[math][東京医科歯科大学][二次曲線]2003年東京医科歯科大学数学問題3

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問題

正の定数\(a, b\)に対して、曲線\(C\)を媒介変数\(t\)を用いて次式で定義する。$$C: x = a\cos^3{t}, y = b\sin^3{t}\ \ \left(0\leq t\leq \frac{\pi}{2}\right)$$このとき以下の各問いに答えよ。
\((1)\) 曲線\(C\)上の点\(\displaystyle P(\cos^3{\theta}, b\sin^3{\theta}),\ \ 0<\theta<\frac{\pi}{2}\)における\(C\)の接線と\(x\)軸および\(y\)軸との交点をそれぞれ\(Q,R\)とする。このとき線分\(QR\)の長さ\(l(\theta)\)を求めよ。
\((2)\) \(\displaystyle \frac{d}{d\theta}(l(\theta))^2\)を求めよ。
\((3)\) 曲線\(C\)の長さを求めよ。

方針

\((3)\) \((2)\)の利用を考える。

解答

\((1)\) $$\begin{eqnarray}\frac{dx}{dt} & = & -3a\cos^2{t}\sin{t}\\ \frac{dy}{dt} & = & 3b\sin^2{t}\cos{t}\end{eqnarray}$$であるから、点\(P\)における\(C\)の接線は$$\begin{eqnarray}-3a\cos^2{\theta}\sin{\theta}(y-b\sin^3{\theta}) & = & 3b\sin^2{\theta}\cos{\theta}(x-a\cos^3{\theta})\\ -a\cos{\theta}(y-b\sin^3{\theta}) & = & b\sin{\theta}(x-a\cos^3{\theta})\ \ \left(0<\theta < \frac{\pi}{2}\right)\\ b\sin{\theta}x+a\cos{\theta}y & = & ab\sin{\theta}\cos{\theta}\end{eqnarray}$$となる。この最後の式で\(y = 0\)とすることで点\(Q\)の座標\((a\cos{\theta}, 0)\)がわかり、また\(x = 0\)とすることで点\(R\)の座標\((0, b\sin{\theta})\)がわかる。したがって、\(\underline{l(\theta) = \sqrt{a^2\cos^2{\theta}+b^2\sin^2{\theta}}}\)である。

\((2)\) \((1)\)から\((l(\theta))^2 = a^2\cos^2{\theta}+b^2\sin^2{\theta}\)であるから、$$\begin{eqnarray}\frac{d}{d\theta}(l(\theta))^2 & = & -2a^2\cos{\theta}\sin{\theta}+2b^2\sin{\theta}\cos{\theta}\\ & = & \underline{(b^2-a^2)\sin{2\theta}}\end{eqnarray}$$となる。

\((3)\) 曲線の長さの公式から、求める曲線\(C\)の長さを\(L\)とすると、$$\begin{eqnarray}L & = & \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{\sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2}dt}\\ & = & \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{\sqrt{(-3a\cos^2{t}\sin{t})^2+(3b\sin^2{t}\cos{t})^2}dt}\\ & = & \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{3\cos{t}\sin{t}\sqrt{a^2\cos^2{t}+b^2\sin^2{t}}dt}\\ & = & \frac{3}{2}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{\sin{2t}\sqrt{a^2\cos^2{t}+b^2\sin^2{t}}dt}\end{eqnarray}$$となる。
\(\ \ (a)\) \(a = b\)のとき、$$\begin{eqnarray} L & = & \frac{3a}{2}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{\sin{2t}dt}\\ & = & \frac{3a}{4}[-\cos{2t}]_{0}^{\frac{\pi}{2}}\\ & = & \frac{3a}{2}\end{eqnarray}$$となる。
\(\ \ (b)\) \(a\ne b\)のとき、\((2)\)から$$\begin{eqnarray} L & = & \frac{3}{2(b^2-a^2)}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{\frac{d}{dt}(l(t))^2\cdot l(t)dt}\\ & = & \frac{3}{b^2-a^2}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{(l(t))^2\cdot l^{\prime}(t)dt}\\ & = & \frac{1}{b^2-a^2}[(l(t))^3]_{0}^{\frac{\pi}{2}}\end{eqnarray}$$となる。ここで、\(\displaystyle l\left(\frac{\pi}{2}\right) = b, l(0) = a\)であるから、$$\begin{eqnarray} & = & \frac{1}{b^2-a^2}(b^3-a^3)\\ & = & \underline{\frac{b^2+ab+a^2}{b+a}}\end{eqnarray}$$となる。この式で\(a = b\)とすると、\(\displaystyle L = \frac{3}{2}a\)となり、\(a = b\)のときの答えと一致する。

解説

曲線の長さの公式は医科歯科大学では頻出になる。出題範囲かどうかにこだわらず、曲線の長さの定義と公式の導き方を教科書や参考書で確認しておく。

\((1)\) 接線の計算になる。直線の方程式を書くときは、\(\displaystyle y = \frac{b}{a}x+c\)と書くと\(a = 0\)と\(a\ne 0\)との場合分けが面倒なので、はじめから\(ay = bx + ac\)と書く習慣を見に付けておくとよい。一点が勝負を決める入試では、大切な習慣である。仮に\(a = 0\)となる場合を忘れてしまった場合、後の議論に影響がなくても確実に減点されてしまうだろう。

\((2)\) ここはミスなく得点したい。

\((3)\) 公式通り計算を進めると、積分の計算で手が止まる。\((2)\)が利用できることに気がつけば道は長くない。たとえ\((2)\)の利用に気が付かなくても、$$L = \frac{3}{2}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{\sin{2t}\sqrt{a^2\cos^2{t}+b^2\sin^2{t}}dt}$$で\(\sin{t} = s\)などと置換すれば積分計算は可能である。その後は\(a = b\)と\(a\ne b\)で場合分けが必要になる。結局最後には場合分けしなくても結果は一致するが、その過程を抜かすわけにはいかない。

関連問題

2002年京都大学理系数学第4問 微分、積分、曲線の長さ
2006年東京医科歯科大学数学問題3 双曲線関数と積分、曲線の長さ

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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