\theta)}\\ & = & -\sin{2\theta}\\ \sin{3\theta^{\prime}} & = & \sin{3(\pi-\theta)}\\ & = & \sin{3\theta}\end{eqnarray}$$であるから、曲線\(C\)は\(y\)軸に関して対称である。また、\(\theta^{\prime\prime} = 2\pi-\theta\)とすると、$$\begin{eqnarray}\sin{2\theta^{\prime\prime}} & = & \sin{2(2\pi-\theta)}\\ & = & -\sin{2\theta}\\ \sin{3\theta^{\prime\prime}} & = & \sin{3(2\pi-\theta)}\\ & = & -\sin{3\theta}\end{eqnarray}$$であるから、曲線\(C\)は原点に関して対称である。\((3)\)から\(x >0, y > 0\)で曲線\(C\)が自身と交わる点は\(1\)個だったから、\(x < 0, y > 0\)でも\(1\)回、\(x <0, y < 0\)でも\(1\)回、\(x > 0, y < 0\)でも\(1\)回交わる。以下は軸上の点を調べる。

  • \((a)\) \(x = 0\)となるとき、\(\sin{2\theta} = 0, 0\leq 2\theta\leq 4\pi\)から\(2\theta = 0, \pi, 2\pi, 3\pi, 4\pi\)である。すなわち、\(\displaystyle \theta = 0, \frac{\pi}{2}, \pi, \frac{3\pi}{2}, 2\pi\)である。このとき\(y = \sin{3\theta} = 0, -1, 0, 1, 0\)であるから、\(\theta = 0, \pi, 2\pi\)で曲線\(C\)は自身と交わる。すなわち、\(x = 0\)のとき曲線\(C\)が自身と交わる点は\(1\)個である。
  • \((b)\) \(y = 0\)となるとき、\(\sin{3\theta} = 0, 0\leq 3\theta\leq 6\pi\)から\(3\theta = 0, \pi, 2\pi, 3\pi, 4\pi, 5\pi, 6\pi\)である。すなわち、\(\displaystyle \theta = 0, \frac{\pi}{3}, \frac{2\pi}{3}, \pi, \frac{4\pi}{3}, \frac{5\pi}{3}, 2\pi\)である。このとき、\(\displaystyle x = \sin{2\theta} = 0, \frac{\sqrt{3}}{2}, -\frac{\sqrt{3}}{2}, 0, \frac{\sqrt{3}}{2}, -\frac{\sqrt{3}}{2}, 0\)であるから、\((a)\)でカウントした\(\theta = 0, 2\pi\)を除くと、\(\displaystyle \theta = \frac{\pi}{3}, \frac{4\pi}{3}\)で\(1\)回、\(\displaystyle \theta = \frac{2\pi}{3}, \frac{5\pi}{3}\)で\(1\)回\(C\)は自身と交わる。すなわち、\(y = 0\)のとき\((a)\)を除いて曲線\(C\)が自身と交わるのは\(2\)回である。

以上から、曲線\(C\)が自身と交わる回数は\(4+1+2 = \underline{7}\)回である。

解説

\((1)\) 式で解いてもよいが、グラフを丁寧に描き視覚的に確認しながら進めるのが良いだろう。

\((2)\) 問題の流れとは直接関係のない小問である。

\((3)\) 素直にやるとやっかいで、\((1)\) がヒントになっている。\(\displaystyle 0<\theta < \frac{\pi}{3}, \frac{4\pi}{3} < \theta < \frac{3\pi}{2}\)を順に区間\(1, 2\)とすると、\(\theta_1, \theta_2\)の位置によって\(3\)通りの場合が考えられる。ところが少し考えると、この区間両方で\(y = \sin{2\theta}\)は単調であるので、\(\theta_1, \theta_2\)が同じ区間に含まれることはない。このことに気がつくと時間の節約になる。\(\sin{\alpha} = \sin{\beta}\)を解く際には三角関数の和積公式を用いる。暗記してもよいが、解答のように一から作れるようにしておかないと、試験場で慌ててしまうだろう。試しに\(\cos{\alpha}-\cos{\beta}\)を三角関数の積の形で表す練習をしてみるとよい。\(1, 2\)回紙に書いて実際にやってみれば、簡単に飲み込めるだろう。

\((4)\) \((3)\)が解けてホッとしても先は長い。曲線\(C\)が\(y\)軸および原点に対して対称であることを用いる。これに気が付かないと\((3)\)の過程を\(x < 0, y< 0\)や\(x > 0, y < 0\)で何回も繰り替えさなければならず、時間がいくらあっても足りない。軸上で自身と交わる場合も忘れないようにしなくてはならない。正確に個数を数え上げられた受験生は三角関数の処理に関して相当の自身を持って良い。曲線\(C\)はリサージュ図形と呼ばれるものの一種である。実際の形は以下のようになる。

\(x = \sin{2\theta}, y = \sin{3\theta}\)で表される図形。

これを見ると確かに自身と交わる点は\(7\)個であることがわかる。

関連問題

1991年東京大学前期理系問題3 3次方程式とグラフ、パラメータ表示関数の二階微分
1988東京医科歯科大学数学問題1 二次曲線と面積、微分
2007年東京医科歯科大学前期数学問題3 行列と二次曲線、整数解、連立方程式
2010年前期東京医科歯科大学数学問題3 二次曲線と楕円
2022年東京工業大学数学問題4
複素数平面上の円、アポロニウスの円と軌跡、パラメータ表示された曲線の二階微分

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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