[math][東京医科歯科大学][場合の数]2004年東京医科歯科大学数学問題2

equations written on blackboard math
Photo by Monstera on Pexels.com

問題

関数g(x)およびfk(x)  (k=1,2,3,)を次のように定義する。g(x)={23x353x  (|x|2)x  (|x|>2)fk(x)=g(xk)+k正の定数k,lに対し、整数の組を要素とする集合SkおよびTk,lを次のように定義する。Sk={(m,n)|m,nは整数、mn,fk(m)=n}Tk,l={(m,n)|m,nは整数,mn,fl(fk(m))=n}このとき以下の各問いに答えよ。
(1) Sk={(k1,k+1),(k+1,k1)}となることを示せ。
(2) T3,4を求めよ。
(3) T3,kS3Skを満たす整数kを求めよ。
(4) T3,kTk,3を満たす整数kを求めよ。

方針

至極簡単な問題と感じた受験生と、とてつもない難問に感じた受験生に分かれるかもしれない。実験が大切で、具体的に紙に例を書いていけば少しずつ問題の構成が見えてくる。

解答

(1) |mk|>2のとき、fk(m)=g(mk)+k=(mk)+k=mとなるから、集合Skの条件mnから|mk|2しかありえない。m,kは整数であるから、mk=2,1,0,1,2のいずれかである。下の表から、mkg(mk)fk(m)m222+k2+k111+k1+k00kk111+k1+k222+k2+k条件mnを満たすのは(m,n)=(k1,k+1),(k+1,k1)であることがわかる。以上より題意が示される。
(2) (1)からfk(m)k1k+1を入れ替えることがわかる。したがって、f3(m)24を、f4(m)35を入れ替える。より厳密にいうと、fk(m)a1,a2,,ak1.ak,ak+1,という整数の並びがあるとき、これをa1,a2,,ak+1,ak,ak1という並びに変換する。1,2,3,4,5,6,, (f3による変換)1,4,3,2,5,6, (f4による変換)1,4,5,2,3,5,であるから、T3,4=(2,4),(3,5),(4,2),(5,3)である。

(3) まず、S3Sk={(2,4),(4,2),(k1,k+1),(k+1,k1)}である。1,2,3,4,5,6,(f3による変換)1,4,3,2,5,6,によって2,4が入れ替わる。したがって、k1=2k1=4か、あるいはk+1=2k+1=4のときに限り、T3,kS3Skとなることがわかる。よって、k=1,3,5である。

(4) (3)からk=1,3,5の可能性しかない。
  (i) k=1のとき、0,1,2,3,4,5,6,(f3による変換)0,1,4,3,2,5,6,(f1による変換)4,1,0,3,2,5,6,および0,1,2,3,4,5,6,,(f1による変換)2,1,0,3,4,5,6,(f3による変換)2,1,4,3,0,5,6,であるから、T3,1T1,3である。
  (ii) k=3のとき、0,1,2,3,4,5,6,(f3による変換)0,1,4,3,2,5,6,(f3による変換)0,1,2,3,4,5,6,および0,1,2,3,4,5,6,,(f3による変換)0,1,4,3,2,5,6,(f3による変換)0,1,2,3,4,5,6,であるから、T3,1=T1,3である。
  (iii) k=5のとき、0,1,2,3,4,5,6,(f3による変換)0,1,4,3,2,5,6,(f5による変換)0,1,4,3,6,5,2,および0,1,2,3,4,5,6,,(f5による変換)0,1,2,3,6,5,4,(f3による変換)0,1,6,3,2,5,4,であるから、T3,5T5,3である。

以上から、求める答えはk=1,5である。

解説

(1) まず問題の意味を掴むという流れで、|mk|>2のときはg(x)の定義からfk(m)=mとなるので、これは集合Skに含まれない。すると|mk|2が必要となり、後は具体的に調べていけば良い。

(2) (1)から結局fk(m)a1,a2,,ak1,ak,ak+1,という整数の並びをa1,a2,,ak+1,ak,ak1,に変換する操作であることがわかる。その中で元の数字と元の数字と異なるもののペアが集合Skに含まれる。ここではak1ak+1に変わっているので(ak1,ak+1)Skに含まれ、またak+1ak1に変わっているので(ak+1,ak1)Skに含まれる。Tk,lはこの操作をもう一度繰り返したものになる。

(3) 問題の構造が把握できていれば、k1k+12,4のどれかになるので、T3,4=S3Skとなることがわかる。したがって、k=1,3,5となる。

(4) (3)からk=1,3,5しかないが、k=3の場合はT3,3=T3,3なので除いて考える。

この問題は大学で学ぶ群の互換性をテーマにしている。たとえば操作f3を施してから次にf4を施したとき、f4(f3(m))f3(f4(m))となっている。操作の順番が問題になるというわけである。例eえばある整数に3を掛けてから4を掛けても、4を掛けてから3を掛けても結果は同じ数字になるが変換fk(m)では順番が違うと結果が異なる。代数学の基礎の部分をテーマにした問題ということになる。

関連問題

1987年東京医科歯科大学数学問題2 場合の数と置き換え
2001年東京医科歯科大学前期数学問題3 場合の数、誘導の利用
2006年度前期東京医科歯科大学数学問題1 数列、場合の数、置き換え
2009年東京医科歯科大学前期数学問題2 整式と整数、場合の数
2017年東京医科歯科大学数学問題1 場合の数と鳩の巣原理

関連リンク

Science Tokyo 旧・東京医科歯科大学

コメント

タイトルとURLをコピーしました