問題
関数およびを次のように定義する。正の定数に対し、整数の組を要素とする集合およびを次のように定義する。このとき以下の各問いに答えよ。
となることを示せ。
を求めよ。
を満たす整数を求めよ。
を満たす整数を求めよ。
方針
至極簡単な問題と感じた受験生と、とてつもない難問に感じた受験生に分かれるかもしれない。実験が大切で、具体的に紙に例を書いていけば少しずつ問題の構成が見えてくる。
解答
のとき、となるから、集合の条件からしかありえない。は整数であるから、のいずれかである。下の表から、条件を満たすのはであることがわかる。以上より題意が示される。
からはとを入れ替えることがわかる。したがって、はとを、はとを入れ替える。より厳密にいうと、はという整数の並びがあるとき、これをという並びに変換する。であるから、である。
まず、である。によってが入れ替わる。したがって、かか、あるいはかのときに限り、となることがわかる。よって、である。
からの可能性しかない。
のとき、およびであるから、である。
のとき、およびであるから、である。
のとき、およびであるから、である。
以上から、求める答えはである。
解説
まず問題の意味を掴むという流れで、のときはの定義からとなるので、これは集合に含まれない。するとが必要となり、後は具体的に調べていけば良い。
から結局はという整数の並びをに変換する操作であることがわかる。その中で元の数字と元の数字と異なるもののペアが集合に含まれる。ここではがに変わっているのでがに含まれ、またがに変わっているのでもに含まれる。はこの操作をもう一度繰り返したものになる。
問題の構造が把握できていれば、かがのどれかになるので、となることがわかる。したがって、となる。
からしかないが、の場合はなので除いて考える。
この問題は大学で学ぶ群の互換性をテーマにしている。たとえば操作を施してから次にを施したとき、となっている。操作の順番が問題になるというわけである。例eえばある整数にを掛けてからを掛けても、を掛けてからを掛けても結果は同じ数字になるが変換では順番が違うと結果が異なる。代数学の基礎の部分をテーマにした問題ということになる。
関連問題
1987年東京医科歯科大学数学問題2 場合の数と置き換え
2001年東京医科歯科大学前期数学問題3 場合の数、誘導の利用
2006年度前期東京医科歯科大学数学問題1 数列、場合の数、置き換え
2009年東京医科歯科大学前期数学問題2 整式と整数、場合の数
2017年東京医科歯科大学数学問題1 場合の数と鳩の巣原理
関連リンク
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